第17話 リレー



最後の競技のリレーが始まる。1位のグループはAquaのメンバーと握手ができるらしい。あんまり興味がないから、やる気は出ない。だけど周りの人達は、みんなやる気を出している。

「おい!寛人!やるぞ!今回はお前も本気出せよ!お前が本気を出したら、俺より速いの知ってんだかんな!」

「いや、今までのが本気だよ?」

まぁ、本気を出していないというのは事実だけど、些細な距離を求めるためだけに疲れる行為はあまりしたくない。普通の速さの僕が速くなっても変わらない。しかもAquaの握手というより、彩芽との握手だろうからね。

「いやダメだ。今回は本気を出せ。この前色々教えたじゃねぇか」

そう。僕は香織とのデートの時に色々凌平に教えてもらった。

「分かったよ。今回は頑張る」

前の借りを返そうと思う。でも、凌平よりちょっと速くなっても勝てないと思うけどね。



◆◆



「よーいドン」

僕らのクラスの近藤さんの合図で始まった。

第一走に凌平が走る。凌平の走りで差を開けて、逃げていく戦法らしい。

凌平はどんどん差を開けていく。

「頑張れ〜!凌くーん!」

周りの女子達とキャッキャウフフしながら応援してる亜由美さん。陽キャ臭が漂ってる。

僕はアンカーらしい。1か月前の僕、今の僕に醜態を晒させるなんて!恨むからな!ふぅ。



第二走はイケメンが多くて、サッカー部のエースのポジションにいるはずだったらしい木村くんだ。元々エースになってモテたいという不純な動機からサッカー部に入ったところ、ゴールキーパーの才能を見出されたらしい。元エース志望とだけあって速い。

1位をキープしてたけど、2ー1に抜かされた。



第三走は普段から忍者の真似をして、周りにボコボコにされている青木くんだ。ちなみにボコボコにされているというのは、彼が壁紙を持って女子更衣室に待機してたらしい。馬鹿なのかな?女子を敵にまわしたけど、男子仲間が多いのが彼である。忍者の真似をしてるだけあって、走り方がなんというか・・・・・うん。でも速い。他のクラスは第三走から上げていく人達が多いみたいで2位から4位まで落ちていた。



いよいよ僕の番だ。青木くんからバトンを貰って、走る。ここまで真剣に走ったのは何時ぶりだろう?・・・・・・・・・考えなきゃ良かった。

走ることだけ考えないと!アンカーは200メートルだからみんな疲れているのかな?どんどんスピードが落ちてきている。僕は抜き去って1位となった。


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