第9話 土曜日



今日は本番の土曜日だ。頑張らないと!

凌平にも相談して、いろいろ聞かせてもらった。

いっぱいからかわれたけど。

やばい、緊張のしすぎで早く来すぎた。

後、30分ぐらいかな?待ち合わせの10時まで。

僕は、時計台の下で待ち合わせを受けたから、そこで待つ。

「ねぇ、あの人超かっこよくない?!」

「私もそれ思った!声かけてみようかな!」

「いや、絶対女待ちでしょ、辞めとこ」

「そんな気弱だったら、落とせる男も落とさないよ!」

「じゃあ行ってみようか!」

そんな声が聞こえた。僕の方向を指さしながら、喋らないで欲しい。惨めになるし。

「あのー、ちょっといいですか?」

そんな声が近くから聞こえた。

「あの!すいません!」

「え?」

「貴方ですよ!一つ質問いいですか?」

「あ、僕ですか?いいですよ」

まさか、僕だとは思わなかった。

「この後予定ありますか?」

「あーすいません。今人を待ってるんですよ」

「あ、そうだったんですね。時間かけてすいません」

「ほら言ったじゃん」

「まぁ、当然だよねー」

「また、お会いできたらいいですね」

と、営業スマイルを見せていく。

「はぅぅ」

そんな声が聞こえたが、ちょっとよく分からない。

「連絡先交換しませんか?」

「連絡先ですか?いいですよ」

「ありがとうございます!」

「「あ、私も!!」」

やっぱり謎だ。僕は良くも悪くも平凡な顔のはずなのに。

「じゃあ、またいつか!」

「はい、ありがとうございました」

ラッキーなのか?まぁあの人たちは大学生ぽかったし、僕如きにメールしてくることはまずないだろう。

「きゃあああ!やったよ!」

みたいな悲鳴も聞こえるが。

「寛人君、早いね」

「あ、香織。おはよう。どこ行くの?」

「そんなことより一つ質問がある」

そんなことより?結構重要だと思ったんだけど?

「今の人たちは誰?」

「さぁ?僕の知り合いではない事は確かだね。あ、でもさっきアドレス交換したから友達かな?」

「え?寛人、知らない人と連絡先交換したの?大丈夫?」

「なんか、香織怒ってる?」

「怒ってないよ?そんなオープンだったら、いつか喰われるよ」

喰われる?喰われるとは?

「まあ、見てる限り大丈夫そうだったからいいや。

今日の予定はショッピングモールに行きます!寛人君どうせ服とかあんまり持ってないでしょ?一緒に買いに行こ!!」

「香織はそれでいいの?」

「うん!私の好きな事してる方が喋れたりするかなって思って、ダメかな?」

上目遣いで言われたら何も言えない。

「分かったよ」

そして、僕たちはショッピングセンターに足を踏み入れるのだった。


◇◇

ここまで見てくださって、ありがとうございます!

ハートや誤字脱字報告等をして頂けたら幸いです。

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