君の進路希望調査票にまだ空白がある

「君も物好きじゃ無いか」


ふっと自然に口元が緩む。紗希だって、わかっている筈だ。決めたところで大切なのはその後、その後の彼次第なのだから。


「動き出すのが親子同時って・・・くくく。血は争えんよ」


「先生、何か食べに行きませんか?」


神崎瑞稀が声をかけてくる。弟があんな状態なら、姉も姉で辛そうだ。


「そうだな。おい、福山。ぼさっとしてないで起きろ。昼飯が逃げるぞ」


「腹減ったあぁぁぁ。あれ?柊は?」


「機を逃さずにご飯作りに行ったよ。奢ってやるからついてきなさい」


「マジっすか!?横山ちゃん神ですね!ちなみに食べたいものは何の気分で?」


「鍋、だろう?」


「先生、ありがとうございます!」


「鍋!鍋!うおおおおお!!!」


「それでは周りの人には悪いが、先に食べに行くとしよう」


食べたいものをたくさん選べるから、鍋は良い。人が美味しそうに食べているを見て、自分も同じものを食べたくなる。それが、一緒に囲む醍醐味ではないだろうか。


「先生、今まで教師をしていて、1番面白い生徒の話、聞かせてください」


「水谷の話か?」


「現在進行形だったんですか!?」


「昔の話をするほど老けた覚えはない」


「俺、もしかしてすげーやつと友達やってんのか?」


別に凄くは無いだろう。平凡な彼がここまで変わろうとするその過程が面白いだけだ。


君はこの先何を書きたい?進路希望調査票を自分で書くと言うその日まで、存分に揉まれるといい。


もし、自分の未来を自分で決めたなら、わたしは心からのおめでとうを贈ろう。





俺の進路希望調査票に幼馴染の名前がある


第二部、完






ーーーーーーー


10万字超えたので、ここらで一区切りとします。


次話は、恒例のあとがきにします笑

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る