第61話 ※亜香里視点 決めたのはわたし。これからも。
「お兄、大丈夫かな?」
「・・・そんなに心配なら先輩に会いに行けば?」
「上田はバスケ一筋なだけあって、何もわかってない」
昼休み、お兄もお姉もいない学校がこんなにつまらないものだったなんて、とわたしは再認識し、仕方なく、上田とご飯を食べている。
確かに、わたしは相談役を辞めると言ったよ。でも、こんなにお兄が粘るとは思ってもいなかった。体調崩すのは想定外だったし、いつもだったらすぐにわたしに頼るはず。
別に、あの流れでお兄と付き合えるなんて微塵も思ってない。ただ、一緒にいる口実が欲しかった。代わりにデートでもいい。それをお兄の口から言って欲しかったのに。まさかお兄が『解決しない』選択肢を取るなんて。
まぁ、わたしたち姉妹のどちらかを未だに選べないお兄だから、有り得たのかな?
「意地張って、馬鹿みたい」
「喧嘩でもしてんのか?」
「仲は良いんだけど、一番になれないこの悲しみがダダダにわかる?」
「ダダダって俺のこと?」
わたしの判断でお兄を突き放したのは不味かったかもしれない。わたしはできるだけお兄のそばにいないと絶対勝てないから。離れてわたしのことが恋しくなってくれればいいけど。うーん。話し相手としてはお姉よりわたし、なんだけどな。
でも、お兄の宝物庫の中身、巨乳モノだし、ルックスは並んでもスタイルじゃお姉に勝てない。
「わたしは、負けるために生まれてきたわけじゃない」
「何と戦ってんだよ」
負けないようにする方法だっていくらでもある。それでも勝ちたいと願ってしまうから、わたしは可愛くないのだ。こいつにも腹黒いとか言われるし。
わたしだって、お兄を束縛したくない。ダメ人間にして依存させたくもない。でも、わたしにはお兄しかいない。お兄とお姉がくっついたらわたしは・・・。やめよう。泣きたくなる。
だけど、本当に打つ手がない。悪い手だけど、上田を使ってお兄に嫉妬させる方法はある。でも、お兄が悲しむからやりたくない。
と、なると、やっぱりわたしから、行くしかないのかな?既成事実作るとか、かな?お兄のベッドの中で待ち伏せ作戦?
「なんか、悪い顔してるな」
「上田には関係のないこと」
「あのさぁ、そんなに好きなら告白すればいいじゃん」
「もうしてる。二回もしてる。返事待ち」
「えー。先輩って女たらし?」
「わたしはそうは思わない。でも世間はそう言うかも」
せめて、亜香里のパンツ使ってくれたら、ちょっと期待できるのに。はぁー。
明日からの連休、どうしよう。急につまらなくなってしまった。
幼馴染がいなくなったら、本当に困るのはわたしだ。
だけど、それを望んでるのもわたしだ。
ほんと、ピエロみたい。どうかしてるよ。
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