第60話 結局イケメンに頼った
ぐっすり寝て、夜に起きた。熱は平熱。
だが、唇に感触が残ってる。
あいつに、俺の風邪うつったんじゃないかと心配してしまうが、それと並行して考えないといけないのは、望美の放った言葉だ。
たしかにあいつは、亜香里とお幸せに、と言った。
俺、なんかしたっけ?
嫌われたわけではなさそうだ。だったらキスしないだろうし。
うん。キスって何でするの?誰か教えてくれ。
キスした後、寂しそうな顔するもんなのか?今、俺は、寂しいというか、名残惜しいというか、もっと味わいたいというか・・・うん。あの感触が忘れられなくて困っている。
パンツなんかもうどうでもいいくらいにはずっとキスのことを考えてしまう。
「誤解させたなら、解きたいが・・・」
言葉に出したって、見つからない。多分、俺がちゃんと選ぶまで、誤解させたままなんだろう。
はぁ、どうしてこうなった?
わからない。とりあえず、望美は俺から離れようとした。何か原因がある。だが、わからない。わからないふり、ではなくだ。見当もつかない。
「くっそ。堂々巡りだ」
しかし、変化は顕著だった。爆弾を残したが、亜香里はとっくに距離を置いたし、望美はもっと遠くに行こうとしてる気がする。
だから、俺という人間から幼馴染を取ったら、何も残らないんだってば。
望んじゃいない状況に溜息をつく。これが大人になるって意味なら仕方ない。後悔はしたくないが、まだ俺は何もしてないので、悔やむことすらない。
明日から、三連休だ。有効活用したい。週明けに決めないと二人とも離れてしまうような予感が走った。
だからと言って、俺は二人を遊びに誘ったりはしない。おそらく、次に会う時は告白、なのだろう。
「誰に相談するかな」
携帯の画面をつけたり消したりしながら、俺は明日の行動を考えていた。
ーーーーーー
「よう。悩みがあるんだ。相談に乗ってくれるか?」
「今バイト中だから、無理なんだけどな」
次の日、完全復活した俺はアポ無しで神崎のバイト先に行った。恋愛に関してはイケメンに聞くしかないと思ったからだ。
「じゃあ、上がるまで待ってるから頼むよ」
「六時間もいるのかい?」
流石の神崎も顔が引き攣り、イケメン力が下がる。
「しょうがないだろ。他に相談できるやつがいないんだ。あと、俺はこの間、神崎の相談に乗った。だから俺の相談に乗ってくれてもいいだろ?」
「わかったよ。でも、相談に乗るのは僕じゃなくてもいいんだろ?」
「え?」
「そこの角の席に僕の姉さんが座ってるから、行ってみて」
そう言って神崎は店の奥を指差す。
黒髪ロングの後ろ姿のあの人か?
「瑞稀さん、だっけ?俺のこと、知ってる?」
「この間のバスケの試合、姉さんも見てたんだ。だから、知ってるよ?姉さんはちょっと気が強いけど気にしないでね」
「おう。ところで今日のオススメは?」
「野菜どっさりライスバーガーかな?この店で一番胃に優しいよ?病み上がりの水谷にどう?」
「じゃあそれを頼む」
野菜って消化良かったっけ?まぁ、油系頼むよりはマシか。
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