第4話 昼飯とさっきの続き

教室に戻ると、座っていた望美が俺のところに駆けて来た。


「先生の話終わった〜?」


首を傾げたくらいにして何の悪びれも無い様子の幼馴染に、盛大に溜息をつく。


「ああ、おかげで昼飯食い損なったな」


「じゃーん!!お詫びにわたしのお弁当あげるね」


包みを目の前に出されたが、素朴な疑問が浮かぶ。


「お、おう。そしたらおまえは何食べるんだ?」


「はやちゃん待ってる間に焼きそばパン食べたから大丈夫。手に何持ってるの?」


「横山ちゃんのおにぎり。食うか?」


「炭水化物は遠慮しとくよ。ダイエット中だしね」


初耳なんだが。昨日うちでお好み焼き一枚丸々食べてただろ。


「一緒に食べる?」


ちらっと時計を見た。あと5、6分しか昼休みが無い。


「急いで食うからいいよ。とりあえず、ありがとな」


「いえいえー」


望美な手をひらひらさせながら、女子のグループに帰っていく。


俺も席に戻るとすかさず薫が話しかけて来た。


「ナチュラルに弁当受け取るおまえが羨ましいよ」


「もぐ・・・悪いが薫と話してる時間は無い」


「もっと大切に食べろよ。五橋の手作りだろ?」


「もぐ・・・うるさいこれでも食え」


「んが・・・!?なんだこれ?おにぎり?」


「横山ちゃんのだ。具は何だった?」


「おかかだ。うまいな」


そうか、おかかか。


俺は梅のおにぎりを食べる。


「かつおの魚言葉って何だろうな?」


「魚言葉ってなんだよ。知らねーよ」


俺はもぐもぐしながらスマホで調べてみた。


カツオ 意味 小学五年生って書いてあって吹いた。






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