第2話 相談部

 今日は部活動紹介会。まぁ俺は帰宅部予定なんだけど。運動部とか入ったら終わるよまじで。


「野球部ですぅぅぅ!」


「サッカー部ですぅぅぅ!」


「剣道部ですぅぅぅ!」


「バスケ部ですぅぅぅ!」


 などなど、なんだかノリが似ている運動部の紹介が終わり文化部の紹介となった。暇だなぁと思いつつ部活動紹介のパンフレットを見ているとある部活の名前が気になった。


(相談部? なんだこの馴染みのない名前の部活。しかも部員1人だし……)


 そう思っていると相談部の紹介の番がやってきた。

 身長はそれほど高くないが、何か大人びた感じかする女の子。それにとても可愛い顔にショートカットの髪。これが一目惚れなのか……と思うほど俺はずっとその女の子から目線を離せなかった。


「相談部部長の2年6組、小倉凛(おぐらりん)です。相談部は相談事があった時にその人を助ける部活です」


 名前の通りの部活。至って普通の部活と思ったが、

 いろいろ声が聴こえてきた。2年生の方からだ。


「あいつ、1人でよくやるよ。男を取り込む気?」


「普段ノリとか悪いし。なんかムカつくって感じ」


 正直こういうのを言うやつは嫌いだ。いつから空気は読む物になったんだ? ラノベでも読んでろ、って思うんだよな。でも何か嫌われているらしい。なぜなのだろう。


 そんな中、相談部の紹介は終わったようだ。終始、笑顔で紹介してた先輩の顔に最後悲しい顔が見えたような気がした。


「テルはどこ入るの?」

 部活動紹介が終わるとクラが話しかけてきた。


「俺は帰宅部って言いたい所だけど、一目惚れした」


「おっ、ついにテルも恋ですかこのこの〜」


「ちっ、うるせぇよ。それになんか見てられなかったし」


「? テルはどこ入るの?」


「相談部」


「え、相談部?」


「まぁ」


「あそこ評判悪いけど大丈夫? まぁ私も信じてはそんなにいないんだけど」


「てか、なんであんな嫌われてるんだ?」


「いろいろあるけどやっぱり噂だよね。なんであんな自由な部活があるんだとか、やけに頭がいいから優遇されてるとか」


「だから孤立してるのか……」


「まぁ凛先輩可愛いしね。テルが惚れるぐらいの女の子だもん。それぐらいじゃないとね」


「なんだよそのお母さん感。てかクラとシンはテニス部だっけ」


「そうだよ! 応援してね。高校生になったんだし、シンを落としてやる!」


「頑張れよ。応援してる」



 そして放課後。相談部は3階のセミナー教室らしい。向かう時に凄い変な目でいろんな人に見られたけど。


「ここか……えーと失礼します」

 そう言ってドアを開けると、窓から外を眺めている先輩が凄いかわいかった(語彙力)。


「君、もしかして入部希望者?」


「えーとそうですけど」


「本当に!? 入ってくれるの!」

 そう言って手を握ってきて、ブンブン振り回された。理性をなんとか保ちながら、


「基本的にこの部活は相談を受けるんですよね。どんな感じでやってるんですか?」

 と質問した。


「相談なんて、めったに来ない。最近はただここでずっと外を眺めてるだけ」


「え……そうなんですか」


「だけどね。君が来てくれて本当に嬉しい」

 そう言ってクスッと笑う先輩。


「それはとても良かったです、小倉先輩」


「凛でいいよ」


「いやそれは流石に……凛先輩で」

 流石に呼び捨てはハードルが高すぎる。しかも年上だし。


「じゃあ私は清輝君って呼ぶね」


「わかりました」

 わからん……距離の詰め方がわからん……


「じゃあさ、はい」

 そう言って出されたのはスマホ。画面を覗き込むとQRコードが映っている。トークアプリRIME(ライム)の友達登録の時に使うQRコードだ。


「え、いいんですか」


「いいよいいよ。私そんなに友達いないし」


「じゃあ登録させていただきます」


「なんで敬語になってるのよ」


「はは」


「これからよろしくね。清輝君」


「こちらこそ。凛先輩」


 そう言って握手を交わした。


 こうして俺は相談部の部員になったのだが、これからいろいろあるわけで。あと先輩は凄い可愛い。

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