嘘がつけない世界
この世界はいつの日かは覚えてないが、嘘がつけなくなったのだ。
この世界では嘘をつこうとすると自然と本当のことを言ってしまうのだ。
「お前のことが本当に大嫌いだ」
「俺だってお前のことが嫌いだ」
最初はそんな話声が町中を歩いていて聞こえて来たが今はもう会話は聞こえてこない。
聞こえるのは子供の声ぐらいだ。
皆が皆、人との繋がりが減ったのだ。しかし、良かったこともある。嘘をつけないので、犯罪が減ったのだ。嘘をつけないからすぐにばれてしまうからだ。そうなればほとんど、犯罪は減ってしまう。詐欺もその一つだ。
人との繋がりが減った理由は明らかだろう。ついても良い嘘というものが存在するのだ。例えば、お世辞もその一つだ。それも言えないともなれば誰も原因だ。
嘘をつけるということのありがたみを無くなって初めて気が付いた。思っていたよりも嘘をつけないってことは深刻なんだな。そう思った。
店に行っても、店員はいなくなった。できる限りにいざこざなないように社会が変わったのだ。もし、嘘がつけるようになっても元の社会には戻らないだろう。
そんなある時、急に嘘がつけるようになった。元に戻らないと思ったけど、夢のように元通りになった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます