2-17 ★ ★ ★
宇宙局と銀河ステーションの中間になると、妙に暖かくなっていた。ガリレオから返してもらったジャケットを着ていると、汗が噴き出そうになるくらいだった。
「暑くないか?」
「暖かいけれど、暑くはないよ。調整機なしでも平気なくらいだね」
指さされた調整機は、確かに起動していなかった。先ほどまで冷えていたことを忘れたかのように、ガリレオは気持ちよさそうに背伸びしている。こんなに着込んでいるのが馬鹿らしくなって、ジャケットを脱いで腕にかけることにた。
「それにしても、どうして急に暖かくなったんだろうな。惑星調査でもこんなことは書いていなかったが」
ガリレオは目を細めて、次第に肩を震わせた。昔友人が似たような表情を思い出して、ふと頬が熱くなる。
「何をそんなに笑っているんだ?」
「アマノは、意外と、鈍感なんだなぁって思ったからさ」
「鈍感も何も、こんな現象を見せられたら誰だって戸惑うだろう」
「違う違う。アマノはもう、答えを見たからだよ。テストの答えと解説をしても分からないとなると、ちょっと困っちゃうだろう?」
「答えは、まだ見ていない」
「いや見たさ」
頑としてまだ引っ張ろうとするので、この星でも見てきたことを思い返す。それでも思いつくのは、この星の聖典が大木であることぐらいだった。「分らんな」。
「答えはさ、新型のダイソン光球だよ。旧式で遮られていた光がやってきたのさ。それで急激にだけど、元の季節がやってきたんだよ」
あぁ、なるほど。こうなると分かっていたのだとしたら、ジャケットなんて着てこなかったんだがな。
「やっぱり、ガリレオ。お前はストロワ=マチマで悪い性格になったんだよ」
「そんなことはないさ」
すっかり暖かくなってしまった星の空を見上げると、新月は少しずつ満月に近づいていた。ありえないような天体現象だが、ガリレオの言う通りのことがあそこでも起こっているんだろう。
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