第2話 空いてるはずのベットで眠る人

 夜勤の巡視。

避けては通れない夜勤の仕事。

実際のところ、「巡視の時間」なんてものはない。

検温に回ったり食事の準備、配薬、点滴、寝る前の準備などなど患者さんのところにいく用事が多々あるからだ。

消灯後も結構やることたくさんあるので、その合間に巡回したり。

あとはナースコールで呼ばれたついでであったり。

吸引が必要であったり。


 夜中でも一時間に一回は見回りをしろと決められている。

なのでそれぐらいのペースでは見回りをしている。


 そんなある日の夜勤のこと。

夜中、ふと手が空いたので巡視をしようと立ち上がった。

ナースステーションを出た病棟の廊下は意外と明るい。

消灯はされているが、足下に常夜灯が照らされている。

夜中でもトイレに起きる患者さんもいるので、真っ暗だと危険なのだ。


 ひとつひとつの部屋に入り、カーテンを少し開けて覗く。

患者さんがきちんと眠っていること、点滴がきちんと落ちているかなど静かに確かめているのだ。


 ある大部屋を巡視していた時のこと。

全てのベットで患者さんが眠っているのを確認して部屋を出た。

忙しい夜勤。

次にやらなきゃいけない仕事を考えながら巡視を終えた。

 

 しかし、その瞬間。

とんでもないことに気づいた。


「一番手前の患者さん、昨日亡くなってる!」


 慌てて振り向くとそこにはシワ1つない、綺麗なベットだけが残されていた。

つい先程、そのベッドで寝ていたのは誰だったのであろうか。




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