声劇、朗読台本1人用「日本の四季」

コペル

「日本の四季」

男女不問



日本には、春夏秋冬、折々の季節がある

それ故に、季節によって使われる言葉も、数多く存在する

誰しも、一度は耳にした事があるだろう

「枕草子」の一文「春はあけぼの」

この言葉は、春は日の出前

夜が明ける頃の空が、何より美しいと言う

では、夏はどうだ?

同様に「枕草子」の一文では「夏は夜」

満月の日は勿論、真月の日であれば

蛍の光がより美しく映る

季節が過ぎると「秋は夕暮れ」

日没前に鳥が山へ戻る様子や

日が落ちた後、虫たちの声が美しく聞こえる

時が経ち、空気が冷え込んで来た頃の「冬は早朝」

霜が降り、雪の積もった真っ白な景色は美しい

このような、季節によって移り変わる言葉は

時代が変われど、風化せずに残っていくだろう

ただ、景観だけが四季を表しているだろうか?

人の目線なら、五感でも表現出来ないだろうか?

視覚での表現は、「枕草子」でされているが

味覚、嗅覚、聴覚、触角、それぞれを使って

四季を表現する事は、難しいだろうか?

そんな私の浅はかで、単純な疑問を

これから1つずつ紐解いて行こうと思う

まずは「味覚」から

春はたけのこ、夏鰻

秋はさつまいも、冬は勿論カニ

シンプルで、わかりやすくなったが

主体が「美しい」から「美味しい」に変えると

途端に深みが無くなってしまう

それでは次に、「嗅覚」を使ってみよう

春は梅、夏は焼けたアスファルト

秋は金木犀、冬、冬は……無臭

しまった…冬は多くの虫も動物も植物も眠っている

澄んだ湧水のような、空気の匂いはするが

それは、鼻で感じた寒さであって、匂いでは無い

簡単に思っていた「嗅覚」だが

四季を表現するには、難しいようだ

では、「聴覚」ならどうだろう?

春はウグイス、夏は蝉、秋は鈴虫、冬は静寂

やはり、「聴覚」でも冬の表現が難しい

日が早く落ち、長い夜の中、暗く寒い冬は

眠りや死を、安易に想像させるからだろうか

最後に、「触角」で考えてみよう

春は陽だまり、夏の汗、秋はドングリ、冬は炬燵

確かに表現出来るが、「味覚」と同じく

少し短絡的になってしまう

やはり、1つの感覚で四季を表現するのは

「視覚」が1番、わかりやすく伝わるのだろう

ただ、「視覚」だけでは感じ取れない、季節の顔を

五感を使い、体験する事でまた新しく

深みのある表現が生まれて来るのかもしれない

「春はあけぼの」のように






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