第3話:友隆の初恋
友隆は初恋がとても特殊だった。なぜなら、初恋と呼べる恋をしたのは彼が中学1年生の時だった。彼が中学校に入学して少し経った時だった。当時、同級生のほとんどは付き合っていて、彼女がいないのは学年で3割程度しかいなかった。そこで、彼は一念発起して彼女を作ることにしたが、同じ学校内で彼女としてみてくれる子はいなかった。むしろ、ほとんどの女子は彼氏が同じ学校にいるか、隣の学校にいる事が分かり、ひとりうなだれていた。実は、彼には3年間片想いをしている女の子がいた。その子は彼が小学校の時から通っている塾に一緒に通っている沙希菜ちゃんという同級生だった。彼女は身長こそ小柄だが、性格は優しくて、周囲にも面倒見が良いことで評価を得ていた。そして、目が一重で小顔というなんとも言えない可愛さに優越感を彼自身は感じていた。小学生の時はあまり感じていなかったが、彼女に対して恋心を抱いたのは小学校6年生の時だった。ある日、塾が終わりみんなで帰っていたときにふと横を見ると彼女が僕に何か言いたそうにしていた。自分は何を言いたいのかをその時は分かってなかった。まだ小学生の2人に恋なんて言葉は早いのではないのかな・・・。という感情も同時に芽生えていた。実は友隆は幼稚園の時にも好きな子がいた。その子は七海ちゃんというすでに完成しているのではないかというくらいかわいい子だった。しかし、彼は彼女と仲良くなることは出来たが、その先は全くうまくいかなかった。なんと七海ちゃんは同じクラスの俊介君に恋心を抱いていたのだった。もちろん、このとき友隆は七海ちゃんが俊介君に恋心を抱いていることを知らない。その後、彼女が「俊ちゃん!」と俊介君を見つけたときに駆け寄っていったことで彼は幼いながらも状況を理解した。そして、小学校も隣の学校だったため、幼稚園を卒業してから離ればなれになってしまった。そして、小学校に入ってすぐに塾に通い始めた。理由は両親があまり勉強する習慣がなかった彼に対して、少しでも勉強をする習慣を付けて欲しいと思ったからだった。そして、3歳離れている兄も5歳離れている姉も同じプロセスを辿っていることもあった。当時、クラスメートは友隆を含めて10人程度で学年があがる毎に15人、20人と人数が増えていった。沙希菜ちゃんが塾に来たのは小学校3年生の時だった。彼女はその地区では進学校と匹敵するレベルの中学校を受験するために塾に通い始めたのだった。第1印象はおっとりした感じだったが、成績はクラストップクラスで周囲からも一目置かれる存在だった。そんな彼女と一緒に学習しているうちに意識し始めていた。
その後、2人が小学校6年生になった頃、友隆が沙希菜に心を揺らされていた。彼も同じ学校に行こうとしたが、女子校だったため、その夢は叶わなかった。そして、せめて自分と付き合って欲しいと思った彼は彼女に告白した。彼女の答えは「友達」という彼にとってはこの上ない答えだった。彼の本音としては付き合いたかったが、彼女の勉学を優先したいという気持ちを尊重してすることで彼女との友人関係やこれからの発展を考えることが出来るなら我慢しようと思ったのだろう。彼のはかない片想いは友人として歩み始めた。
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