第2話:生まれたときから大波乱
1996年10月、冬の風情が街を包み始めた頃に慎太朗は生まれた。
彼には健太朗と優希という周りからも優しいと評判の兄と姉を持っていた。しかし、慎太朗が生まれると聞いて喜んだのは兄だけだった。なぜなら、姉は妹が欲しかったため、自分の事をその時は受け入れられなかったのだろう。
彼女にとって慎太朗は弟であり、家族であることは間違いないのだが、どこか違和感を覚えていた。そして、姉は彼がいるときには友人を家には連れてこないし、一緒に遊んでもらうまでに約1年を要した。
そして、人見知りがなくなったところで、近所の子供達と一緒に遊ばせてみることにした。すると、母親は遊んでいる姿にどこか違和感を覚えた。それは、他の子たちが遊んでいるところに声を掛けに行くのではなく、相手から声がかかるまで待っていたのだ。母親は「健太朗はこのくらいの時にはもっとみんなと遊ぶことを楽しんでいたのに」と首をかしげていた。そして、彼が2歳になると突然、両親が別居してしまい、近くに住んでいる母親の実家に子供たちは預けられた。別居した理由も母親の夜遊びと父親の多忙というどちらも難しい理由だった。その後、母親は以前から仲の良かった別の男性と仲良くなり、その男性との間に女の子の双子を授かった。この知らせを娘に知らせると、まだ5歳だった姉にとっては嬉しくて仕方なかった。後日、彼女は妹たちと初めて会った。そのときは嬉しくて涙をこぼしてしまうくらい気持ちが高ぶっていた。
そして、父親とはそれから3年間別居し、2年目以降は週末だけ自分たちの家に帰って良い事になった。そして、父親も母親も話合いを持って再び元の生活に戻ることになった。しかし、母親と友人とされる男性との間に生まれた子供の親権は母親になったため、我が家で引き取ることになり、一気に5人兄弟になったのだ。そして、母親は親権を取得した事を父親に知らせなかったため、危うく夫婦喧嘩に発展するところだった。
その後、子供たちと生まれた双子の娘と一緒に我が家に帰ってきた。生まれた娘は子供たちとは初めてではないが多くは会っていないため、どこか新鮮だった。
そして、家族が3年ぶりに一緒の食卓で夕飯を食べると懐かしい気持ちになった。久しぶりに父親と食べた子供たちがすごく嬉しそうだった。ただ、娘はどこか心中が複雑になっていた。というのは、彼女には血のつながっている姉妹が欲しかったのだが、今は血が半分しかつながっていないという事実を受け入れることがまだ出来ていなかった。そして、兄も弟と妹が両方できたのは嬉しかったが、妹と同様に血のつながった妹が欲しかったのだ。
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