第2話話を整理しよう

 OK。まず読者にも分かりやすいように話を整理しよう。

 第一に俺がいる世界――ノーディアスについてだ。

 ノーディアスは旧神ノーデンスがどっかの次元で保護している世界だ。細かい座標は言っても人間の知覚の範囲外なので言わない。

 世界観は典型的な剣と魔法の世界で地球でいえばなんちゃって中世風。ロココなドレスに文化は日本。名前は英語名とドイツ語名が入り交じっているとか色々一致してないとか当たり前。それ以前に人権意識とか科学法律その他諸々に対しておつむが大分可哀想なことになっている箱入りの異世界。

 何年か後には魔王とやらが復活して勇者と戦う予定のこちらのノーディアスは安直な悲劇やありふれた少女小説を描きたい、楽して稼ぎたい、努力せずに世間に対してざまぁしたい、ハーレムを築きたい、et ceteraを叶えるのにうってつけな物件となっております。

 30年ローンでこのお値段。イヤー参ったネ!お客さんにそんなこと言われたら勉強しなくちゃいけない。さらにナビとアフターサービスもつけちゃいましょう。勿論安心の10年保証。いえいえまだこれからですよ奥さん。今から30分以内にお電話いただいた方にはなんとチート能力をお付けします!これさえあればノーディアスでの生活は悠々自適!ご満足いただけなかったらいつでも全額返金いたします!

 なんでノーデンスがこんな世界保護してるかって?知るかそんなん……と言いたいところだがざっと見た感じ亜人魔族含む9割の住民からノーデンスが光の神、つまり最高神として信仰されてるんだなこれが。それでお気に入りなんだろう。多分。メイビー。だって旧神の思考回路とか人間に説明してもしょうがないし。

 さて次に説明しておかなければならないのが、ノーディアスに生まれた者の内、地球の事を『思い出す』奴らがいることだ。奴らは俺(ニャルラトホテプ)のような邪神や高位存在によって操作されている。

 例えば地球の事を現実、ノーディアスを漫画やゲームの世界だという風に認識して行動を開始する。前回俺が原作漫画では俺――メレアガンス――は悪役だったと認識していたように、それぞれ生まれ持った役割を利用したり拒否したりするように仕向けられているのだ。俺を治療した聖女オロールもノーディアスをオープンワールド型RPGだと思ってチート能力を磨いてたってわけ。

 そうそう前回から出ている邪神だ旧神だ一体全体なんだって言うんだという皆に自己紹介せにゃならん。

 アメリカの怪奇小説家H.P.ラヴクラフトが創造した混沌と狂気に満ちたシェアワールドクトゥルフ神話。宇宙的恐怖を描く作品群において大いなる唯一神の威光を覆す外なる神の一柱。這い寄る混沌、999の化身を持つ無貌の神、あるいは月に吠える者。ほとんどの旧支配者が旧神に封印される中自由に行動し、外なる神の王アザトースの意思を伝えるメッセンジャーにして愉快犯。それが俺、ニャルラトホテプなのである。

 まあ今はメレアガンス・トーチっていうただの貴族の子供なんだけどね!本体や他の化身には着拒されてるしどうしようねこれ。

 ラヴクラフトの作品のキャラがどうして異世界転生してるかって?ははは。そもそもラヴクラフト達が創作と言いながら人間にとって不都合な真実を描いていたと何故思わない人間くん?

 外なる神の実在はさておきニャルラトホテプ(本体)の目的はただ一つ。「なんかノーデンスが愉快な世界持ってるから遊んだろ!」ただそれだけだ!


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