第144話立派な美食家

そしてわたくしはスプーンで生卵をかけて混ぜたご飯を口の中へと運ぶ。


するとどうだ。


わたくしが想像していたように口の中には幸せと言う名の美味しさが広がっていくではないか。


一歩踏み越えた先に未知の美味しさがそこにあるのだ。


美食家達が遠方までわざわざ足を運んでまだ見ぬ料理を追い求める理由は、きっとそこにあるのであろう。


そう思える一口である。


しかし、この生卵をかけただけのご飯、所謂卵かけごはんという料理なのだが、生卵をかけるという行為やぬるっとした見た目等により初めこそ気付かないのだが、その美味しさをしり、そして卵かけご飯に対する信頼と安心感から嫌悪感という色眼鏡抜きでこの料理を見た時、再度この料理の凄さを知る事ができる。


この料理の凄い所は卵をご飯の上にかけて『おしょうゆ』をかけただけの料理なのだ。


ただそれだけの料理であるにも関わらずこの味の奥深さたるや。


とてもではないがこんなにも簡単にできる料理の味ではない。


王国で似た様な簡単手軽な料理と言えばパンの上にバターかチーズかジャムを乗せる位であろう。


卵を扱うにしろ生で卵を扱うという発想が無い為、火を扱う時点でひと手間であるし、バターにベーコン、チーズに、欲を言えばブラックペッパーは欲しい所である。


それに乗せただけよりもバターもチーズも焼いて溶かした方が美味しい事を知っている為とてもではないがバターやチーズをのパンに乗せただけの料理を【完成形】と評する事は出来ない。


もし、王国にもこのご飯が入っている入れ物の様に温かい状態でパンを温かい状態で保てるアーティファクト人工物があればまた違ってくるのかもしれない。


いつでも温かいパンが食べれる環境………それはそれで魅力的ですわね。


そもそも以前のわたくしは温かい料理すらほとんど口にする事が出来なかった為、温かいというだけでもわたくしにとっては何よりもの贅沢でもあるという事に気付かされる。


そしてわたくしはここまで思考を巡らせて思う。


これでは、今のわたくしはもう立派な美食家ですわね。


そう思えばこそ、次はあの『なっとう』という食べ物が気になって来たので、明日はあの『なっとう』を食べてみようと思えてくる。


王国にも『トナオ』という似た様な食べ物はあるのですが、そのまま食べるのではなく、更に水分を飛ばした後、すりつぶしてペースト状にしたものを伸ばして生地状にしたのち天日干しにした物を焼いて食べるという保存食の一種として冒険者たちが食していたり下町で販売していたりしている所を見た事はあるものの、それだけである。


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納豆は日本食のイメージありますが陸路での貿易が盛んな地域、特にシルクロード付近では日本よりも遥か昔から食されているメジャーな食べ物であり、その食べ方も日本以上に多彩だったりします(*'▽')調べてみると意外と面白いですよ

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