第145話礼儀作法
そんな事を思いながらわたくしは朝食をぺろりと平らげる。
以前までは嫌いだと思っていた魚も今では『おさしみ』から焼き魚までわたくしの好物の一つとなっているのだから驚きである。
しかしながら陸の動物の肉ですら、馬、羊、豚、鳥等、その種類によって味が全くと言って良いほど異なり、更には同じ動物ですら生きて来た環境、家畜か野生かで味や臭みや柔らかさ等までもがガラッと変わって来るにも関わらず、以前までのわたくしは「魚は魚」として一纏めに考えていたのだから、今思えば何と浅い考えであったかという事が分かる。
だからこそ、食わず嫌いだけはこれからしないでおこうと心に誓いながら「ごちそうさま」と皆様にならって手を合わせるのであった。
◆
朝食を食べ終え、今現在は旦那様とルルゥ、そして『にほん』側の執事であるジョンと共に真っ黒い馬無し馬車乗り込み、どこかへと走っていく。
今回の馬無し馬車は昨日と違い小ぶりなのだが、乗り心地は抜群である。
馬車とは思えぬ程、揺れも無ければ、昨日の馬無し馬車の様に唸る気配も無く、しかしながら物凄いスピードで走って行くのが窓から見て取れるのだから頭が混乱してしまいそうだ。
一応今日一日の行動について旦那様に聞かされた事を纏めると
〇婚姻届けを出す
〇宮家の力を使い裏ルートで日本国籍の入手
〇他の宮家並びに旧華族の代表たちに挨拶
〇今後の打ち合わせ(主にわたくしを日本へ住まわせるメリット等)
だそうだ。
婚姻届けも、日本国籍を入手する手続きをする場所も、挨拶も話し合いも同じホテルの一室で一気に行うらしく時間的には半日程度で終わるだろうとの事である。
しかしながら旦那様は日本でも貴族なのかもとは思っていたのだけれどもまさか高貴な血を引くお方であるとは思いもよらず、今更ながらにとんでもない所に嫁いだものであると思う。
王族であるシュバルツ殿下に捨てられたわたくしを拾ったのもまた、高貴な血の旦那様とは、人生何があるか分からないものである。
そんな事を思いながらわたくしは、ルルゥとジョンに教えてもらいながらここ『にほん』での挨拶における初歩的な礼儀作法を頭の中に叩き込んでいく。
旦那様は「気にしなくても良い。王国での作法でも別段問題は無いと思う」とは言ってくれるのだが、だからと言って貴族故に礼儀作法の重要性は痛い程理解しておりますし、なによりも旦那様の優しさに甘えるて何一つとして『にほん』での礼儀作法を覚えようとしないのはそれはそれで違うとわたくしは思う。
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この度、当作品を含めて四作品、カクヨムコンテスト6恋愛部門の読者選考を突破する事ができました事をご報告と共に、感謝の言葉を述べさせていただきたいと思います。
皆様、ありがとうございました。
一つ、肩の荷が下りた気分でございます。
受賞作品の結果発表まで後二か月程ありますので、ドキドキでございます(*'▽')長い
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