第124話神は死んだ
そしてわたくし達一行は『にほん』側の使用人達によって案内をされる。
その間両国の使用人たちは仲の良い者同士でグループを作り、久しぶりに会った者同士の会話に花を咲かせているのが見える。
久しぶりと言っても『にほん』側も王国側も個人では各々の休日を使ってお互いの国を観光がてら行き来しているみたいなのだが、このようにして一同が揃って会う事は年に数える程しか無い様で前回こうして皆で会った時の事を懐かしんでいる様である。
そんなわたくしはというと、安奈が腕を絡めてきてここ日本について色々と、ルルゥも交えて教えてくれ、その話はどれもワクワクとしてしまう。
しかしながら安奈はルルゥの娘であるララと同年代、下手をすれば年下に見えるのだが、安奈本人は気にしているみたいなので言わないでおく。
わたくしは、安奈は安奈で可愛らしいと思うのですが、コンプレックスというのは人それぞれでございましょう。
悪意を持って触れるのとそうでないのとでは相手の感じ方もまた全然違いますでしょうし、相手の事を────
「それにしても安奈、いつ見てもちんちくりんですね」
「お母さんサイテー」
「そうだそうだっ!!ルルゥさんはデリカシーのかけらも無いんですかっ!そしてこう見えてもまだ私は成長途中であると信じてますっ!!」
「こんな、二十歳になっても夢見る子供の様な事を言う可愛らしい小動物の様な愛くるしい安奈ちゃんに対して本人が気にしている事を知っていて言うなんてっ!!私だって安奈ちゃんの胸のサイズよりも育って来た事を隠して来たのにっ!!」
「えっ!?はっ!?へっ!?う、嘘ですよね?ララちゃん?た、確かにここ最近ララちゃんの発育も良く私よりかは大きくなって来たかなーなんて思ってはい、いいい、いたのだけれどもぉ………ラ、ららちゃんってまだ小学生だよね?」
「はいっ!!今年で十一歳、小学五年生ですっ!!」
「か……」
「か?」
「神は死んだっ!!」
────思えばこそ、と少し前のわたくしは思っておりましたが意識せず触れる事の残酷さを、本日わたくしは知る事が出来たのであった。
◆
そんなこんなで姦しくも楽しく移動しながら案内された大広間かつ本日の宴会場へとわたくし達は案内された。
そこには草を編んだ物でできた床の上に小さな台が人数分、計二列に置かれており、その台の上には一人分であろう見た事も無い様々な料理が置かれていた。
「旦那様と奥方様の席はこちらでございます」
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