第113話とても美しい
そして明らかに煽って来る彼等を殴ってやる事にする。
あんなに分かりやすい煽り方をして来る程である。
恐らく彼等は俺が殴って来るのを待っているのであろう。
先に殴られさえすれば警察が介入して来た時に圧倒的優位に立てるという事が思いつけるくらいの知能はあるみたいなのだが、彼等には本当に相手にしては行けない人種がいるという事をその身でもって体験してもらうとしよう。
そして俺はトン、トン、と小刻みのジャンプをして身体をほぐし始め、人を殴る体制へと入っていく。
これでも立場が立場である為ボディーガードが突破された時を想定して大人になってから護身用としてキックボクシングを習い始めているのだ。
ただのチンピラ崩れ二人如きに負ける様な練習はして来ていない。
「ストップっ!落ち着いて下さい旦那様っ!大丈夫ですっ!この人達は私達が雇っている人達で、奥方様をナンパする様に私達が仕組んでいただけですなんですっ!」
そして身体をほぐし終え手始めに蹴り技をその無防備な顎に向けて入院もやむなしと思える程全力で入れようとしたその時、ルルゥが俺とチンピラ崩れの間に入り、俺の蹴り技を入れる前に止めに来る。
「あ、これ今日の分のお給金ですっ!もう終わりですから帰っていいですよ。お疲れ様でしたー」
「「お疲れ様でーす」」
「………」
そしてルルゥは俺を止めた後チンピラ達へ一人一万円を手渡しするとチンピラ達は今までの好感が全く持って持てない表情から好青年の様な表情へと戻って行くとそそくさとこの場から去って行くでは無いか。
「えーーっと………」
「この悪巧みはどこからだ?」
「は?」
「お前の悪巧みはどこからだと聞いているっ!!」
「ひぃぃぃぃぃいいいっ!!」
そして俺はルルゥを締め上げ、今回の一連の出来事が最初から出来レース(迷子のシャーリーは使用人達が尾行し、ナンパなどは強制排除し安全を確保の上で俺とシャーリーは踊らされていた)という事が分かると俺はその場で使用人達を正座させて小一時間説教をし始めるのであった。
さぞ恥ずかしかった事であろう。知った事か。
「しかし旦那様『俺の妻が泣いている?』と言った時は最高にカッコ良かったですよっ!!」
「ルルゥは更に追加で説教確定だな」
「そ、そんなっ!?ただ私は旦那様を褒めただけなのにっ!!」
「そうか、そこまでボーナスカットしてほし───」
「申し訳ございません旦那様」
そう謝罪するルルゥの土下座はとても美しかった。
─────────────────────────────────────────
月は出ているかっ!?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます