溺れる

 照川に連れられて、彼女の家に行った。オートロック付きの小さなマンションで、部屋の中は想像通り綺麗にまとめられていた。窓辺に小さな鉢植えがあり、その後ろに桃色のカーテンがかかっている。壁には古川との写真が数枚飾られていた。

「適当に座って。今お茶でも淹れるから」

 照川はジャケットだけ脱いで、髪の毛を一つにまとめる。揺れる髪の毛の下に、美しいうなじが見える。キッチンに消えようとする背中。

 後ろからその体を抱きしめる。

「真奈美さん……?」

「さっき言った恋人、女なんです」

「へ?」

 首筋に口を寄せると、照川の体は小さく震えた。抱きしめる力を強めて、キスを続ける。

「ちょ、だめ。そんなこと……」

 言葉に対して抵抗は弱い。やはり優しい人だ。

 服の隙間から手を侵入させる。冷えた手で照川のへそのあたりをなぞると、腰が引かれた。後ろには真奈美がいるので逃げ場はない。

「やめて、私相手がいるのよっ……」

 ようやっと危機感が勝ったのか、体をよじり始める。わざと解放し、逃げかけた腕を捕まえる。無理やり振り向かせた照川の頬は赤い。真っ白な肌によく映える色だ。

 苛立ちも何もなくなって、この人なら抱きたいと感じた。

 腕を掴んだまま壁際に追い込む。抵抗する照川の脚の間に膝を入れ、軽く揺すると体の動きが緩んだ。再び服に手を入れ、下着の上から胸を掴む。

「や、だめ、真奈美さん……」

 絞り出される声は、もはや扇情的でしかない。

「あたし、今本当に辛くて、淋しくて……美奈穂さんが声かけてくれて、とても心強かったんです……」

 高ぶる感情とは裏腹に、小さな声を出す。照川はそれを聞くだけで動きを止めた。

 優しすぎるのも考えものだ。

 手を下着の下に差し入れ、直接触れる。照川の腕を離しても、特に抵抗がなかった。遠慮なくスカートの下に手を入れる。ゆっくり深部に指を当てれば、そこはすでに濡れていた。

 漏れ出る吐息を聞きながら、淫らな女に溺れていった。

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