セックスフレンド

 『今夜どうですか』というメールに了承の返事をして笹本と待ち合わせ、会ってすぐにまぐわう。披露宴の日に抜け出した時までは、一回で終えようと思っていたはずだった。だが今では定期的に会う関係になっている。セックスフレンドとはよく言ったものだ。

今日も真奈美と笹本はベッドの上で絡み合う。

笹本の大きな手が乳房を下から持ち上げるように揉む。指先がその先端に触れ、強めにつまみ上げられると、真奈美の口からは艶めかしい声が漏れる。

「ね、気持ちいい?」

「はい……気持ちいい、です」

 暖房の効いた部屋で汗を垂らす笹本。腰を緩く振りながら、唇を舐める。

「どうして敬語なの」

 咎めるような、哀しむような声音に、そっと笑うことしかできない。生理現象で漏れた涙が、頬を伝って落ちていく。笹本はそれを口で掬う。

 ごめんと囁くような声で言って、腰を強く打ち付け始める。笹本の手は真奈美の腰を掴み、真奈美はその律動に惜しむことなく嬌声を上げる。笹本は汗が飛び散るのも厭わず、ひたすら腰を動かす。

 獣のようなセックスで、溶け合っていく。思考も、想いも、罪悪感も、全て混ざり合っていく。

 背徳感に満ちた快楽と、虚構で固められた愛の行為に、二人はどうしようもなく満たされている。

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