第101話 聖教教会
宗教者、それは何かの神を信じて疑わない人たちの事だ。この大陸では一番広まっている宗教は聖教信者と呼ばれるもので、勇者が魔王を滅ぼした力、聖なる力を信仰している。大陸中央には勇者の像が立っていることで有名だ。そして、その宗教の本部が大陸中央にあった。
大陸中央、シーラ大聖堂
「我が願いに、応じ、邪悪なる力に対抗する者よ、ここに馳せ参じよ」
たくさんの信者に囲まれながら、豪華な服装の老人が召喚陣の前で仰々しい呪文を唱えていた。老人が呪文を唱え終わると召喚陣から部屋を埋め尽くすほどの光が発生した。
「ん、ここは何処だ?」
光が収まり、皆が目を開けると召喚陣の中から人が現れていた。召喚陣の中から人が現れた事により信者たちからざわめきが広がった。
「沈まれ、皆の者」
呪文を唱えていた、老人が一声かけると信者たちのざわめきが一瞬で静まった。
「あの、ここってどこなんでしょうか」
そこで申し訳なさそうに召喚された人物が会話に入ってきた。
「ああ、勇者様、見苦しい所をお見せしました。私はここの代表をしている、ザルツブルグと申します」
「勇者?俺は桜木光って言う、ただの高校生ですけど」
「いえいえ、謙遜なさらずとも召喚された時点で貴方様は勇者様です」
「だから違うって言っているじゃないですか。それよりここは何処なんですか?見た感じ、何処かの教会見たいですけど」
「ここは、カトリーナ国のシーラ大聖堂と言う場所です。何故、勇者様をお呼びしたか事情を説明します」
「事情?」
「はい、実は魔王が復活するかも知れないのです。それに勇者様の召喚が成功したと言うことは、これは間違いなく、魔王が復活するという兆し、どうか、勇者様、この世界をお救い下さい」
ザルツブルグが光に向かって深くお辞儀をすると周りに囲っている信者たちもそれに習い、一斉にお辞儀を行った。
「とりあえず、もう少し説明してもらえません?」
訳が分からない光は、説明を求めた。信者に囲まれながらも、光は建物の奥へ消えていった。
フェリクスはと言うと、もうカトリーナ国にいた。転移魔法陣がある以上、大陸のどこでも直ぐに移動可能だった。連休の帰還は4日なので、それまでにフェリクスはユグドラシル様の言った神力の正体を見つけなければならない。フェリクスは勇者召喚と聞いて、当たり前の様に、聖教信者の教会だとあたりを着けていた。
その頃、レイヴァース国、クレソン商会支部
「こんにちは、マリアンヌさん、フェリクス君はいますか?」
「これはアリサ王女、副会頭なら、出かけていますよ」
「出かけている?あのめんどくさがりのフェリクス君が?」
「ええ、あのめんどくさがりの、あの副会頭が」
「なんか、あやしいですね」
「はい、軽く質問してみましたが、すぐにはぐらかされました」
「何処に向かったんですか?」
結局の所、フェリクスが何処に向かったのかが問題なのだ。
「私も気になりまして、こっそり調べました」
「そうなんですね」
2人は面白いのか、軽く笑いながら、話を続けた。
「それで副会頭は大陸中央のカトリーナ国に行っていることが分かりました」
「あの聖教教会の本部がある国ですか」
「はい、そうです。しかし、何で副会頭はクウェート地方の事もあるのに、カトリーナ国へ向かったのでしょう」
「それは行って見れば分かることですね」
「カトリーナ国に行かれるのでしたら、転移結晶をご用意しますが、いかがしますか?」
「一回、王城に帰って、許可を取ってきます」
「分かりました、それなら準備しておきます」
「お願いします」
アリサはマリアンヌにお願いをすると王城に急いだ。
「くっしゅん」
フェリクスから突然、くしゃみが出た。
「風邪でも引いたの?」
「いや、突然、寒気が」
「なら、誰かさんが噂かもね」
「そんな噂をされるような事したかな」
フェリクスは首を傾げるが、その様子を見たシルフはため息をついていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます