第77話 情勢
本来なら、ディスガルド軍はあまり優秀な軍ではない、正面からぶつかれば、ディスガルド軍は決してレオンハルト軍に勝てないだろう。その結果が兵器を無効化されて浮き彫りになっていた。
「全く、どうなっているのだ、我が軍が押されているではないか」
アースガルド王は玉座の間で言われていた予想と真逆の状況に苛立ちを覚えていた。
「すみません、恐らく、敵国は、精霊使いを導入したとものと思われます」
「お前が一番、恐れていたという、あれか」
「はい、想定よりかなり早く、兵器の破壊方法に気づかれました」
「ではどうするのだ、話を聞く限り、同時に兵器を使っても対処されたと聞いたぞ」
「ご安心を次の策は考えております」
「それは大丈夫なのだろうな、レスターよ」
「勿論でございます、陛下」
レスターは表面上取り作っていたが、内心ではかなり焦っていた。事前に得ていた情報ではこんなに早く攻略されるはずはなかった。しかし、本当の事を言えば、レスターと言えど、アースガルド王に処刑されることが目に見えていたので、本当の事を伝えるわけには行かなかった。
何が起こっているのか、分からないレスターは、玉座の間を後にして、話を持ってきた商人の元に急いだ。
「どう事なのだ、説明しろ、クロウ」
部屋に入るなり、レスターはそこにいる人物に怒鳴り込んだ。クロウと呼ばれたのは、このディスガルド帝国に精霊を材料に使った兵器、ゴースト・フェアエンデルングを持ってきた商人だ。
「最初にお伝えしたはずだ、精霊使いにはあの兵器を破壊することが出来ると」
「そんなは分かっている、私が聞きたいのはレオンハルト国には精霊使いが少なく、出来ないといった貴様の情報の方だ」
「・・・それについては間違いない」
「では、何故、今、我が軍は劣勢なのだ」
「考えられるのはレイヴァース国に行っていた王子が帰ってきた事ぐらいだろう」
「可能性があるなら、何故、先に言わない、お前は馬鹿なのか」
レスターは、最初にそれを言わないクロウに怒りが爆発していた。
「そうだとしても、王子は精霊使いとしてもまだ、未熟のはずだ」
「レイヴァース国は優秀な精霊使いが多い国だ、そこで急激な成長をすることもあるだろう。わかるか、お前の言っている事は過去の事なのだ、今後はそこを肝に銘じておくことだな」
「すみません」
「それで、言っていたではないか、まだ、奥の手があるとな、それを申せ」
「しかし、それは・・・」
歯切れの悪いクロウに対してレスターはさらに口を捲し立てた。
「分かっているのか、今、貴様が生きていられるのもその奥の手があるからなのだぞ、それが無かったら、今頃、儂がこの手で貴様を八つ裂きにしている所だ」
「分かりました、では、そのように準備します」
それだけ言うとクロウは部屋を出て行った。ここでディスガルド帝国の一番の予想外はフェリクスだろう。フェリクスがいなければ、ディスガルド帝国は優勢のまま、戦争は終わっていたはずだ。しかし、フェリクスの登場によって全てが狂い始めていた。
そして、今回の使われるはずのないものによってさらに戦場は混乱することになる。
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