第108話VS魔法少女300体 その3
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その場で繰り広げられたのは一方的な蹂躙劇だった。
「最初から全力でいくわよっ!」
少女は純白の翼を広げる。
そして、天使の法力を顕現させた神聖銀色のオーラを身にまとい、音速に迫る勢いで天に向かって飛翔――加速する。
「オーバードライブっ! 第4階位:主天使(ドミニオンズ)から第三階位:座天使(オファニム)にギアチェンジっ!」
少女は縦横無尽に空を舞う。
地に舞い降りる度に――獅子奮迅の如くに魔法少女達をロンギヌスの血錆に変えていく。
瞬く間に周囲の魔法少女の包囲網の一角を崩し、そしてその指揮系統は混乱の極みに達する。
「爆符:極獄炎……そして……大爆符:メギド」
戦場のそこかしこで大規模な爆発が起きていく。
「ふふ。今夜の輝夜にゃんは絶好調ねっ!」
半狂乱に達し、組織的な数の利点の運用という武器を失った魔法少女達が各々の判断で3人に突撃を仕掛け――
「雷符:潜土竜(せみもぐら)。所詮は理性を持たぬお人形。全く、本当に想定どおりに動いてくれるわ」
阿倍野輝夜の設置した地雷を次々と魔法少女達は踏み抜いていく。
焼き焦げた匂い、そして血の飛沫が戦場を覆い尽くしていく。
――天を血飛沫に染め上げる神々しき白翼の戦乙女。
――そして、地を朱色の炎で染め上げる爆炎の符術師。
瞬く間に魔法少女の数は激減していき――その残数は5分を待たずとして50を切った。
「ねえ、阿倍野輝夜? こいつらさ……バーストを使えないにしても……」
街中ですれ違えば、男性であれば誰しもが振り返るような愛らしい少女。
そんな彼女がウインクと共に舌を出した。
「土蜘蛛程度の力はあるわね」
学校内で、高値の花がすぎて誰もが声をかけることすらも憚る爆炎の符術師。
そんな彼女が、クールなすまし顔と共にこう言った。
「ええ、レーラ=サカグチ。つまり――私たちにとっては……まあ、雑魚同然でしょう」
阿倍野本家では危険ランクAとされる、危険指定認定の妖魔である土蜘蛛。
現代の、並みの退魔師では見た瞬間に逃げ出すような、それはそんな危険生物だ。
それをボロ雑巾のように殲滅していく――
――これが、現時点での阿倍野輝夜。そして、魔装天使(ドミニオンズ)最強の一角に数えられるレーラ=サカグチのリミッターを完全解除した全力全開の力量である。
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