第十二節:受胎と出産
時節は戻る。
グランシスディア・ゼロ、ギルド側の話である。
士気は充実しており、戦力もこれ以上ないくらいに増えたのではある。
剣聖候補生が来て以来、幽霊も虹もなりを潜めてしまっていた。
その間、ヒジリの修行の方も順調にいっているようであった。
唯一の問題も、この前解決されたところである。
皇位という重いものに縛られた、私が生んだ悲劇であったが、納得はしてもらえたようであり夜の営みもより進んだ。
そしてそのうち、受胎していることも分かったのであった。
子ができるという事はおめでたいことであるが、今回は魔導受胎というモノであり納得はできているようであったが、少し違和感はぬぐえなかった。
ただ、受胎できているとはいってもどうやら三つ子であるらしかった。
魔導受胎そのものはそんなに珍しくは無いが、三つ子というのはほとんどできることが無いというものであったためである。
母体の健康診断の末、分かったことは
未熟児などではなく魔導検診の末、完璧に近いことも分かったのであった。
「育てるのが大変ですね」とアスカ嬢は笑っていたが、私は少々複雑な思いであった。
皇位の継承順の問題があるからであった。
それから、しばらくは部隊から導師資格を取りに行くものが出たり、上級神官こと司祭になるものが出たりと少しあわただしい動きはあったが、タランチュラ側の動きはなく静かなものであった。
そして、母体のおなか周りが大きくなってきたころであった。
タランチュラ発見の一報が入ってきたのである。
とはいえ直ぐに見えなくなってしまって、追えなくなってしまったそうなのである。
にわかに忙しくなりつつある部隊ではあるが、偵察ではないか? という推測の元、前回取れたデータと照合させ同一機種と思われるということが分かったのであった。
すでに月日は半年が経ち、旧機種を運用していることといい陽動ではないか? という話しも上がるくらいであり、新機種に変わっているだろうという予測の元、警戒態勢を二段上げしたのであった。
こちらも透明になれる装甲のテストが終わっており、いつでも使用可能になるという事を技術陣から伝えられていたが、あえて合戦前にそれを披露せず奥の手として運用するという手法となった。
という旨の話となっていたのであった。
そしてさらに三カ月が経った。
アスカ嬢は、無事三つ子を産んだ。
支部隊内の病院で私はつきっきりで状態を確認しながら、クララとアルケミーデザイナーキザキと看護士の完全なバックアップ体制の元、産まれたときは病棟に響き渡るくらいの大きな産声であった。
キザキは「四週間は病棟で寝ていてしっかりと休んでください、それから八週間後までは絶対安静ですからね」と私とアスカ嬢にそういうと看護士に任せ次の患者の元へ立ち去った。
それからまた少し特に何もない週が続き、無事アスカ嬢が退院の運びとなり。
赤子の世話をしっかりと見れる様になったのであった。
名前は入院時に既に二人で考えられており、産まれる順で付けていったので特に問題は無かった。
魔導検診ではすでに産まれる順までわかるのである。
和名がよいだろうというわけで、カナコ(華那子)、マサヒコ(正彦)、シノ(志乃)という名前になったのであった。
親の字が与えられなかった理由は「さらにダブってもなぁ」という、私の発言があったからに他ならない。
面倒はアスカ嬢が主に行っていたが、私も仕事が暇や休暇であるときはちゃんと参加しており公私ともに忙しい日々がかなり続いたのであった。
タランチュラの沈黙はギルディアスの方でも確認しており、何かたくらんでいるのではないかという情報と共にこちらにも伝わっていたが、直ぐに動き出せるようなものは無かったのである。
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