第九節:魔導化学という名の化け物
アスカの様子がおかしくなって数時間後ようやく復帰した、がその直後ヨナ様からの手紙を読んでもう一度耳まで真っ赤に染まりまた倒れてしまった。
それとヨナ様の手紙には小包が括り付けられ厳重に封印されていたことだけはわかっている。
またワルキューレ嬢に介抱されるアスカ嬢がいたのであり、こればかりは私が聞くべきではないのだろうなというのをうすうす感じ取ってはいた。
まぁそれは横へ置いておいて、しなければならないことが山積みではあったのである。
まずは通信連絡部門から届けられた箱が五箱、三辺の合計が九〇センチメートルあるといえば大体のサイズを想像できるだろうか。
そして魔導転送機にこれでもかというくらい見事に溜まった太い書簡が三つうち一通はアスカ嬢宛であるのでまたそっと、倒れているうちに連絡受け箱にそっと置いておくしかないわけだが……。
残り二通は私宛で、ヨナ様の魔導印章と最高評議長と後はワシューリゥム四十五世の魔導印証が押してあった。
三連魔導印章が一つとあともう一つはニス家の半紋と公爵の半紋が押してある珍しいものがもう一通だった。
私は嫌な予感しかしなかったため、これを読むのを二通とも後に回したのである。
まずは「クララ、白騎士ガーシュタイン卿と供の者五名を呼び出してくれないか?」と私はいった。
「まあまずは、そっちが先ですよね」とクララ嬢は分かっているようで、お呼び出しを実行したのである。
「何か届いたとか」とガーシュタイン卿が上がってきた。
「供の方は? 荷物が多いのでお呼びしたのですが?」と私がいうと五人と共に中に入られたのであった。
「これを受け取ってください、そしてID票とカッパーのギルド証を預かります」と私がいって、まずはガーシュタイン卿にオーロラビジョンステータスのギルド証をお渡しし、カッパーのギルド証とID票を受け取った。
仕組みはご存じのようで「これを部隊全員に徹底させて頂くのと、ID票は箱の中へ入れてまた持って来ていただきたいのです。カッパーのギルド証も同様に箱の中に入れて持って来てください。共に管理はギルドマスターヨナ様配下の秘書課で
「その五箱を持って来ていただければ、通信連絡部門にて魔導転送で直に秘書課に転送しますので問題はありません」と追加でいったので安心はしてもらえたようであった。
「わかりました、十年は厄介になりますので、いったんお預けいたします」と良い回答を得られたのであった。
そして、次に通常処理が待っていたのである。
「それは、まだ読まないので?」とクララ嬢から突っ込まれてしまうが「嫌な予感しかせんので、後回しだ!」といい切って通常の業務を進めるのであった。
通常業務は
「まだ読まれないので?」とお昼を食べながらクララ嬢に突っ込まれるが、やはり嫌な予感しかしないので「まだ開けるには心構えが要りそうなのでな、追加の書類を片付けてからにしよう」といって遠ざけたともいう。
追加の書類を片付けているときに、ガーシュタイン卿自ら先導で五箱持って来られたのであった。
「やはり自身で体を動かさないとな、やってる気にならん」といわれたのであった。
「クララ、連絡通信部門の連結カートを呼んでくれ、五箱だからワンカートに載るとは思うが念のためだ」といって呼び出してもらい連結カートに「ID票を積むまでが仕事だからな」といってガーシュタイン卿はいの一番でID票の入った箱を連結カートに積載した、他四名も同様に処理されていった。
そしてそのID票が運ばれていくのを見送り「では、これで」と大隊部屋に帰っていったのである。
ガーシュタイン卿のID票もヨナ様に直に魔導転送機で届けてあるので問題はなかったという。
「さて追加の仕事を片付けるか!」といってそれから片付けたため夕食前には仕事が済んでしまっていた。
今日はヒジリは修行の日であるためサヨリ嬢と共にこの執務室にはいない。
介抱されたアスカ嬢が五時くらいに起き上がったがまだちょっと尾を引いていたため、そっとして置いたのである。
そして私は珍しく悩んでいた、どちらから読んでも地獄にしか見えないのだった。
クララ嬢がいった「こればかりは開けてみないとわかりませんがロクでもないものが飛び出しそうですね」と印章と紋を見ながらいったのである。
そして私は決意してヨナ様の印が入ったほうから開けだしたのであった。
内容を要約するとかなりエグイ内容になるのだが、読まないわけにはいかず引くことも許されなかった。
そして読み切ったが「本人の意思はどこに行った」としか答えを出せず。
もう一方も開封するしかなく似たような内容の文章ではあったが斑鳩の流麗な筆使いで和らいだ印象はあったが、内容は似たようなものであった。
「やはりどっちもどっちだが、皇位を持つ分重いんだな」と呟くにとどめたのであった。
これと似た内容なのかどうかわからないが、アスカ嬢のほうに行っているのだとしたら、怒りを通り越して逆に冷静になってしまう私がいた。
巻き込んでしまったかという失念があったのはいうまでもない。
私ひとり身であればこういうことは発生しなかったろうにと思ってしまうわけだが皇位を持つので致し方なく書かせてもらうと書いてあるだけましだった。
さすがにクララ嬢もこればかりは、といった表情でこちらを優しく眺めているだけであり。
特に口は挟まずヨナ様の
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