第五節:黒騎士完全復活と黒白相並ぶ

 それからリハビリというよりも、トレーニングに次ぐトレーニングをかけて調整した師匠とエリーさんがいたのである。


 この前の九十五パーセントといっていた時よりもさらに一歩踏み込まれ仕上がったのであった。


 機体に乗って、試射、剣技、動作を行う黒騎士、それを見守る皆といった状況が出来上がり、格納庫内に新たに設けられた実戦訓練所でデコイを相手に各種訓練を綺麗に実施する黒騎士が見られ、完璧だと皆にいわし占めた状態が出来上がったのである。


 実施されたお二人も、「ウッシ、言う事ねえ出来だ!」と師匠がおっしゃって、エリーさんも「これなら満点を付けられますね」といった完調の仕上がりであった。



「実践訓練場もいい出来だな、これならいくら外からのぞかれても見えねえからな」とは師匠の弁であり。実戦訓練場も良い出来に仕上がっていることの表れであった。


「修行もここで行うか?」と師匠がいわれ、エリーさんも「それがよろしそうですね。ここなら新しい技も出来そうですし」といわれたのであった。


 因みに黒騎士は騎士型甲冑方式のまさに黒い騎士といった様相の呈であるので、わが部隊こと指揮大隊に交じると、ミヒャイルⅢ同様に目立つのである。


 周りが斑鳩いかるが国と同様の外観を持つ戦国武将スタイルのMMに囲まれているからでもあったが、それは仕方がなかった。



 ギルドの部隊こと基地設備は拡張に拡張を重ね、かなりのものが仕上がっていった。


 そして七個大隊プラス指揮大隊で八個大隊が仕上がったのであった。


 もはやMMだけで、旅団規模といえるものでありかなり壮観であった。


 それだけに大将でしか運用できない軍と思わせられるものであり、致し方なかった。


 大将の上は上級大将、元帥、上級元帥の三位しかなく、多分これ以上上に上ることは稀であろうと考えられた。



 過去の黒騎士同様、荒野を彷徨う部隊があった。


 その大隊を白騎士大隊といって、どこの国にも属さずサリーネ神の教えを忠実に守り正義を執り行う部隊として有名な部隊であった。



 その知らせは第一報が支部隊隊長室に直接持ち込まれた。


 ギルド方式の暗号伝文であった、『白騎士大隊大隊長白騎士ヨリ、グランシスディア・ゼロ支部隊隊長殿ヘ、タランチュラ戦ヘノ合流ヲ許可シテイタダキタク、シバシソチラニ逗留スル所存ナリテ、一時期十年ホド、ギルド傘下ニ入リタク思ウ』といったものであった。



 この事態が発生したので、またヨナ様に直に電話する羽目になったのは言うまでもない。


 そして白騎士団メンバー全員のリストも送られてきたのであった。


 この前代未聞の出来事により、白騎士と黒騎士とが並び立つというすさまじい部隊にもなったのである。


 そしてヨナ様への電話でそのリストと暗号電文を書簡として魔導転送機で直に送り、無事ギルド証の発行と相成ったのであった。


 ヨナ様いわく「白騎士と黒騎士か、お互い因果なものじゃのう。えにしが寄り集まり、奔流となるのが見えるようじゃ。一応白騎士の願い通り、ギルド所属期間は十年とする。着き次第逗留先へ案内してやってくれんか、格納庫は増えとるじゃろう?」とこちらの内情をよく理解しておいでの様だった。



 実質、格納庫自体はもう三個大隊が増えても問題ない様に拡張してあったため、この件は問題にならず。


 すんなりと通ったのであった。



 過去に競り合った者どおしが、相並び立つという状況もあるにはあったが。



 師匠いわく「そりゃ大分前の話だ、俺の三代前の話だからな。よろしく頼むぜ白騎士殿」と第二十七代目白騎士ガーシュタイン・アドヴァーグ卿と握手をする第十四代目黒騎士ミハエル・Kケイ・カニンガム卿の珍しいツーショットが見られたのである。


 お互いのパートナーもそれぞれ、握手を交わしともに挨拶を交わしていたのである。



 そして「豪華な部隊になったな」と私は支部隊長室でいった。


「そりゃ、黒騎士様に白騎士様ですから。剣聖が来ても、もう驚くことはあっても腰を抜かすことはありませんよ」とはクララ嬢のいった一言であり。


 そこに居る皆は納得の表情であった。


 客室の追加は、各追加格納庫の中に設営されており、大隊定数最大の千人までが入居できるようになっているつくりであった。


 これに伴い警備大隊は警備師団に格上げになっており警備員だけで一万人を数えるのであり。


 支部隊としては破格の都市内諜報員も兼ねた警備部隊が出来上がったのであった。



 見学コースのほうも順調で倍率はさらに上がったが、イレブンチェックまでかけられるようになった。


 さらに見学者にもかなりの要求をかけることにもなったが、それ自体は好評であり、よりすごい部隊になったことを見せつけるものとなったのはいうまでもない。



 特に黒騎士と白騎士が並ぶその姿は好評を博し、グランシスディア・ゼロ都市内では大ニュースにもなったほどであった。


 各誌の一面をかっさらい、その一面を飾ったのは公式に握手をする黒騎士と白騎士のイメージデータであり、新聞にはその生写真を多少加工したものが載せられ、支部隊への好感度がかなり上がっていったのであった。







 時節は同じ、タランチュラ側。


「黒騎士に次いで、白騎士かよもう勝てる気しねーぜ」と全身刺青タトゥーの男は画面の中の大男に向かって言葉を投げつけていた。


「三年も経てば、いなくなるだろう? どうせ一時期だ気にするな」とはいったがどれくらいなのかは新聞にも出てなかったため不明であった。



 タランチュラ側には人族レース至上主義者が多く嚙んでいるため。


 人族の比率が必然と多くなり。


 寿命が百年ソコソコで終わってしまうため世代交代の時期に来ているのではあるが人族至上主義者は自分さえよければ後はどうなってもいいという考えの持ち主の集まりであり。


 子孫を残すなどという事は、ほとんどしないのであった。


 このため超赤ん坊スーパーベイビー計画なる人造の人間を作ろうという試みもあるにはあったが、技術者が揃わず計画そのものが前のめりに倒れそうな勢いだったのである。



 そして悪魔召喚においては、自らよりも高位の悪魔を呼ぶとコントロールされてしまい敵にはなっても味方になることは少ないので召喚術のほうも行き詰まりを感じていたのである。


 そこに持って来て、悪魔契約騎士暗黒騎士を作るための要の石であるデビルジュエルが尽きたこともあり、戦線を縮小せざるを得なくなってきていたのであった。


デビルジュエルの鉱脈はほとんどないため探し回ったがほぼ無理であったのである。




第十七章 第六節へ

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る