第六節:ヒジリの修行と剣聖候補生
黒騎士が完全復活したことにより、ヒジリへの修行が始まったのであった。
しかし、一風変わった教え方をしていたのである。
技は一回見せるだけというのは私の時と変わりないが、一週間開けるのであった。
要するに、習熟期間を設けているようであった。
最初、技を見切れなかったという事もあってそのようなスケジュールになっているらしかった。
特にこちらからは、何も口出しするまいとは思って見てはいた。
真奥義を教えているらしかった。
そこも私の時と、何ら変わることはなかったのであるが、師匠いわくヒジリは技を見切るのが少し遅いらしい。
「つーかお前が特別製なのかもしれないが、アスカ」とおっしゃり、「そういう意味ではお前が、一番弟子になるんだろうな」と追加でおっしゃったのであった。
白騎士殿も偶に見に来ては居たが特に口出しすることもなく、徐々に技を覚えていくヒジリを見て微笑ましそうに眺めるのであった。
微笑ましそうに眺めるガーシュタイン卿に師匠がどんなもんかねと聞いてみたりする様子もうかがえたし、それに答えるガーシュタイン卿も技に対する見識・慧眼が深く参考になるかなといった意見も提示しておられたのである。
ひとえに真奥義といってもその種類やパターンは無限にあり一人一人で異なるのである。
そのためか多くの部下を持ち、教える身になることの多いガーシュタイン卿は良い反面教師となったようであった。
それから一カ月ほど経った、とある日の事であった。
二番大隊の遺跡見回りチェックの際に、ジーン中佐から緊急電が入った。
即、支部隊長室で通信を受け取り指示をすることにして、状況と内容を確認することにした。
「こちら二番隊、ジーン中佐だ! 幽霊らしき騎士と対峙している騎士が、MMが居る。至急指示を乞う!」
「どんな騎士だ? それがわからなきゃ指示も出来ん、イメージを飛ばしてくれ!」と私はいった。
「今から
少し離れたところに光学迷彩をまとったMMが一機、それと対峙するようにこちらに背を向けたMMが一機居たのである。
その一機が特別であることは即うかがい知れた。
特徴的なマントをまとっているのである
「その騎士は特別だ! 助けの必要はない、多分こちらをカバーリングしてくれたのだろう」と私はいうにとどめた。
「MMを降りて、遺跡の確認をしていたのだろう?」とジーン中佐に私が聞く番だった。
「確かに一機を直衛に回して三人で遺跡を見に行ったのは確かだ……」とジーン中佐はいった。
「総長、手出しは無用でいいんじゃな?」と聞かれるので、「剣聖候補生、座天使の内の一機に相違ない、この世で十三機しかいない座天使のうちの一人だナンバリングを拡大できるか? それで座天使のうちの階位がわかるはずだ!」というにとどめた。
「ジーン中佐から総長へナンバーは三らしい」とマントの中央の座天使の絵より少し下に識別ナンバーが入っており、確かに三番となっていた。
「MMに乗り待機でいいと思われる、戦闘が終わり次第助けられた事による謝辞を述べておくといい。かなりできると思うので、各自MMに搭乗せよ、残りはMMのセンサーから絵をくれないか? 可能ならば、少し基地にご招待してみたい反応次第で変わるが対応は任す」とジーン中佐に伝えた。
そして、数手で幽霊が砕かれ、バラッバラに散った。
「あー確かに、あれじゃ助けに入る余地などないわい」とジーン中佐の呟きが聞こえたのであった。
そして、戦闘を終えた後、こちらに向いた機体に対しMM四機で一礼を実行した。
「こたびはお助けいただきありがとうございました。誠に感謝しても感謝しきれません。グランシスディア・ゼロ、ギルド支部隊二番隊のジーン・クレファレンス中佐と申します。もし貴方に時間の余裕がおありでしたら、わが部隊の総司令官がお会いしたいと申しておりますので、ぜひわが基地に立ち寄っていただきたいのですがどうでしょうか?」とジーンが申し出たのであった。
「こちらはたまたま停車中に、光学迷彩機を見つけたので何者か確認した際に戦闘に入っただけの事です。お気遣い無きように、とはいっても総司令官から呼ばれているというのは中々ないことですので光栄の極みです。受けさせていただきます」と良回答を得られたのであった。
「
それに機体を寝かせ、格納するとFPTを起動させた様だった。
「準備オッケーです。こちらはいつでも移動できます」と返答が来たのであった。
それから数刻後、ジーン中佐の率いる第二大隊とその座天使の絵が背に描かれているFPTが帰還した。
ジーン中佐がまず客人専用のFPT置き場とMM整備デッキに案内した。FPTを置いてMM整備デッキに座天使の剣聖候補機を置くのを確認すると、ジーン中佐は自機を置きに戻って行った。
入れ替わりに、クララ嬢が運転するリムジンが、私とアスカ嬢を載せて座天使の剣聖候補機の足元まで迎えに行ったのであった。
クララ嬢にオートでドアを開けてもらい、私とアスカ嬢で出迎えた。
「基地司令自ら出迎えていただけるとは光栄の極みです」と一礼をした。
「私どもの二番隊を守っていただきありがたく存じます、総司令官のアスカ・ジークレフ大将に御座います。隣はわが妻のアスカ・アラ・ジークレフに御座います」というのとともに二人に対して一礼した。
「私は座天使第三位のセリア・ヴィークレットと申します。隣はパートナーのロシエ・イマリットに御座います」と握手を求められたので、お互いに握手を交わし「広い所ではないのですが、わが仕事場にご案内しましょう」と私がいって、アスカ嬢が後部座席を譲って先に座ってもらい、後から前方座席に我々が座って「クララ頼んだ」といってドアを閉めて仕事場に向かってもらった。
道中「運転手は私のパートナーのクララ・エスティケット中将でございます」と紹介はしておいた。
そして一階の客間にご招待したわけではある。
客間は二階よりも少し狭めではあるが、比較的豪華に作ってあるのである。
そのため調度品などにも配慮されているのであった。
「改めまして、今回はありがとうございました」と私がいうと、「大したことはしていません、光学迷彩をかけ接近してくるものがあったものですからどこの者か聞いて、何も言わずに斬りかかってきたので戦闘に入っただけなのですから」と
第十七章 第七節へ
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