第十節:魔法教室、試験と黒騎士と結婚式前日編

 ついにその日がやってきた。


 魔法教室最後の締め括りの日である。


 最初は精霊魔法だった、上位の精神の精霊と会話をする。


 それなのだが、私には簡単に出来てしまった。


 他の上位精霊などと会話を楽しんだりしていたせいもあるのだろう。


 次点が付いたのは三人だけだった。


 他の者は皆一発合格したのである。


 三人は、元々苦手意識を持っていたレオンと五番隊のレース・ナイツのネレディー・メナスと発音に難があった六番隊サーペント・ナイツのニルヴァリュム・ズレイだけだった。


「チャンスは後二回、一発合格を気にする必要はないですよー!」とアスカ嬢の声が炸裂した。


 ネレディーは一回目緊張のあまり構文を噛んでしまっただけだったので、二度目で成功した。


 苦手意識はあるがレオンも二回目で成功した。


「ゆっくりしっかり発音に気を付けてやってみてください」とアスカ嬢から声援が飛ぶ。


 ニルヴァリュムも三度目は深呼吸した上でやったためか成功していた。


「精霊魔法の講義は以上をもって終了です」と高らかに終了宣言の合図がなされた。


「次は魔導です。粘り強さがカギですよ」と、アスカ嬢は補正を付けるのも忘れなかった。


「三組で三十分づつ休憩を十分挟みながら行う」と私が宣言をする。


「箒持てー、用意……開始!」と一組目の開始を宣言する。


 魔導の最終目標は箒で浮遊三十分なのであった。

 皆それなりにうまくできており、乱れるものは無かったが二十五分を経過したあたりから怪しい人が出てき始めた。


「粘りが重要ですよ!」とアスカ嬢も実施しながら声掛けもするアスカ嬢のバランス感覚は見事の一言につきた。


 一組目はダイヤが惜しくもギリギリで足を付いてしまい、ダイヤのみ次ラインに残ることになったが、感覚はつかめたようだった。


 二組目は全員三十分以上浮遊に成功したので問題は無かった。


 ジーンも額に汗しながら粘り切ったのであった「マダマダ若い者には負けん!」とはジーンが試験後に言った言葉である。


 三組目になった、三組目も浮遊に至っては問題なくクリアして術の構文を噛んだため飛行になり掛ける者も出たくらいであり。


 問題はなく全て終わった。

「魔導の受講を最初から最後までやり切った者は、皆並んでくれ。終了の印を渡そう」と私が言ったので聴講生も見守った。一人一人に声を掛けながら、「魔法の指輪だ。これを着けていれば、魔法の発動は楽になるぞ」と言いながら魔法の指輪マジック・アクティベーター・フィッテイングリングを渡していった。


 全員に配り終えると。


「これに懲りずに、修練を重ね、魔導に励んで行って欲しい、但し術をばらして組なおすなら、出張を与えてやるから、自らの金で導師資格を、ギルドで取って来て貰おうか」と言って周りの聴講生も爆笑の渦に巻き込んでから。


 続けて言った。


「これにて、魔導の講義を終了する、皆六ランク相当だ皆の修練を期待する!」と。




 黒騎士のほうも師匠とノイン・デザイナーとエリー嬢の間でチューニングやパーツとのすり合わせが図られ、皆が皆すげえなアレが新しい黒騎士かといえる出来栄えになっていた。


 外装装甲もしっかりと載せられ全ての装備が整った状態でテストに入っていた。まだ九十五パーセント程度とはいえコンマ一ミリの狂いもなく射撃精度をクリアし双剣の状態も確認していた。


 曇りや迷いのない振りは真空波を生み出すほど鋭く、外に用意したデコイを迷わずに叩ききってミスは無かったようであった。



 とはいえ、まだまだだなあともう少しってところかといって調整を終了されたようだった。


「百パーセントでないとまだ曇りがあるかな?」とは師匠の弁である。


 エリー嬢のほうの感触も似たような感じだったらしく。「キレがもう少し欲しいですね」とのことであった。


「技術的にはすでに突き詰められているので、後は俺らの問題かな?」という話になったようであった。




 その日は朝から忙しかった。


 久しぶりにリムジンの後席でアスカ嬢と一緒に、シティーの行政区に行ったガーディアン四名と共に。


 正式な軍服ではあったが、平服に着替える間を惜しんで、そのまま軍服で来たので、それなりに目立ってしまってはいた。


 それくらいのことで、時間を曲げる私やアスカ嬢ではない。


 ガーディアン二人を共に連れシティー行政区の婚姻届出をする窓口までしっかりとした足取りで二人で歩いて、「入籍をしに来た用意は全てしてある」と言うとあらかじめ入手し記入済み捺印済みの入籍用書類全てを提出したのである。


 担当のヒトは少々震えていたが「お預かりいたします」といって確認したのち「すべて問題ありませんお受けいたします」といわれ、晴れて入籍を果たしたのであった。


 その後、ギルドの支部にも行って同様の書類を渡しそちらでも、問題ありませんといわれギルドの超光速魔導通信網に乗って書類が届いたのであった。


 晴れて二人のギルド証が更新され転送結印され魔導で書き換えられた。


 その日はそれだけの用事であったため、そのままベースに戻って別の準備が始まったのであった。と言っても超重要な要件でデリケートな問題ではあるのである。



 そして、忙しい日々が始まっていったのである。


 護衛がギルド支部隊全部隊で各大隊長格のみが列席予定になってはいた。


 これが式と披露宴である。


 宿泊先のチェックとセブンチェックは警備部門副指令の役目であったため。


 警備部門が着いた先から確認返礼を行っていった。


 国賓の中でもほんの一握りの方のみに我々が直接二人で行って礼節に始まり少しの時間を取っていただき会話や握手これからの事を少し話す時間を得られたのである。


 御付は護衛を兼ねないといけないためガーディアンズ六名であった。


 斑鳩国国王陛下やニス家当主の女王陛下(つまりアスカ嬢の母に当たる、アスカ嬢の場合のバージンロードを一緒に歩く人と新婦の側の証人でもある)、そしてヨナ様である。(今回はご列席され、一番かかわってくださった方に違いない。それに私の新郎の側の証人でもあらせられるので挨拶は自ら行うのである)


 斑鳩国国王陛下に謁見し、こたびの結婚の報告を二人で行った。


 国王陛下からは賛辞をいただき、さらに深く一礼することになった。


 ニス家女王陛下に謁見し、二人で結婚の報告を行い、私におもに頼っていますのでどうかよろしくといった発言があり、「もちろん引き受けましょう」と私が答え謁見が終わった。


 ギルドマスターヨナ様に謁見し、結婚する報告をして、「守り抜くのじゃぞ」といった内容の発言をいただいてしまった。


「証人をお願いする以上、その言葉に嘘はつきません」と言っても、やはりユナ御婆様に似ていらっしゃると思ったが、口には出さなかった。



第十六章 第十一節へ

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る