第四節:機密作戦

 時間は十七時を指していた。


 まず、することはメンバーを集合させる事と機材を集める所からであった。


 ガーディアンを招集ついでにリムジン三台を用意して貰う、支部隊通信ではなく直接通信を使うのである。


 アスカ嬢とクララとワルキューレ嬢はここに居るので、「内密の話なんだがいいか?」と忠告してから話し出した。


「これからディシマイカル侯爵の居城に行く、たくらみ事の成果がみのったそうなのでな、行くメンバーは私とガーディアンズ、アスカ、クララ、ワルキューレと黒騎士いや師匠だ。アスカ、リムジンを一台都合つけてもらって、師匠を呼びに行ってくれないか、君に頼みたい。もちろん、ワルキューレも一緒で構わない。

 そのあいだだが、火急かきゅうの件以外は、二人で処理してくれて構わない。


 火急の件は各部署担当員と連絡しあって方針を決めて実行してくれ、その際に私のデータパッドにその火急の件のメールを送ってくれ、不味まずければこちらからも指示を出す」と残る二人、ヒジリとサヨリ嬢に一気に話した。


「つまり、いつもどうやって処理しているか聞いて処理すればいいんだろう? 任せとけそれくらいなら、いくらでも来いだ」とヒジリは言った。


「火急の件は戦闘外ならノインに、歩兵部隊を動かすならムラサメ少将に、MM部隊を動かさないと不味いなら一番隊隊長のダイヤ大佐に連絡をしてくれ。それで何とかなるはずだ」とここも一気に話すと通信機に直電が入ってきた。


「閣下、ガーディアンズ揃いました、リムジンも台数用意させました。今アスカ様が黒騎士様を迎えに行くと言って一台借りていかれました」という答えが返ったのである。


「よし分かった、俺もすぐに用意をして降りていく、俺以外にクララも一緒に乗るので対応を頼む。中将にも失礼のない様に。目的地はディシマイカル侯爵の居城で、二十時までに着くことが第一目標だ。機密作戦となるので口外は無用、緘口令を敷く」


 というと通信をいったん切り、専用のデータパッドと上着を羽織ると「クララ昔のジャケットが、直ぐ出せれば着て行って欲しい。エリー嬢が、昔を思い出すかもしれないやつを頼む」と言ってクララにも指示を出した。


 そして通信機を四局に変更すると支部隊通信に載せた「これより、数刻、総隊長は火急の要件で外出する。何かある物は、総隊長執務室に居るヒジリ大尉に連絡の後、指示を聞いてくれ。上長が居る場合でも同様だ、よろしく頼む」と言って支部隊通信を切った。外出するからである機密作戦で……。


「でわ、行ってくる」とコートのすそをなびかせて外に出た。クララも昔のジャケットスーツを着込んで出て来たところだった。


 するとアスカ嬢とワルキューレ嬢の乗ったリムジンが返ってきた、師匠も乗っているのを確認する。


 とまず師匠にサラリと概要がいようを説明しに行った。


 師匠はおどろいてはいたが、満足そうだった。


 まず私の車両、次にクララの乗る車両、最期に師匠とアスカ嬢、ワルキューレ嬢が乗る車両という車列で。


 制限高度ギリギリで走ってもらうことにした。


 二十時十五分程度前に、ディシマイカル侯爵の居城に着くことができた。


 先に入り車列の先頭から門番に、「アスカ・ジークレフ公爵だが急ぎの様があって参った」と伝える。


「お聞きしてります、どうぞこちらへ」と案内され駐車場にリムジンを着けた。


「案内役がすぐに来ますので、しばらくお待ちください」と門番は門に戻っていった。


 それから一分も経たないうちに、居城の執事がやってきた。


「ジークレフ閣下におかれましては大変お忙しい中をありがたく存じます。ご案内を引き受けておりますのでどうぞこちらへ」といってドアより少し離れ待ちの姿勢に入った。


「全員降車、これよりディシマイカル侯爵の居城に案内される。皆付いて来てくれ、準備はいいな」といいながら車から降りて、執事にいった。


「案内役ご苦労、よろしく頼む」と。


 順は私、クララ、黒騎士こと師匠、両側にアスカ嬢とワルキューレ、その後を守護騎士が礼節を守って付いて来る。


 執事が一礼し、案内をし始めた。


 とはいっても居城の中すべてでは無く、目的地までではあったが五分程度かかった。


 そこは病室と上のマーカーに、書かれていた。


「こちらでございます」とドアを開け、我々を中に導くとドアを閉めた。


 中に入ると一番手前の、ベッドのかたわらにディシマイカル侯爵、侯爵は白衣でエリー嬢が昔のままのなつかしい服のままで寝ていた。


 私もコートと帽子を取り、挨拶あいさつの用意をする。


 皆もそれにならった。


 ディシマイカル侯爵は静かに、椅子から立ち上がると。こちらに来て、話始めた。


「今エリー嬢は、少しだけ休まれております。クララ様とワルキューレには、エリー様の左側と右側に立っていただけると丁度良い状態がきずけるかと思われます、閣下におかれましては黒騎士様の隣にそっと立っていただけると状況が読めて良いかと思います。


 黒騎士様におかれましてはその状態で、先に私が、座っていた椅子に腰かけエリー嬢を起こすところから。始めていただけますと、丁度良いかと思うのですがいかがでしょう」といわれたのだった。


「ガーディアンズの御一行様におかれましては、こちらの待機室にお越し下しませ。私がご案内をいたします。それと呼び出した、目的を語らせていただきます」といって、ガーディアンズを引率して隣の待機室に入って行ったのである。


「我々も、準備をしようか、クララはエリー嬢の枕元左側へ、ワルキューレはエリー嬢の枕元右側に立っていてくれ共感領域を構築できるらしい。そっとな」というと。二人はそのような位置に立った。


「アスカは俺の隣に居てくれ。師匠、配置ができましたのでかかってください。ゆっくりと行きたいところですが、良い勘がさえずりましたので普通くらいの速度で願います」と師匠に私が言った。


 椅子は枕元左側にある。


「分かった、いつもの速度くらいにしよう。エリーならすぐに起きてくれるさ」というと師匠が椅子に座る。私は師匠のすぐ後ろにつけ、アスカ嬢の肩を抱いた。



第十六章 第五節へ

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る