第五節:蘇り2:記憶
夜中ではあったが電灯は
「閣下から
部屋に入って紅茶を出されて直ぐにである。
「この度は御出でくださいまして、
「つまり我々に、
「分かりました引き受けましょう。黒騎士様は我らが、閣下の師匠筋にあたる御方。その方のパートナーは変わっていないと言えるだけの迫力で持って
そして、そのころミハエル卿がエリー嬢を起こし始めていた。
「エリー、俺を呼んでいたと聞いたぞ。何か苦しい夢でも見たのか?」とミハエル卿が布団から出ている方のエリー嬢の右手を握って、エリー嬢に向かって言ったのだった。
その問いかけに、エリー嬢が反応した。
「あら、ミハエル様もう御出でになったのですね。ということはもう夜の八時になったということですね。何かお食べになりますか?」といって起き上がろうとした所まだ体が完調では無いらしくベッドの上でもごもごするだけでようやくと言ったところだったので師匠が制止を促しながら言った。
「まだ完全に治って無いんだ。あまり無理をしないでくれ。俺が困る。ディシマイカル侯爵に俺が
ふと右隣を見て、顔色がさらに明るく血気良くなったのだ。
「クララさんではありませんか、精進していますか? とその隣はアスカさんですね、結構お年を召されたように感じますが……」とエリー嬢が言った。
私は会釈ついでに、少し時の話をする事にした。
「実はあれから、かなりの時が経っているのです。
よくミハエル卿の体を見たエリー嬢がミハエル卿の体に巻いてある包帯に気付いて、言った。
「ミハエル様お怪我を、なんてことでしょう私が至らぬばかりに……と言うと。ミハエル卿はその答えを返した。
「この怪我はお前の所為じゃねえんだ……。間違った道を進んでいた俺をアスカが止めてくれた時にできた怪我なんだ。だからお前が気にする事じゃねぇ。俺が悪いんだ」とミハエル卿がエリー嬢の左手と右手を合わせながら告白した。
そこで私が謝った。
「手加減が下手で申しわけない。全力で道を正させていただきましたので、このような次第に。回復そのものは順調に治ってきていますのでご安心ください。これは我が、ベースのアルケミーデザイナーからの話ですので信じていただいて問題ありません」と私がはっきりと答えた。
「今、ベースとおっしゃいましたが、ここはどちらなのでしょうか? そして時はどれほど流れたのでしょうか? 私は帰って来てよかったのでしょうか?」と私に聞いてきた。
「この都市の名はグランシスディア連邦共和国の最初の都市、グランシスディア・ゼロにございます。時は……」と私が言うのを遮って、師匠がエリー嬢をしっかりと抱きしめるとこう言った。
「俺はお前が帰れるように、ずっと努力はしてきたんだ。だから帰って来てよかったのか? なんて言わないでくれ。俺は今回、アスカにも、ディシマイカル侯爵にも、そしてギルドにも、数えきれないほどの恩を作ってしまった。だから……、これ以上俺を悲しみの
そして「後で、今何年で、どういう状況下に有るか教えてやるから。今はゆっくり休んで、体を動かせるようになってくれ。今は俺もこの通り、開店休業状態なんだ一緒にリハビリができるまでに戻ろう。そしたら俺からすべて話してやる。お前は
今日のアスカ嬢はちゃんと広義のMLLIを四本しっかりと左肩に並べて着けていた。
いつ質問が飛んできてもよい様にしてあったのだがその必要は無さそうだった。
“カチャリ”と音がして扉の空く音がした。
丁度こちら側、私の背後にディシマイカル侯爵を先頭にガーディアンが一列に並び皆
「見届け役として参りましたが、今回は見届け役は必要なさそうですね」とカリン少佐が言った。
「寝ているところから起きただけならば、我々は用無しですからね」と言ってミラセス・ディール大尉が、言うのであった。
「しかし、完全復活にはまだ早いご様子、一時でも早く御治りください」とガーディアンズ六名が皆一律に並んで一礼をした後、ディシマイカル侯爵と一緒に隣の部屋に戻っていった。
機密作戦の見届ける役目は今ので終了でもあるのだ、起きたら今ので問題なく、記憶が不完全であれば見届け役として機能してもらうつもりであったのである。
難しい判断だが、彼らの判断だから問題にならなかったと言えたのである。
ディシマイカル侯爵が一人隣の部屋から出て来て言った。
「エリー様におかれましては、もう少しこの狭い部屋で申し訳ないのですが、こちらにご
そう言いながら師匠の横に並んだ。ディシマイカル侯爵もトリプル・デザイナーに成るので在って基礎魔導工学・アルケミー・薬師の三属性デザイナーになるのである。
それをちゃんと見える様に右肩に載せて配置してあるのであった。
MLLIを確認したエリー嬢が言った。
「アルケミーデザイナー、ディシマイカル侯爵様。私の体は後、どれくらいで動けるようになりそうですか?」と聞いたのであった。
「今の調子ですと、もう二週間ほどは居ていただくことになります。最も無理をなさらなければですが」と釘はさして留めたようであった。
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