第三節:婚約発表と

「肉料理は九時三十分には着くようにしてある。これも業務の一環だガーディアンズには歓迎会を行って居なかったしな。他の皆はこういう業務もあると覚えて居てくれ。それに守る対象は私だけでは無いのでな、気を引き締めてことに当たって欲しい」と私はいった。


「その守る対象という方はどちらに?」とガーディアンを率いている、カリン・ヤマザキ少佐がいった。


「それはこれから、明らかにする」と私が意味ありげに言った。


「全員揃ってるな」と声掛けをする、時間は九時二十七分だったちょうどいい時間だった。


「アスカこれを受け取って欲しい」といきなりアナザーストレージから九十九本の深紅の薔薇を取り出し、まず渡す。


「これは……」とためらいがちになりながら受け取るアスカ嬢。


 それに続けてこれを受け取ってもらえるかといってアナザーストレージからさらに、深紫の小箱を開けながらエンゲージリングを差し出す。


 流石に何かは分ったらしい、


「はい」と比較的はっきりした口調で、「いただきます」と答えた。


「左手を出しておくれ」と私がいうと、


「ありがとうございます」と左手をこちらに差し出す小箱からエンゲージリングを取り出すと自身の左手でアスカ嬢の左手を受け、アスカ嬢の左の薬指にエンゲージリングをしっかりとはめた。


 フィッティングの性質をこのリングは、私か装着者本人が取らない限り抜け落ちることは無いのが特徴でもあった。


 まずクララ嬢とサヨリ嬢から、拍手が上がった。


 ワルキューレ嬢もそれに習う、正か目の前で婚約発表を行われると思って居なかったが、ノインも拍手をせざるを得なかった。


 ガーディアンズも女性が四人であるためか、女性陣から拍手が上がる。


 ヒジリもサヨリ嬢から突かれて、拍手していた。


 ガーディアンズの男性陣が、ようやく理解が追い付いて拍手した。


「総長は大胆ですね、我々の一同の前でもう一人守らねばならない方の発表もこの様なかたちで行うとは。心してかからせていただきます」とガーディアンズを代表してカリン少佐がいった。


 ちょうどグランシスディア肉料理、野菜の香草詰め肉巻きである。


 そこそこのボリュームがある物であり、配膳も頼んである。


 皆の前に肉料理が並び、サングリアが注がれた、一礼して配達配膳員がドアをそっと閉めて立ち去った。


「さて婚約発表が出来たので、歓迎会に移行するとしよう」と私がいった


「という訳で俺の蒼穹だけではなく、アラワシⅢもガードの対象に加えて欲しい。難しい判断を迫られるかもしれないが、よろしく頼む! 期待している!」と私が続けた。


「もうヨナ様も、どこで式を上げるのか聞いてこられてますし」というアスカ嬢。

「レスト女王陛下からも、それは聞かれているな」と私がいうと“ギギィ”といわせられそうな動作で振り向いた。


「遂にアスカ様にまで、聞くようになりましたか」といわれてしまった。


「それだけ期待しているんだろう」と答えるに留めて。


 話題を移した。


「一寸深刻な話になるが、情報部よりの情報だがあまり信頼性が無いんだが、暗黒騎士が動き始めているらしい」というと。


「暗黒騎士ですか、悪魔契約騎士の事ですよね」とかなり青白くなりながらノインが聞いた。それに答えるように私がいう。


「そうだその暗黒騎士なんだ。幽霊くらいまでならトコロテンにはできるように仕組んで見たが、暗黒騎士はその名のとおり悪魔契約騎士だから出現場所を選ばない。その上にゲートの封鎖では無理な、瞬間転移をして来る。個人でも瞬間転移が、出来るらしい。基地内でもおかしいなと思うことがあったら、直ぐに教えてくれないか? 

幽霊より厄介なんだ、おかしいと思った時にはすでに、なんてことが増えると思う」

といって「まぁ暗い話ばかりしても仕方がないんだが、これは業務だからな、それに暗黒騎士の腕はおかしい奴が多いと聞く、俺同様に危険な奴だらけなんだろう。そこでアスカ君に渡した指輪には、俺を指定して直接どこに居ても通じるようにしかけが施してある。指輪に祈るように念じるだけで精神的にリンクできるように、しかけてあるから狙われたときはむりせず俺を呼んでくれ。どこに居てもすぐに駆け付けよう。ダイヤより透明度が高く屈折率が不思議なことになっている、ハリコニウムを使っている」と静かにいう。


「ハリコニウムってあのハリコンニウムですか?」とアスカ嬢が、驚いたようにいった「ダイヤよりも価値が高く硬くて、燃えないし炭化すらしないといわれる……」と続けた。


「希少な宝石だがもらってくれるかい?」と私がいった。


「無力にはなりたくは無いんだ。これは俺の我儘ではあるんだが」と続ける。


「分かりました総長の想いいただきます。大切に致します」とアスカ嬢が答えた。


「後は別件だが、MM数と各部隊数が支部隊としてグランシスディアに展開する支部隊としては最大になっているから緊急展開の時は一、二、四、五番隊の三十六機のMMと四隻のNS-FPTということになる、守備や防衛線なら指令中隊以外が展開することになるが指令中隊はいついかなる時でも後陣に居続けなければならないので各位に色々指示は飛ぶと思うがよろしく頼む」


「ということは後陣は指令中隊、三番隊、六番隊、七番隊ということになりますな、七番隊は遊撃扱いですか?、三番隊と六番隊は級こそ違えど重装型なので」という質問が少佐から飛んできた。


「一応そのつもりだが、後は部隊運用の手並み次第で側面援護にもなったりするぞ」と答える事にした。


 事実なので仕方がないのだがコマチ少佐が何処まで部隊運用が、出来るかがよくわからないからでもあったのだ。


「これは個人護衛にも当たるのですが、ガーディアンズはMM護衛だけでなく個人的にも護衛はするので、第一小隊で蒼穹及び総長の護衛を、第二小隊でアラワシ及びアスカ様の護衛を行うことになります。それで宜しいでしょうか?」とガーディアンズ側から質問が飛んできた、それに答えるように「ガーディアンズの皆は悪魔や魔物との戦闘経験は有るか? MMだけでなく個人戦も込みだが?」と私の方から聞くことにした。


 これがクリアできればアラワシⅢやアスカ嬢を任せてもいいかと思った訳だ。


「悪魔や魔物ですか少し、一回か二回は戦闘した事はあります、個人戦はまだした事はありません」という答えが得られたので「個人的には私も護衛に加わるとしよう、アスカ嬢は高位の悪魔に狙われている節があってな」と正直に話す事にした。


 そして、こう続ける。


「これから式の日取りや良い日等も打ち合わせなどで外に出ることも、多くなるだろうから狙われる機会は増えてしまうだろうしな」と締めくくる。


「そこまでお考えですか、我々も外に行く際は必ず護衛に張り付きますのでリムジンで御移動ください」という案が飛んできた。


 それにはこう答える「目立ってしまうが仕方ないだろうな、すでにマリッジリングも創って有ったりするからセットリングだからそのままつけていても問題は無い、基本的には日程の打ち合わせや式の日取りなどが主なはずだ、遠くはアラワニ国から来られるだろうしなヨナ様も来られるから一大イベントになってしまうが」


「さてノンアルコールとはいうものの肉料理に合わせて食べると即無くなるな。昼は軽く取るかピザになるが」といって時計を見た時刻は十一時四十五分をさしていた。



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