第二節:発表前準備

 そしていつもどおりの朝を迎える、五時三十分である。


 まずはトレーニングウェアに着替えウェイトをセットし、今日は二キロメートルをハイスピードで走り抜ける。


 次にベンチプレスを三百キログラムを目安にストイックに仕上げ、身だしなみを整え朝シャンを行いいつもの公務の服に着替える。


 朝の仕込みを行った誰が何処に着席するのかという指示書を、応接セットに置いて行くデカデカと名前が書いてあるので間違いはしないだろう。


 この辺がマメマメしいといわれるのかもしれないと思いながら、アルコール度ゼロのサングリアのミドルボトルを三本用意し、グラスを並べ、肉料理を頼む用意をした。


 朝からパワフルだが、これくらいでも良かろう。


 カトラリーを並べさらに皿を並べ、その上にナプキンを置いて行く。


 ヒジリとサヨリ嬢とワルキューレ嬢は窓際の席とさせて頂いて、同じようにサングリアのミニボトルと皿とカトラリーを置いておく。


 そして朝一で届くように、九時三十分を目安に、オーブン焼きの肉料理を人数分十三名分を先払いで頼んだ。


 それとガーディアンとノインに九時二十五分に集まって貰うようにメールを、一括送信する。


 集まる場所は総長二階の執務室であるということも付け加えて全員の椅子は用意してある旨を伝えて、他の集合人員にもメールを飛ばしておく。


 因みに余談だが椅子と応接セットは、ダイニングテーブル張りに足を長く変形させてある。


 魔化強度百五十で生成してあるので、折れることは無い。


 私の合図一つで元に戻るように、なってはいるが。



 これで朝の六時十五分である、即転移で自身の新しいFPTの中に転移し朝食とした。


 流石にクララ嬢が、突っ込んできた。


「マメマメしいのもいいのですが、たまにはどなたかに頼むというのは?」とこちらの体調を考慮した上で聞いて来た。


「流石に今日の仕込みは、誰か別の人に任すのは無理だろうな」と自身の事だしなとさらに答えた。


「今回の件はただガーディアンに会うだけでは無いからな、アプローチもすることにしている」といった訳ではある。


 するとクララ嬢は、「それなら仕方ありませんね、誰かに変わってもらう訳にはいけませんしご自身でするしか」と仕方ないという意を表した。


「既に朝ではあるが、肉料理も頼んである」というと。


「メールには乗ってませんでしたが、不意討で宜しいんですか?」といわれたので、


「集合する全員に朝食を少なめにして来ても構わない、肉料理とノンアルコールのサングリアがあるという旨を伝えるメールを送った、朝からガッツリで済まないが会うだけではない意味も含むのでな」と伝える事にした。


「まぁ、ウルフディッシュにごっつい肉料理まではあると思わなかったので、今回の運びとなった」というと。


「ウルフの名が付きますから、肉料理の一つや二つはあると思っていましたが?」という鋭い突っ込みが、入ったのは言うまでもない。


 そのまま朝食をゆっくりと終え七時には総長執務室二階へ行く、特に問題なく感はさえずらなかったし予感も特にはしなかった。


 一応近辺に異界の発生があるかどうかだけは確認しておくがそれにも、特に魂魄界以外は無いと出た。


 魂魄界は現世にかぶさる異界の一種では有るので、常に反応するのである。


 トレーニングに出て来たと思われるヒジリとすれ違う。


「おはよう」というと。


「閣下おはようございます」という返答があった。


「一応白線の上を走れば一周四百メートルにはなるぞ」という南側のギルドゲートとドームゲートの間の白線の意味を伝えておいた。


「丁度よくキッチリと四百メートルになる様に、誰かが描いたんだ」という私が書いたわけでは無いという宣言はしておく。


「肉料理が出ると聞いたので腹を減らしてくる」との事であった、執務室に入った今日は珍しく私が一番乗りである、七時十分だから居ないのは仕方が無いが、物質転送器の受け皿が満杯になるまでモノが詰まっていたので、破いたり裂いたりしないようにていねいに取り出していく。


 まず出て来たのはガーディアン一名ずつの名前の書かれていた書簡でありこの厚みは、階級が上がるといった内容かなと思われた。


 次に出て来たのはヨナ・ヴァシュマール三世と署名がされている分厚いもので、これはアスカ嬢宛になっていた。


 珍しく私宛の書簡が一つしか無かった。


 私の方にはニス家の印章がデカデカと押してある物で達筆ではあるが、レスト・アラ・ニス女王陛下からのメッセージであった。


 あとはクララ嬢に対して、ギルドの評議会からのメッセージがあるらしかった。それぞれのメール置き場におき、ガーディアンは席の方に置いておいた。


 まず自身のメッセージとして何が来ているか、確認させてもらうことにした。


 長いので要約するが読むまでに、三十分掛かったのは言うまでもない。


 とんでも長いメッセージではあるが、結婚式はいつにするのがいいですか? 場所と日取りが決まったら、教えていただきたい。


 というこちらの行動を、先読みした内容であった。


 プロポーズまで、すでに分かっております。


 といった感じになっており、これは戦場に行く前に結婚する事になるのではないかな、と思わせるモノであった。


 そしてクララ嬢が、七時四十五分にやって来た。


「何やら珍しいものが来ていますね」といったふうだった。そのまま開け読んでいるらしかった。どうやら階級が上がる話であったらしい。准将から少将に上がるらしかった作戦参謀の肩書はそのままで、そして広義に爵位がクララ嬢に生えたのである。


 侯爵との事であった。


 八時三十分になると、アスカ嬢がやって来た。


「こ、この分厚いものは……」といったが、裏はヨナ様からだと伝える。

「一体何でしょう?」といってメッセージを読み始めたのであった。


「結婚式はグランディア・ゼロで行うのであろうから、呼んで欲しいと書かれていますが、かなり早い先読みの主ですね。又、クワドロプルチェックを行ってもらわなくてはなりませんね」と、かなり達観した述べ方をしたので。


 これはバレてるかなと、思わざるを得なかった。


 八時四十分にはヒジリが身だしなみを整え、サヨリ嬢と一緒に降りて来ていた。


「これだけ腹が減れば大丈夫だろう」といっていたので、かなり走り込みをかけたようだった。


 そして今日は特に国元からのメッセージは無いのかと、少し寂しそうにしていたのは印象的だったが。


 やることが無い訳でもないので九時十五分まではいつも通りの業務をいつもよりも早くこなしていくことを要求された。


 いつも通りに確認印を押していく作業が主だったが、昼までの分を片してしまう。


「今日は色々あるからな目を回すなよ」と皆にいった。


「二十五分には来てくれといってあるが、多分五分前までには来るだろう」と私が予測を告げる。


 来た感覚が有ったので入りますの声の前に、こちらから声をかけた。


「入っていいぞ」と、「分かりましたガーディアン一同をお連れしました」とノインを先頭にやって来た。


「よし各自自分の席を用意してある。間違わない様に座ってくれ」席表も、メッセージに折り込んで送っておいたのである。


「それとガーディアン各位には進位と思われる、書簡が来ているのでそれぞれ確認してくれ」というのも忘れない。



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