第十節:蒼穹テスト開始

「予定が組んであるなら問題ないんだ、疑ってすまなかった」と私はいった。


「閣下とんでもございません、今日は遅かったので予定を組んでないだけでございます。こちらの蒼穹の調整の方が優先でしたので、両閣下とも鎧武者型は初と聞きましたのでメカニック二番隊は今は四番でアーマー上の表記を修正中ですが、いつでも再調整にかかれるようにしてはおります」とノインはいったのである。



「そうかミヒャイルⅡの装甲上にはまだ私のマーカーが乗ったままか、確かに総隊長機が二機では不味いものな番号の書き換え程度では済まないんだよな確か各部位のマーカーを塗りつぶして新しいラインを書き入れないといけない訳だ、部隊マーキングとギルド徽章は良いとしても番号が〇〇では不味いんだな〇二になるんだな今度は」と答えた。


「そうなりますね、蒼穹はフロントアーマーと肩の部分に専用の装甲があるから付け替えるだけでいいのですがその点ミヒャイルⅡは直に塗ってますので」、

「塗る範囲も大きいという訳か盲点だったな。ずっとそのまま行くものと、思っていたからな。二の腕の線と太腿の線も一本になるのか確かにそう考えると塗った方が楽な場合と交換する方が楽な場合とあるんだな」


「そうなりますね、シルヴェントはアーマーが変わって無いのでそのままですし、シュレイディアも蒼穹と同様パーツ交換だけですから」とノインはいう。


「総長、制御回り終わりましたよー、慣れれば楽だとは思うのですが最初が大変ですねこれは」


「ありがとうクララ」と私はいった。


「歩くだけ歩いてみてもいいかノイン?」といって。


「分かりました、作業用ガイドのほうに移ります、軽く足踏みして装甲の揺れを確認してから振りまわした方がいいと思われますが」というとひょいっと作業用ガイドに飛び移った。


「総長、ハッチ閉めますね。フルクローズ」とクララ嬢がいう。


「作業用ガイド開きます」とアスカ嬢が操作していく。


「全ガイドオープン進路クリアです」とクララが告げた。


「そういえば盾が無いな、二刀流と両手持ち武器のおかげで盾が装着しずらい代わりに重装になっているのか、腕回りにも装甲がしっかりと載ってるなこれにガードが付くのかかなり恐ろしい展開になりそうだな。足踏みから入る制御回り頼んだ」というとまずはその場で足踏みを開始したあちこちをついでに動かしてみる、かなり軽い感覚があった。


「これでのバク宙は控えたほうが良さそうだな」、

「高機動運動は行けそうですよ? 超高速ホバリング機能が付いています」とクララから回答があった、流石に高度ゼロでは不味かろうと思ったのでバク宙はやらなかったが跳ねたり跳躍はして見た。


 とりあえず歩いてみる、装甲が揺れる間隔がフィードバックには少し乗るがそんなにひどくは無かったむしろ気にならないレベルである、走って急制動からターンをかけた、特に引っ張られるようなこともなかったむしろミヒャイルⅡよりも五割は軽いといった感じだったここまで軽いと分身数が怖かったが流石に部隊格納庫の中ではしなかった。


 運動性能もかなりあった、鎧は揺れるがジャラジャラではなくしっかりとした作りのモノで揺れるには揺れるが一体感があってドッシリとした作りのもので安心感が持てた。


 それにドッシリとはしているがボッテリとはせず、違う期待感を抱かせるものであった。


 ミヒャイル型の時と特に感覚が違うのは主に機体重量ではあったが他にも可動式アイゼンが三本づつに増えて居たり、ハイヒールモードにできたりと脚回りにかなり変化があった、腕周りもシールド用のアームをはやすところが両腕にあるにはあったのでさらなる重装化を行っても良さそうな感じだった。


 又、腕部手甲回り見た目はかなりゴツイのであるが重いわけでは無くかなり軽く引っかかりのない取り回しになっていた。


 さらには肘や膝回りの重装甲パーツ群にもいえたが手甲同様の取り回しよさがあるともいえた。


 武器に和弓や弓は無いがあれば引けそうなくらいに可動率が高かったのである。


「槍でもいいんだが薙刀があってもいいなこの造りで行くと」と外部音声を出してそれを拾うテストを行うついでにいって見た、音のほうはかなり明瞭に聞こえ魔導スピーカーはかなり良いものに感じられた、「アスカ様槍でもかなり長めではありますの槍で遠レンジで大戦野太刀で中レンジをカバーできませんか?」と通信が入る位だった。


 それに元々甲高い駆動音がするのでそれを聞きに部隊の暇なメンバーが集まって来ていた、こちらの軽快な動作と動きに皆が注目していた。


「すげえなあれが今度の総隊長機か」とか。


「あの運動性は中々の物だとか」とか。


「シュレイディアが鎧武者型だから総旗機にふさわしい」という外の音声が拾えるくらいであった。


「ノイン、音声回りひょっとして交換したか、かなりハッキリ誰が何をいっているのかまで分かるんだが?」と興味本位でだが、聞いてみることにした。


「センサー回りが新型にゴッソリ変わってますから、そのせいでは無いでしょうか? 今度のセンサー群は重装カスタムパーツの下にありますので重大な損害はほとんど出ないと思いますが」とのことであった。


 コクピット内のクローズド会話で。


「クララそっちの制御回りに支障は無かったか?」と聞くと、


「全然問題ありません、それどころかもう少しガシガシ動いても平気だと思いますが? スミロクロスはコクピット内も一般的なタンデムに見えますがその内容は大きく進化して居ますのでミヒャイルとは比べられません。衝撃緩和装置のゲージが三本位違いますので、ほぼ倍は違うことになりますそれにシートベルトも増加して居ますのでミヒャイルのベルト三点式から五点パッド式くらいに進化しておりますのでバク宙でも何でも来いといった感じになりますね」と一気に語ってくれた。


「今日はここまでにしよう疲れはしないが、皆が集まって来たので少し狭くなってきたし高機動運動で引っかけて事故を起こしてもいけない。折角のお披露目みたいなものだしな。ノイン格納受け入れ態勢を頼む、クララの操作でここから戻って見よう。クララ頼んだ」とコントロール権を渡した。


「了承しました、全操作受けます」といって整備格納ポートに綺麗に収めていく鎧の揺れも最小限で凄く良い納め方の例になりそうなくらいだった。


「作業用ガイド戻します」とアスカ嬢の声をマイクが拾った。



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