第九節:蒼穹
時計を見ると時間は十七時になる所であった、そしてノインから内線がかって来た。
「総長、装甲の入れ替え作業終わりましたのでクララ嬢と一緒に調整に来ていただけませんか?」と。
「判った直ぐに行こう」と私が答えると、「アスカ、クララ、装甲の組み付け作業が終わった様だ見に行ってみよう。まあ俺とクララは重量変更に伴う調整だが」といって行くと。
これは凄いなと唸らせるだけのものがあった。
「装甲一つ一つが
アスカ嬢は「優美ですね」といった。
「ノイン来たぞ、中々凄いじゃないかこんなに、豪勢で優美に成るとは思ってもみなかったぞ! 脚回りもすごくしっかりとして居るな重装型級と標準級から良い所取りした様な感じがまた良いな」というとノインが、「作業用ガイドを下げますのでそれに乗って来てください」といったので三人で乗った。
作業用ガイドを上昇させていくとより吸い込まれそうな蒼であることが分かった、「まるで
「蒼穹の世界に踏みこんだみたいだ漆黒はあるにはあるが蒼の方が強いんだな。ノイン、ハッチを開放してくれフルオープンの状態が見たい」と私がいうとノインがフルオープンを実施した、
「かなりしっかりと開くな」というと乗り込んで行く、クララ嬢の側にノインが立って居た。
「よしバランス調整を開始する。これだけの装甲をまとっているのに重みがほとんど無いな、むしろ軽い位だ。しかも装甲はミヒャイルの二.五倍ほど数値があるな、耐久のゲージも二本分増えているようだな、流石魔導装甲かミヒャイルの時と違って魔法機に真っ向勝負を挑んでも負ける気がしない位魔導装甲値が高いんだな。これでいて武装も以前のままか内蔵武装は変わらないといっても外装側にスモークディスチャージャーが追加されて居るな。肩当ても豪奢だ。何といってもこの装甲の色が良いな。色から名前を取ると蒼穹に成るな。ソウキュウか銘としては悪くないが、腰回りの二本も朱塗りか中々この色の組み合わせは良いな」と一通り話すと調整に専念することにした。
「これは……、ノイン漢字文字のままの登録名でも機体名なら構わないんだよな?」と聞くとノインが。
「それでも問題ありませんが、被ってないかだけ確認して下さい」といったので。
「アスカ、『データパッド』で蒼穹の名で登録されている機体が無いか確認をお願いしてもいいか」と私がいう、アスカ嬢が。
「サーチを実施します
「サーチ確認できましたどこの国にも現在は存在しません。過去には数機あった様ですが今はありません」とアスカ嬢が答えを返した。
「ありがとう、こいつの機体名は蒼穹としよう」と私がいうとアスカ嬢が。
「ギルドに命名を送りますか?」といったので。
「頼んだ!」と私がいったのでアスカ嬢がギルドに機体命名登録証を送り魔導印証が押され無事“蒼穹”の命名となったのである。
私は機体を調整しながら聞いた。
「ノイン、シュレイディア・ガーディアンズの方はどんな感じだ?」、
「すでに組み上がっておりますし大盾のほうの調子も重装カスタム装甲の調子も申し分ないですな、パイロットとの相性もパートナーとの相性も抜群です」
「そうかそれは良かったまだ会って無いのでどんな感じか知りたかったんだ、守ってもらう訳だからな」と私はいった。
「総長はここのところお忙しそうでしたので私の方で対応できる所はしておきましたが、明日の朝にでもお会いになられたほうが宜しいかと」とノインがいった。
「そうだなそうしないとな、守る相手が誰か分からんのでは本領も発揮できんだろうしな六機か、かなりしっかりした組み合わせだからな」
「誰が頭をはってるんだ?」と聞く、「二小隊のチームで、カリン・ヤマザキ大尉とミラセス・ディール中尉がそれぞれ小隊長格です、明日会われるときに立ち会いましょうか?」とノインが答える。
「頼んだ守らなければならないのは、俺一人では無いからな実際のところ」と意味あり気にいった。
「しかし調子がいいな、このチューンナップは心地がいい重量バランスも最適化されている。巧いチューンナップだ、流石ノインだ」といい。
「それに各施設も軽く見て回ったが中々のできだな」ともいった。
「この前総長から天井部分にもスペースがあることを教えていただきましたから、大分天井にも目が行くようになりましたし」とノインが目を輝かせながらいった。
「そいつは良かった、俺もアレはいいできだと思ってしまったからな。実際のところどれ位の工期でできそうなんだ? 例の天井グラウンドは?」と聞く。
「あと一週間もあれば完成する見込みですが材料を一括で運んでいただけましたからかなり助かったというのが実際のところですね、流石NS-FPTですね輸送量が桁違いです。仮組までならあと五日もあればいけると思いますが、本格的に試験をしてから使うのが宜しいかと思われますのであと一週間程という訳なんですが」とスケジュールを説明してくれた。
「クララ制御回りはどれくらいで終わる? こちらはあらかた動かし終わった感じなんだが、かなり軽くて動きやすいという手応えしか無いんだが、あとはどれくらい振り回しても大丈夫かってところが気になるな、鎧武者型は初めてだからな」と私はいった。
「あと五分くださいますか、足回りの制御がもう少しで終わりますので、鎧武者型は色々制御してあげないとダメなんですねかなりデリケートだとは思いますが、騎士型よりはソフト目で振りまわした方がいいのではないでしょうか? まあ足回りが終わったら振り回せるようにセッティングできると思いますけども」と珍しく時間がかかっている様だった。
「二人とも今まで騎士型しか乗ったことが無いからな、時間がかかるのは仕方が無いと思うぞ。武器バランスは見たいところだが大技物を振り回せるスペースは無いからな」と私が返した。
「確かに大技物は振り回せるスペースがありませんな、そこらは大型のドームではありませんから致し方なしではありませんか?」とノインがいう。
「シミュレートのみの一発調整しかない訳か、まあ大丈夫だと思うがミヒャイルⅡよりも装甲が軽い分の補正が居る位か。ノイン我々は良いんだがヒジリ大尉とサヨリ中尉にミヒャイルⅡのフィッティングをして貰わなくてもいいのか? 本国仕様に似せてあるとはいえ中身は別物だからSオーバー級なわけだし」
「明日の昼からでも調整をしていただけるかと思っているんですが、メールは飛ばしていますので大丈夫かと、昼からメカニック二番隊総出でチューンナップにかかろうかと思っているのですが不味かったでしょうか? 確か明日は魔法講座のほうはヒジリ大尉とサヨリ中尉には入ってないですよね?」とノインに聞かれた。
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