第二三節:地獄と肉とパン
「話は済んだ、ヒジリの希望次第だが時間は取れるし可能な限り付き合うこともできるだろう。休暇はいつでも取れるといっていたが最長いつまで取れるんだ?」と私がかなりハッキリとした口調で尋ねた。
「まあ事実上でいえば半年は取れるかな。そこまで取ると休暇は無くなるが」
「そこまでいうんだから覚悟はできているよな色々と」と私が意味ありげにいった。
「色々と地獄は見ると思うが挫けるなよ。挫折も禁止だからな」と追加する。
そして時計を見る二一:〇〇だった。
スティック型電話をそのまま出したそしてコールをする「ハイ、ザークレフ商事」といってクララ嬢が出た。
「専務のアスカだ、友人が魔法教室の受講を希望している、さらには指南役にも会いたそうだ。週末の帰国を諦めるといって来た。ビザや何かの関係もあるんだがそこはこっちで根回しする。今のライセンスでどれくらい引き延ばせるか会長と話がしたいんだがこの時間だもう寝て居らてるだろうからそっちで交渉してくれないか。無理をいって済まない最大半年は引き延ばせるらしいそれで都合をつけてくれ。週末の迎えと会社訪問はそのまま実行する。以上だ」とかなり長いセリフを私が一気に吐く。
「ハイ、判りました可能な限りライセンスを引き延ばしますので地獄を見るとお伝えください」とクララ嬢が告げた。「いつも遅くまで、済まないな。ありがとう」と告げると切った。
「さて週末の会社訪問後からは地獄を見てもらうとして、今は休暇中だからキッチリ遊ぶぞ」と私がいうとインターホンがちょうど鳴る。
「良し超高級玉露と菓子が来たぞ」と私がいってドアを開ける。
バトラーがワゴンを持って来てくれていた、ので扉前に置いてあるワゴンと交換した「ありがとう」と私がバトラーにいうと「卿におかれましては、良くしてもらっておりますのでこれくらいは」といってワゴンを押して戻って行くそれを見送り。
ドアを閉めると「良い茶が来たぞ、飲み頃だ」といってワゴンを広間に持って行った。
「夏定番の葛餅ですね。玉露か抹茶と合わせると最高なのですよ」とアスカ嬢がニコニコしていた。
皆の前に置いて行く、当然全員分を置いてから私も座る。
とヒジリがいった、「地獄って……」。
「俺としてはの表現だよ!」と私が意味ありげに笑った。
そして「本葛だな美味い」といいながら思わず笑みがこぼれた。
食べ飲み終わると入り口近辺までワゴンに乗せて運んで行き、時間を確認した二二:三〇になっていた。
「明日の朝は凄いぞバトラー付きでルームサービスで食事だ、朝っぱらからかっ飛ばすが問題はない、明日の昼までは温泉だからな当然水着は、皆持ってるよな?」と私がいい。
「まぁ最悪施設で試着してから選べば問題ないはずだ」私が続ける。
「まぁ若干西方のそれよりは熱いんで汗をいい感じにかける筈だ」と付け加える。
そして三日目に突入する頃
寝ながらヒジリがいった「何から何まで済まないな」と。
「よせやい、互いに背中を守った仲じゃないか俺とヒジリくらいだぞ。神域まで行って無事に帰って来たのは。まぁそれにサプライズはまだまだあるから腰は抜かすなよ。じゃぁおやすみ」といって寝ることにする。
三日目の朝、又もや〇五:三〇に起床する、習慣とは怖いものだとツクヅク思う。
〇七:〇〇まで狸寝入りを敢行する。
ヒジリもほぼ習慣でトレーニングをこなし〇七:〇〇までにはシャワールームが空く、女性陣も似たようなサイクルで回っていた。
その後に私が着替えと一緒に洗顔・洗面用品を持って行き、シャワーを浴びひととおり洗うと泡を流し、着替え髭を整え。
今日のオロハはサーフィン柄の背中に文字シリーズだが波と書かれている。
下は黒のハーフパンツである。
シューズはそのままだが水に入っても、そのまま上がってきたら乾く仕様になっている。
そして全員がそろう時間になるとバトラーが上がってくる時間になるのである。
今日はバトラー自らが部屋に入りステーキを切り分けてくれるサービスとなっているのである。
「よく来てくれた皆もうお待ちかねだよろしく頼む」といって私がバトラーを迎え入れドアを閉じた。
皆の前にバトラーが皿とカトラリーを一人一人に置いて行く。
美味しそうな匂いが部屋に広がっていく、石窯で焼いたとされているパンが一人一人の前に置かれて行く。
「フィレ肉のステーキでございます」といって一人分を丁寧に切って配ってくれる、全員分を切り配り終わると。
「以上でございますお楽しみくださいませ」といって一旦下がって一礼をし入り口に置いてあるワゴンをかたずけて持って行ってくれるのである。
そして食べ出す、うーんジューシーたまらん静かな朝の朝食となっているが。
食べているモノはガチ肉とガチパンである、これほどの料理を食べるのは数日振りではあるが中々にこれを毎日は無理そうだなと残念感が押し寄せてくる。
まあ軍用ラインだと仕方は無いわなと思いながら、少し難しい顔をして食べていたらしい。
「何かあったのか?昨日無理をいった件か?」と心配してくれるヒジリが居た。
「いや大丈夫だヒジリ」といって堪能することにする。
すべて食べ終える、今日は私が一番遅かった。
皆の皿をかたずけたりカトラリーをワゴンに積んでしまう。
第十一章 第二四節へ
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