第二二節:扶桑料理と秘密の相談

「そろそろ着替えよう、場にはその場なりに相応しい格好がある」といって私がさらに追加した。


「今日は扶桑料理だからな和装がいいらしいぞ」といって着替えに入って行く。


「とその前に、さっきの奴くらいならもう入って来れないから安心していていいぞ。俺が結界を張り直しておいたからな」といって男性部屋のドアを私が閉めた。


 五分後、和装(男物の浴衣)に着替えた色は群青一色に白い帯の上から白い剣帯を巻き白とミスリル銀で装飾されたショートソードを左側に吊っている。


「青には拘るからな俺は」と私がいってから軽く笑った。


「そうそう」と私がいって「そこまで凄いものではないんだが渡すのを忘れていたよといいながら和装の白一式だ良かったら着て見てもらえないか?和装はサイズ感が緩めだからな」と私がいって白い甚兵衛を渡したのであった。


 それから五分後、白の甚平をパリッと決めて着た、ヒジリが出て来たので在った、アスカ嬢は本日は赤い金魚をあしらった群青の浴衣に着替えていたしサヨリ嬢も白い浴衣で対応していた。


「うん、ヒジリもサヨリ嬢もよく似合うな」と私がいった、アスカ嬢が隣で頷いていた、どうやらアスカ嬢も仕込みをしてあったらしい。


「さて行きますか今日は五十二階の扶桑風和のテイストの強いところだからな」と私がいった、「さて行きますか」といって今日は普通に手を差し出すアスカ嬢がその手をシッカリと握った。


 当然貸し切りである、恐ろしい金額が一瞬目に浮かんだが気にしないことにした。


「しかし専務で侯爵ってのはすげえな。ほぼプライベートか」とヒジリがいった状況は理解した様であった。


 そして和のコースが一撃で全部出て来たのである。


 メインは超が付く高級冷や麦ではあるが、御吸いもの、三種の前菜、小鉢の和えもの、御造り盛り合わせ、山菜の天麩羅、高級茶碗蒸し、涼やかな和のデザート、高級玉露が出て来た。


「若干少なめにしてあるぞ。あとで追加があるからな」と私がいった。


 しかし会話の内容はかなり濃い内容となった先ほどの私が結界を張った件である。


 まぁそれはオリジナルの呪文で……という所から始まり、「実は導師資格を二つ持っているからできることなんだが」という私の会話に「なんだと。じゃあ魔導戦士もできるのか?」というヒジリからの質問等に答えて行ったからかなり内容が濃くなったわけではあるが。


 最終的には「まぁ会社でその手のものを教えられるのは俺とアスカ嬢くらいだからなぁ」といいながら私とアスカ嬢で目を合わせたくらいのことはして見せたわけで。


「導師資格だけでなく教師資格もあることは告げておいたが」まぁそのせいで暫くヒジリの口が開いたままになって閉まらなかったということを告げるしか無かった。


 まあ私としては、アゴが外れなくてよかったと胸をなでおろすばかりだが。


 部屋に帰って来て、からヒジリが「結界がどうなっているのか見てみたいんだが?」という疑問をぶつけられたので右手で印を組み呪文を唱え『可視化』のみを実行する。


 部屋に全体に魔法陣の陣ではなく魔導紋様がこと細かく巻かれていて部屋全体を包み込んでいるということが見えるだけではあるんだが、それだけでも壮観だったらしく。


「頼む少しだけでもいいから教えてくれ」といわれたが「んー手持ちの資料もないしそう簡単に覚えられるものでも無いぞ」ということを告げるしか無かった。


「最終日に少しだけ時間を取ってもいいが……」と考えた私がふと思い着いたことがあったので「少しアスカ嬢だけと話がしたい。女性部屋を借りてもいいかな?会社機密に関わることなんで」と私がいうとサヨリ嬢が「判りました。どうぞ」といってくれたので助かった。


 女性部屋にアスカ嬢と二人で入ると、まず右手で印を左手で印をさらに組んで軽く呪文を唱えた。


「何をしたんですか? というか何を考えてますか?」と鋭い突っ込みをアスカ嬢から頂いたので。


 正直に答えた「まず今の呪文は単なる十五分持続する気密性を高める魔法であると言うこと、それとヒジリとサヨリ嬢を魔法教室に加えて見ないか? 特別受講生として」と私がいったのである。


「どうせ最終日にはバラスしな」と続けていいながら「文句は出ないと思うが」とも続けた「私的には友と、もう少し居たいと思っているところであるんだ」と付け加えた。


「で今のに対して意見を聞きたい」と私がいうと「いい考えだと思いますがなぜそこまで?」とアスカ嬢がいうと「出身国の現状を聞いてしまったしな放置はできない」と私が真っ直ぐな視線で答える。


「私にできる範囲であれば」と敬礼をしたアスカ嬢が居た。


さらにアスカ嬢がいう「多分、浄水場の視察を頼んだあたりから考えておられたんですね」といった。


「上質の水が手に入らないという話は聞きましたし、確かにほってはおけません」ともアスカ嬢が答えた敬礼のまま。


「助かるというか助けられるが正解かもしれないが」と私が続けた私も敬礼をした。


「ですが宿泊はどちらに?」とアスカ嬢が複雑そうにいった、「隊長室の上にランドリー付きの就寝室があるだろう。あそこが今使われていないのは覚えてるよな。そこなら一週間から二週間は持つと思うんだが。三階だからカッパーが入るんだ確認済みだ」とまで私がいうと。


「あとはヒジリさん次第ですか」というアスカ嬢。


惨いセリフもついでに吐く「ヒジリの帰りに渡すはずの航空券も日付の指定がされてない奴だから本当にヒジリ次第なんだが」といって私が閉めると「酷いヒトですね」といいながらアスカ嬢が笑って敬礼を解いた。


 それに合わせて私も敬礼を解く。


「それに師匠にも会わせてみたい」と私がいった。


「大丈夫なのですか!?」という心配顔のアスカ嬢。


「大丈夫かどうかは師匠自身に聞く」と私が続ける。


「悪いヒトですね。でもそんな総長が私は大好きですよ」といってアスカ嬢が軽く抱きしめた、「そろそろ限界だ時間がな」といってアスカ嬢の背を叩くアスカ嬢が離れた。


 女性部屋の中からノックをする扉を開けるよという合図である。


 少しだけ間を開けて、扉を開けて二人で出ていった。



第十一章 第二三節へ

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る