第一三節:自己紹介と悪魔情勢と

「さて、自己紹介と行こうか、アスカは、俺の親父と同じところまで、登っちまってるしな」といって、アスカ嬢を見ると目配せがあった。


 それには同意する。


 確かに公表情報だけを、見ればまだ私は侯爵のままではあるのだ。


 がここグランシスディア・ゼロではすでに顧客情報の一部が書き換えられているところがあり。


 公爵になっているところも、あるのである。


(ただし、顧客情報としてのデータだけ。だから公開情報では、無いのが救いだが)


「大見得切った手前、先にさせてもらいうぜというと。聖ワイトラウド王国が神官戦士白い閃光こと、ヒジリ・ウィルザード男爵です。以後お見知りおきを」といった。


 するとアスカ嬢が「私が、先にさせてもらいますね」といって立ちあがると「斑鳩国旗下、アラワニ国のレスト・アラ・ニス公爵が娘。アスカ・アラ・ニスです」というと、ヒジリの顔面が崩壊しかけていた。


「公爵、御令嬢……」と辛うじて呟いた。


 サヨリ嬢が、先に立ちあがったので譲った「サヨリ・シュタインバーグと申します。白い閃光のパートナーです」といって一礼を行う。


「アスカ・ジークレフ、こう爵です。以後お見知りおきを」といって大切な部分、を誤魔化しながら、大仰に一礼する。


 社交辞令の礼節である。


 共通語だと、発音が同じになる。


 だけにホテル内であるならば誤魔化せるのではあるが、外はどうなるか分からなかった。


 卿と閣下に、分かれるからである。


「そういえば、昨日派手にやったんだってな。クララ嬢から聞いたぜ!」どこまで話したものだろうでも、あの件は伏せて話すか。


「あーアレか、確かに俺以外では対処できなかったからな。アレは厳しかった“会社内”(を、強めにいいながらアスカ嬢に軽く目配せをする。同意した様だった。)に、未知の生物が侵入してしまっててな。神官戦士なんて、俺くらいしか居なかったから、大変だったんだぜ」と私がいう。


「最近は、どこも悪魔の話題が出るな」とヒジリがいう。


「そうなのか?」と私が聞いた。


「ここに陣どってからは基本的に国際情勢にはうとくなっていくからなぁ、そんなに発生件数が多いのか?」と追加で聞く話の線をずらすためでもあるし、こういう時出ないと聞けない情報かも知れないからだが。


「あぁ、マジだぜ」とヒジリがいった。


それに続けて「どこが多いんだ? 、まばらに出るのかそれともどっかの近くが多いのか、まぁ対外情報に疎いこの田舎者に教えてくれないか? 国際部の連中に注意情報くらいは流してやりたいしな」といって見た。


 とはいってもその国際部のほうが、詳しく知っている可能性はあったのだが……。


「西方諸国くらいが限度だが、頻発はしているが偏ってはいないんだよ」と複雑な心境だといわんばかりにいったので、「そうか偏りが無いのか、余計厄介だな」まぁ仕事の話をしていても仕方が無い、もうそろそろ食事の時間が近い用意をしなければな。


 といって零番を取った。


 髭はほぼ生えて来てはいなかったが少しザラりとした感触があった。


 蒼髭にまではいかないが、軽く剃っておかないとダメだなと思わせるモノではあった。


「今日は、ドレスコードがあるが大丈夫か?」とは聞いて見た。


「侯爵様の居るところにドレスコード無しでは、乗り込まないぜ」とヒジリが準備万端といった顔を見せた。


「なら大丈夫だな、ここの店は率無く熟して居るからなソコソコではあるんだが」

事前にクララに情報を少量ではあったが調達してもらっていただけあり正確ではあったのだ。


 他にもメモがサコッシュ内には五枚以上もデータリスト形式で載っており、どこそこにいい店があるとか情報のみだったが、六星級のデータではあったので助かっていた。


 何せ普段隊長室にすわりっパナシの状態で、外へ出る機会が余り無いからでもあったが。


 アスカ嬢も同じことをしているせいで、街中に出歩く機会が減り一時期の魔物騒動の時くらいしか出て無かったわけであるからして、情報には疎かったのである。


 その点クララ嬢は仕事もでき対外情報もかなり確実な線で捉えたり、情報収集をするのが巧くデータパッドでファッション誌を読んで居たりすることもあったくらいではあるからしてこの手のデータには詳しかったのである。


 いうなれば情報通でもあった。


「さて、着替えるついでに汗くらい流せるぞ、この部屋はバスルームとは別にシャワールームがあるからな」と私が言った、「そいつはあり難い、先にシャワールーム使わしてもらうぜ」とヒジリがいった「いいぜ」と答え、女性陣に聞くことにした「気が楽になるかどうかは判らないが、部屋は男女別でいいかな?」と、そちらでお願いしますとサヨリ嬢がいったので、「アスカ、サヨリ嬢のフォロウ頼む」とはいっておいた。


 太刀袋に『魔導光剣と例の小太刀を持っている』という話があったからであったが。


 アスカ嬢は一見若そうに見えるのだが話の内容からして同い年くらいではないかという推測が前々からあって、秘書官に書き換える際のデータリライト時に歳だけは見せてもらったのである。


(同い年でもあるがエルフであるため若く見えるのである。)


「そしたら、サヨリ嬢にはバスルームを先に譲って着替えてきたらどうかな」とアスカ嬢に聞いて見たとりあえず軽装だが、クラッチバッグには入れないといけなかったからでもあるが。


「俺はひげ剃るだけで十分だしなとも告げる」と私がいうと「そう言う効果もありましたね」とはアスカ嬢、あの例のベッドは体に付着しようとするゴミや微生物を取り除く作用も持っているので在り、つまり今の私はシャワーで汗を流す必要が無かったのである、とはいえ重症者用のベッドでもあるのでハッキリと名前も出せないでいる訳だが、効能は丸二日三日くらいなら大丈夫ですよというアルケミー・デザイナーの太鼓判もあったからではあった。


「左右どちらに入られますか、お好きなほうをどうぞ」と女性陣にいった見える景色はあまり変わらないですがとも告げるが。


「では左側の部屋を頂きます」とサヨリ嬢がいったので、我々男性陣は「その反対側の部屋に向かって右側の部屋を使うことになった。


「このタグを付けておいてくれアスカ」といって、赤いタグをサコッシュから取り出し渡す「視線が当たるくらいのところなと」いうともう一枚青いタグを出したそして追加する。


「両方ともMLLIと同素材でできているので夜でも煌めくから部屋を間違うことは無い」と私がいった。


 まぁ小細工ではあるが無いより合ったほうが良いというものであるし間違いは起きないようにしなければならなかった。


 侯爵から公爵になっているとはいえご令嬢の着替えている最中の部屋に入るのはタブーであるから、当たり前の話ではあるのだが。


「さぁ着替えようか」アスカ嬢のほうに目配せを送った。


一応各爵位記号も両方あるが、サプライズにしたいしなという思っているからではあるので先にヒジリの荷物をと思ったがシャワールーム側に持って行っている様ではあった。


 自分の荷物二つを持ち右側の部屋に視線のところに何も書いていないプレートが張り付けてあったのでその上にマグネットでくっ付けた、同様にアスカ嬢もそのプレートに赤いMLLIをくっ付けた様であった。


 そしてドレスコードディナーに向けて、着替えることにした。


 今日はサーコートは持って来ていない、そりゃそうだ非番の日には非着用が望まれるからでもあったからだ。



第十一章 第一四節へ

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