第一四節:結界と裏合わせと

 かげってきており、そろそろ夜化よるか兆候ちょうこうを見せ始めていた。


 念のため、魔導感知の結界と、流石に神域は不味いな気が付かれてしまうと、思ったので魔物感知系、と魔導感知のみ、としてを広範囲といっても五〇〇一部屋ベースで張った。


 そして、サコッシュの中身から白いケースと、黒い少し厚手のケースを、取り出してクラッチバッグに入れたり、し始めた時計もそのままで行けるドレスコード仕様のものであるので、そのまま使用し即着替えていく。


 太刀袋も、ドレスコード仕様になっているし。


 流石クララ用意はバッチリだ、と思いながら例の眼鏡だけはかけることにした。


 ひととおり着替え終わると、さっきのラフな格好から、パリッとした上ものの、ドレスコードに合わせたスーツ姿に着替え終えていた。


 全身非ぜんしんひなしである。


 持ちものは、クラッチバッグと太刀袋に加え、魔導式直剣二本だけであった。


 直剣は短刀以下のサイズになっているので、ポケット装備と腰ベルト装備である。


 その上非金属性でもあるので機械式の金属探知機にはかからないのであった。


 魔導式の感知器にもかからない、魔導公式で専用に編み込んだ刻印術式がさらに強度とパワーも上げてあるのでかなり便利なものではあった。


 爵位のMLLIを侯爵位のものに、ワザと変え。


 グランシスディア・ゼロホテルのG・Mゼネラル・マネージャーに直接コールをかけていうことにした。


 未だ着替えている気配があったので今のうちだった。


 二コールで出る流石G・Mと思いながら「五〇〇一のアスカ・ジークレフ公爵だ」と告げると、「閣下、如何しましたでしょうか?」と聞いてくれる。


「ありがとう、今週の休み中は、侯爵で頼むよ」と告げる、「理由は親友にサプライズにしたいんだ、ギルド証もあるけどギルド以外の会社に勤めていることということにしておいてくれ、一応名刺は、一週間限定での魔法で組んである。ザークレフ商事という所にしてあるが、それで名称被りが無いのは確認している。一応期間限定でHPまで出来上がってるくらいだから。そちらで、対応していただけるだけで、助かるんだが」と私がいうと。


A・Mアシスタント・マネージャーや、他の者にも徹底させます」といったので「宿泊最終日は元通りにしてくれて構わない。


 迎えが、リムジンだからな」といったので、「今ご駐車中の車両はどなたかが、乗ってお帰りになられるので?」と聞かれたので「それ用に、人員は手配してある。心配はない」ともいった。


「済まないが、四日我儘をいわせてくれないか」と笑いを交えていうと。


「サプライズというか、ドッキリですな卿。対象は今回新たに入国されたお二方で、宜しかったのでしょうか?」と合わせてくれたので「とても大切な、親友でね」とは伝えた。


「分りました。ザークレフ商事の、アスカ・ジークレフ侯爵で、合わさせて頂きます」と答えてくれたので、「急にすまないね」というと「色々と、御守りされていると州知事からは聞き及んでおりますゆえ。これくらいでご恩をお返しできるなら、またとない機会になりましょう」と答えた。


「ではそれで宜しく」といって電話を切った。


「どこと電話してたんだ仕事か?」とちょうど着替え終わって出て来たところだった。


「洗面スペースは空いたぞ」、「あぁ、ありがとう」というと洗面キットを荷物から出しながら「仕事先からの、電話でね」と答えておいた。


「そういえば今はどこに勤めてるんだ?」という話が転がり出て来たので一週間たつと元に戻る名刺を渡すことにした。


 百枚くらいは予備がある。


「この前、切れてしまったから、新しいのにしないとな」といいながら、その封を切るといって今はここに、居るんだといって、ザークレフ商事アスカ・ジークレフ侯爵で肩書が専務と書かれた名刺を見せ渡した。


 魔導名刺で編んで、作っているので見えない筈だった。


 因みに私自身も、書いてあるようにしか見えない。


 因みに、魔化強度は、五十ある代物である。


「すげえな上から数えたほうが早いじゃねぇか。まぁ昔から学業を修めるのは早かったからそれくらいいけるもんか」とヒジリがいった。


「まぁなそれくらいないと、爵位がかすむ」とも私がいっておいた。


 因みにザークレフ商事に電話をかけると全てクララにつながるのであった、一極化してあるのである。


 ナイツというのは、公位でもあるしそれ自体が証明書になるので、騎士団や準騎士団を離れたものがナイツを名乗ることも、少なくはなかったのである。


 騎士位と、いう奴である。


 爵位を持つ者でも、ナイツであるという。


 種族証明の様なものは有効ではあり武器がどこにでも持ち込めるのであるからして、これを持って守護武器にする者が大半だったのである。


 なのでサラリーマンになっても、ナイツであるという理由で剣や太刀や脇差等を持ちそれ自体を見える証明書として扱うことが結構沢山ある世界なのだ。


 全人口の二十五パーセントくらいがナイツである。


 世界なので、まあ八人居たら二人はナイツである。


 と考えてもいいのであった。


「さてひげ剃って来よう」というと部屋を出て椅子に太刀を置いて、シャワー室のほうの狭いほうの洗面室に行く、そしてクリームをつけると一気に剃りだした肌が比較的強いためこれをやっても荒れることは無く、そういう意味では便利であった髭剃りあとの、コンディションを整えることも忘れない。


 そして、一旦部屋に戻り「終わったぞ」といって洗面用具をしまい込み。


 上に乗っていた、クラッチバッグを取った。


「まぁ青いタグを貼ってある部屋が男性用な」と一応いっておく。


「アレは持ち込んだのか」とヒジリがいったので「ウチの取引先の製品でな、何枚かもらってあったのを使ったんだ」ということにする。


 因みに爵位MLLIの裏にミクロチップが一枚だけ仕込んであり、その音声をアスカ嬢の魔導式イヤーカフが、それを拾って精神に伝わる様に心に直接響くようになってはいるのであった。


 なので阿吽の呼吸で、動けるのである。


 リミッターもかけてあるので、余り大きすぎる音は拾わない様になってはいた。


 因みにアスカ嬢も成人はしてはいるので、同じように限定名刺を創って欲しいといわれていたので作って渡してあった。


 秘書ではあったが支部隊のところがザークレフ商事に切り替わっていた、階級のところも地の色で隠されている、同じように魔化強度五十で編みこんであるのであった。


 なので両方とも一週間たつと詰まり帰国時には名刺が切り替わっているという寸法であった、魔導を駆使したサプライズでもあるのであった。


「あの青いのと赤いのはMLLIと同じ素材でできてるから高いが夜中でも光って見えるから間違いはない」といって「良くも考え着くもんだよ。デザイナーってのは凄いな」といっておいた。


 時計を見るとそろそろ一九:一五になりそうであった。


 サヨリ嬢は準備ができて出て来ていた、「お美しい」といい社交辞令ではないことを告げておく。


 アスカ嬢は迷わずサクサクと選ぶほうではあるので、そこまで時間はかからなかった。


 一応ギルド証は小さめのポシェットの中に入れていた。


 見えない様にカードケースの中に入れてしかしながら鎖は外すわけにいかなかったのでそれはポシェットの革紐に結び付けてあった。


 思ったより目立って無かったので、それで済ますことにした。



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