第三節:師匠の見舞いと幽霊騎士
「総隊長に何か用の有る者は、内線
そういってから「皆、一片外に出て見よう。そっちのほうが何か答えが、出るかもしれん。今日は快晴の様だから外のほうが、良い日和になるだろう」といって席を立つ準備を始めた。
とはいったが、着て出て来たのは私服であり。平服の一種である。
礼装とはいかないまでもクラッチバッグを持ち、魔導光剣は右腰に固定していた。
クラッチバッグの中には、財布と予備の『データパッド』を入れてある。
部隊用の『データパッド』を外で使うには、派手過ぎるのである。
私物の『データパッド』を完全に私物化して、しまっていた。
勿論、悪いわけでは無い。
元々、私物を使っていたのである。
アスカ嬢も平服に、着替えて来ていた。
内線〇〇-〇〇〇〇は、スティック通信機の内線番号に割り振ってある。
二局化できるものであるし、やろうと思えば四局化も可能なのではあった。
今日は私用だから、ギルド車では無くて自車では有るが。
五人乗りのスポーツタイプFPVである。
今日は、クララ嬢は「大人しく、待っていますので行ってらっしゃいませ」ということで支部隊隊長室で電話番をしているのである。
一緒に来ているのは、アスカ嬢とワルキューレ嬢だけであった。
コマチ嬢は、さっきの精霊魔法のカリキュラムと格闘中だったのでそのままにして来てある。
サリィ嬢にはこの件は伝えてあるし、大丈夫だろうと思った訳ではあるが。
一抹の不安が、無い訳でもなかった。
昔の師匠に会うので、この様な格好となった次第である。
一応身分証明書は三人ともギルドIDを、持って来ているので入るのは問題ないはずなのである。
特にどこにも止められるようなことは無く、無事都市病院までやって来れた都市内部も今日は晴天快晴だった。
天候要報は調査済みで問題なく、今日一日は丸っと快晴のはずでは有った。
まあ少し違うのは、少し目立ちにくい格好であることくらいでは有った。
都市病院の駐車スペースで珍しく表が空いていたので、表に止めさせてもらうことにした。
いつもなら表は大体、埋まっているのである。
そのまま病院内に、入って行く。
魔導光剣は剥き出しにはなっておらず傘のようなイメージで、包んである。
特に止められもせず、に中には入れた。
まあ止められても、ギルドIDで通れるわけだが。
この前までブラックオニキスだった私のカードは、オーロラビジョンに色が変更されてしまったのである。
公爵になったからだともいうが、敢えてそれに異を唱えるつもりはなかった。
都市病院の見舞受付にて「エグゼクティブフロア、二〇二六号の患者さんに、会いに行ってもいいかな?」と静かに、ギルド証を見せながら聞いた。
連れ合いは二名居るとも伝える。
ギルド証を即座に確認し、許可は出ていますのでどうぞお上がりくださいませとていねいに答えてくれる。
エグゼクティブフロア用のエレベーターで、一気に二十階まで上ってこの前とは反対側の方向へ歩き出したアスカ嬢とワルキューレ嬢もついて来ているのを確認しながら。
あと、念のため勘は働かせておくことにする。
「あれから一週間か、まだ動けるという所までは、行かないかも知れないな」と呟く。
「破砕骨折ですし……」と、アスカ嬢が静かに呟きに触れる。
すると勘がさえずる「何か居るぞ」魔導光剣のボックスを開けるのとそいつが動くのとほぼ同タイミングだったが、こちらのほうが早いアスカ嬢をかばいながらガラス窓まで届かない距離で軽く抜き切る。
次元斬といいながら。
流石にそいつに回避する術は無く、すっぱりと空間事切れる。
光学迷彩を被っていたらしかった、そいつが血流を噴きだしそうになったのでアスカ嬢を抱えて移動型分身回避を実行する。
ワルキューレ嬢も見事な移動型分身回避でついて来てくれた。
二〇二六号前まで、一気に駆け抜ける。
後ろで、
“ブシュー”
っといい音がしてそいつが転がった、即血だまりができ上がる。
魔導光剣をそのままに二〇二六号の扉をハンカチーフで包み開ける、何かが飛んできたのでアスカ嬢を抱えたままドアを蹴り開けその飛んできた物体を通す。
さっきの者と似たようなヤツが通過する。
そして反対側のドアで無い壁に叩きつけられ、
“ぶぎゅる”
と言葉らしくない何かを喋った。
アスカ嬢が叫ぶ「リザード・ナイツです!」と、咄嗟に中身に気を巡らせる数人の看護士さんが倒れており、両肩は固定されたままだがミハエル卿が起きていることが分かった。
ここまでが魔導観測の範囲であり、まだ中身に数匹のリザードナイツが居ることが分かった。
「ワルキューレ、出て来た奴に、止めをくれてやれ!」と、叫ぶとアスカ嬢を一旦降ろす。
そして魔導光剣をアスカ嬢に渡して、中に突入するや鏡面二重分身からの四体に依る分離攻撃でそれぞれの光学迷彩を被ったままの奴らを気配と魔導観測だけで見つけ出し。
壁に向かって、蹴り抜きを実施した。
その上で手刀の上に次元斬を載せて、狭い範囲のみで首跳ねを実施した。
それを見て逃げ出して出てくるリザード・ナイツ二匹を麻痺モードでしばき挙げるアスカ嬢、さらにそれに止めをくれるワルキューレ嬢。
良い、コンビネーションだった。
ワルキューレ嬢も見事に首の骨のみを狙って、魔導光剣のレイピアで突き刺しており。
返り血は浴びない状態に、持ってっていた。
しかし、血だまりはできそうな勢いだった。
尻尾辺りを掴んで「アスカ! 避けてくれ」というとアスカ嬢は一旦室内に、入って避けた。
壁際に寄る精霊視モードにしたようであった。
「ワルキューレも、中に入ってくれ!」と、いうとワルキューレ嬢も即中に入って入り口近くを固めてくれた。
そのため空いたドアから止めを、くれた四匹の尻尾を掴んで捨てるように投げ捨てていくワルキューレ嬢が止めをくれた奴の上に4匹が折り重なるようにしてさらに積まれた形になった。
流石に鏡面二重分身の維持は辛すぎるので、一旦解除して一人に戻る。
当然それを見据えて天井から一匹落ちて来るが、それは既に見切ったあとでサッカーのボレーシュートの様に足先に次元斬を展開してそのまま心臓の辺りを蹴り抜いて飛ばしてやった。
“ぼてっ”
という音がしてそいつが落ちる。
血だまりができそうだったので、一旦ワルキューレ嬢に指示を出すことにした。
「ワルキューレ、ドアを閉めてくれ」と、指示をするとワルキューレ嬢がピッタリとしっかり閉めてくれたので血は入って来そうになかった。
そして、ミハエル卿のほうに振り向く。
「大丈夫でしたか?」と、私が聞くと「俺はな……」と、いって「看護士さん達を何とかしてやってくれ腕が未だ完治して無いんで運んでやれねえんだ」といったので。
男性一人と女性二人だったので、女性はワルキューレ嬢に頼むことにした。
男性一人は一人用の椅子に私が担いで、座る体勢にしておいた。
とりあえず三人かけのソファーに二人を座らせる体勢に持って行ってもらう。
アスカ嬢はまだ精霊視を解いて無いようでは有ったが「これ以上はこの部屋に居ませんね」と確認が取れると。
ミハエル卿のほうを、
第十章 第四節へ
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