第三節:新型機作成の企み事

「あと、予算はどーするのですか?」とアスカ嬢は不思議そうに聞いた。


「予算は科学技術担当に付けときます、そして資材の当ては一応あるんです」


「本来ギルデュースは魔導機で設計されているんです」


「そしてその部材が余っていることも知っています」


「大きな声じゃいぇませんが当時の科学技術長官が魔動機にすることでコストを抑えて量産体制を確立したことになっていますが、あれは嘘です」と一気にノインが告白した。



「まぁここだけの話で抑えていただかないと、部材が手に入らないですけどね」と補足した。


「SクラスをAクラスにした予算で色々やってたのがバレて今じゃ長官はいませんが」


「余ってる部材は六十機分と少ないですが、ウチで使うギルディュースに使うといえば六十機分は調達できますよ。本来何処にも出せない部材として倉庫の奥に機密素材として封印付きで眠っているのでね……」とノインがいった。


 中々の情報通である。



「さらにギルデュースも増やすといえば科学技術担当は首を縦に振るはずです。とりあえず七番隊増やしてみませんか?」とノインがいったがふと思い当たることがあった。


「とりあえず九機増やすか善は急げだな、クララ化学技術担当の現トップは誰だったか覚えているか?」と私はクララ嬢に聞いた。


「現在のトップはアラハス・ナカニシ技術研究所所長の筈ですが」とそれに答える。


「一括でのほうがいいんだろうな。ギルデュースも込みで機材を届けてくれといっている処はウチしかいないんだよな?」とノインに聞くと。


「過去の汚点ですからね何処にもいないでしょう、それか私のほうで突いてもいいですが」とノイン。


「一~三番隊をギルデュースに変換する計画を立てるのが先だな」と。


「だがしかしギルデュースで我々について来れるのだろうか?」一抹の不安があったので口に出した、


「そこに七番隊+さっきの汚点を追加すれば一応はまとまるのか?」と私がいうと。


「皆クラスが上がることには賛成だと思いますが愛着も一押しですからねぇ」とアスカ嬢がんーッといった表情でこちらを見た。


 と私がさっきふと思ったことを口にした。


「我々はそのままだろうが……、スミロクロスフレームが最初に配備されるのは何処だと思う?」と私が何かありげにいう。


「四~六番隊に来る秘匿荷物とギルデュースに加えてスミロクロスフレームが混ざったら何が出来上がると思う?」と私がニコニコしながらいった。


「S+級MM(マジックマシン)ができますな」といった、ソコなのである。


「名称権限て何処が持ってるんだっけ?」と私が疑問を落とす。


「今のところ各部隊が持っていて、新機種が創られ次第各支部隊隊長がヨナ様に許可を貰っている方式ですが」とクララ嬢がさらっと答えた。


「よし、新しい機種を一~三、七番隊と指令中隊の増枠六機用に組み上げてくれノイン」と私は笑顔でいったモリモリでと付け加えながら。


「判りました新しい機体のほうはお任せください組み挙げましょう。特例の零号機としてエージェントを組み替える許可をいただけますか? まあ一旦エージェントは倉庫もとい十番隊整備ポートに置いておいてギルディュース一機のパッケージとスミロクロスフレーム+秘匿資材と他少々喰いますが行けると思います」


「でき次第、一~三番隊に公表して評価を聞いておおむね好調だったら。そのまま機種変さらに持っていく形を取ろう」と私、これで更なる部隊強化が出来るのであれば

願ったり叶ったりなんだがと考えていると……。


「そこに新メンバーを増加だ指令中隊の増枠分に魔剣士を都合できるかどうか六人程回してもらえるかナイツギルドに聞いてみてくれないかクララ、今私が動くとそれなりに歪むから頼みたいんだ」とクララ嬢にお願いする。


「分かりましたこちらで指令小隊が危険だからということでサポート体制を持ってもらえるか聞いてみましょう、中隊だらけの中に小隊しか無いのが有ったら狙われるのは間違いないですしそこまでの話になるのでしたらいっそのことヨナ様に聞いてみては」とクララ嬢が返した詰まりブーメランで戻ってきたのであった。



 そして電話機を取ったヨナ様に直に電話を掛けた。



「ヨナ様、お忙しい所度々申し訳ありませんアスカ・ジークレフ侯爵です、今部隊編成の話をしておりまして指揮小隊以外はすべて中隊ですので何かあった時に狙われるのは指揮小隊になるのではないかという話になったのです。小隊を中隊にしたいのですが魔剣士が揃いません、ナイツギルドのほうに問い合わせても宜しいでしょうか。はい、そうなのです他の中隊に歪を出してもいけませんし難しい判断になるのですが人事権は評議長やヨナ様で無いといけません、そう思った次第なのですがどうでしょうか、はい分かりましたよろしくお願いします。足りていないのは魔剣士六名になります、魔導戦士でも問題ありません。はい色々とご迷惑をおかけしていますのに人事までお願いしてしまって。なぜ魔剣士か魔導剣士や魔導戦士であるかといいますと新型機は魔導機だからであります。普通の剣士や戦士ですと宝の持ち腐れになりますので、腕のほうはお任せいたします指令中隊にきても問題なければ、は? ガーディアンですかそんな貴重な人材を回していただけるのですか、それは大変うれしく思うのですが、分かりましたガーディアン六名を受け入れます。機材(MMマジック・マシン)のほうはこちらで用意いたしますのではい分かりました。お受けいたします。貴重なお時間をありがとうございました」というと電話が切れ「ふぅ」と私が一息ついた。


 クララ嬢がいった、

「何かとんでもない方向に話が飛んだように思うのですが? ガーディアンっていいませんでしたか、確かに魔導戦士ですがガーディアンはその名のとおりガードですよ? しかも王族や皇族対応の……また何か悪い話でも進行しているのでは?」とクララ嬢がジト目になった。



「何か悪だくみしているみたいですねー」とはアスカ嬢が囁いた。


 さらに久しぶりにアスカ嬢のジト目を見たような気がした。



「名前考えにゃダメですね」とノイン。


「四~六番隊はギルデュース改で行けそうなんだが」と私といった直後に


「捻りが無いっ!!」とアスカ嬢がモロに突っ込んできた。


「分かった、四~六番隊に回す名前はアスカ、君に任せる」というしかなかった。


 やはり私はデザイナーには、向いて無いらしいとも思った。


 とそこへノインが私にサインを求めた、

「先行試作型シュレィディア企画書」と書いてあったのでノインが頷いた、私がサインを書く。


 即ギルドの超光速転送網へ載ってヨナ様の元に届いた。


 ヨナ様が細部まで見て、

「面白いことを考える者じゃ」といってヨナ様のサインと判子がつかれる魔導式の証明用判子(魔導印証)であった。


 そしてそれは即、科学技術担当の元にこれが届き三人分の名前が載っていることに気が付くのではあるが、ヨナ様の判がデカデカと押してあることに気づき即刻で秘書官を呼び一式揃えて金の提督に送らせるように指示書を書いた。


「アレを出すんですか」と秘書官がいう。


「いいのですか?」と。


「一式全部なと担当、後スミロクロスフレームの量産フレームを三十三機分と機密封印指定六十機分とギルディュースのパッケージを三十四機分載せてやれ」と指示して、アラハスも魔導印証を押した。



第八章 第四節へ

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