第五節:運命の日

 そして運命うんめいの日の三日前となった、すでに街のホテルは予約で埋まって居り、七十パーセントが到着済とうちゃくずみであった。


 こちらの確認をアスカ嬢と私が護衛ごえいに付きさらにクララ嬢が本人確認ほんにんかくにんの書状を持って、ご本人様確認をおこなうというまことしやかにいそがしく礼儀れいぎともなう作業をいられたわけではあるが。


 もともと公爵令嬢のアスカ嬢、Evニューレースエヴォリューションニューレースのクララ嬢は問題なく、私も侯爵こうしゃくとなってからこの手の問題に対応していったのでそつなくこなせており失礼はただの一度もなかったことを挙げておく。


 本人確認ほんにんかくにんID証アイディーショウ招待状しょうたいじょう本人写真ほんにんしゃしんDNAディーエヌエーのクワドロプルチェックとなっており一様いちようにいつもより管理がしっかりしていますねとおおむね高評価であったのである。


 まりここまで細かいチェックとなった経緯けいいも申し上げてまわると、大抵たいていの方が「おおそんなことになっていたとは」とさらなる確認できる書類も付けてくれたりしたせいもあり、当日到着組とうちゃくぐみのぞいて前日到着組の状態で百パーセント完了となったのが前日の午後〇時レイジであった。


 最後をかざったのがクララ嬢の創り主つくりぬしであり今回の眼鏡を送っていただいた、ユンデル・Lロール・フロイト公爵であった公爵にもクワドロプルチェックをお願いし了承りょうしょうしてもらい。


「全てのお客様の確認が終わりました」とアスカ嬢がグライア・シュトゥーム州知事に報告してこの件はしまいとなった。


 明日のアスカ嬢のドレスはクララ嬢と確認等を行い、今回ばかりは私も儀礼用の式典用の服の用意にほんそうすることになったといっても持っているモノを使用し、その上から贈答品のサーコートを着用武器を目立たなくするというモノではあったが。


 全ての勲章やMLLIを付ける作業などにも追われていた。用意が仕上しあがったのが午後五時頃で、その足で晩餐会ばんさんかいに参列するため、グライア・シュトゥーム州知事主催しゅさいの晩餐会へ私とアスカ嬢とクララ嬢とコマチ嬢とレオン第三番隊中隊長が出席している。

(コマチ嬢とレオンは儀礼用ぎれいよう式典用装束しきてんようしょうぞくが少なかったため、ギルド公認で使用される礼服にて出席した)



 例の眼鏡も装着済みでいった。


 テストという経緯けいいを使用する事で州知事に確認も取ってある。


 晩餐会はとどこおりなく終わり明日の本番をひかえることとなった。


 今晩はホテルまりではなく、ブリーフィングルームに集まり警備状況けいびじょうきょうを再確認しSPとして内部に張り付く二番隊の面々の礼服を確認する最終確認ラストチェックが行われた。


「こんなの着るのはまごの誕生日以来じゃわい」とジーンが堅苦かたくるしくて仕方が無いといってみななごませたところでお開きとなった。


(特に警備状態には抜けは無く、後は実地となって解散となったのである)



 そして当日は朝はいつもと同じでは無く少し早めに会場入りしていた。


 当日組の受付はブルーアジュール準騎士団だけではあったが、ねんのためということで私とアスカ嬢とクララ嬢でバックアップしたのであった。


 特に問題のあるヤツはおらず、流浪るろう騎士ナイツが二十五人ばかり増えただけではあった。


 それを確認し報告したらは会場入りしてくださいと州知事からはいわれていた。

 あとは臨機応変りんきおうへんに対応とのことではあったのである。


 そして会場入りし発表儀礼本番はっぴょうぎれいほんばんむかえることになる。


 今回付き人は、ブルーアジュール準騎士団長が務めている様であった。

 礼服上からもわかる豪胆ごうたん沈着ちんちゃくな立ち振る舞いふるまい若武者ワカムシャであった。


 皆にほぼ同じ時間が割り当てられているのでえこひいきはできない様になっていて、さらには壇の奥だんのおくに州知事や各界かくかいのお方々かたがたすわっておられるためうかつなことはできないのである。


 当然その中には、ユンデル・L・フロイト公爵もふくまれており今回は六名集まったようではあった。


 州知事を除けば皆公爵位みなこうしゃくい持ちの方々である。


 ウチからの出会いを求める者は、アスカ嬢、コマチ嬢、レオン中隊長の順で並んでいる。


(当然アピールの方法シチュエーションにも審議シンギがかけられ、アレはダメとかこれは良いとかいう物言ものいいがつくこともあるのである)


(振っても元鞘もとさやに収まる場合もあるのでなんともいえなかったが……)


 ウチの組みの中では、そういう意味ではアピールはかなり良く礼儀もきちんとしている度胸どきょうもあるという意味ではアスカ嬢が一番良いとされていた。

 

 コマチはどことなく緊張きんちょうが抜けず、礼儀作法あたりにあやしい所が見えかくれしておりれて無いんですなというものいいが付くくらいダメであったが逆に母性ぼせい刺激しげきされた原種ニューレースも居たらしい。


 そういう事もあるのではある。



 レオンは元鞘もねらっていたらしいがやはり振った方の観察眼かんさつがんが鋭く元鞘はダメっぽかった、と直ぐ後方で見ていた私のげんである。


 私はサーコートを自然にまとい双剣そうけんは体に沿わしてっていたため武器を持たず、礼服の上にサーコート(ギルド徽章きしょうの立派な文様もんようが前に入り背にはギルド支部隊のマークがしっかりとよい位置に収まっている州知事からの贈答品で対応した)をかけてあるだけの姿ではあったが。


 悪目立ちするようでもなくしかし良い位置いちおさまっており有事ゆうじにも対応できる位置にいたわけではあるが。


 有事というほどの者はおらず、若武者の方で対応できる事態じたいだけであった。


 そして新人の発表に入る時間となった。


 新人の発表はとなりにデザイナーが付き発表されるモノであった。


 一人当たり最大五人からなる姉妹しまい披露ひろうしたデザイナーや、一人だけではあるが手をくされているといった高評価を受けた原種NR・Hがいたりして各々の順番を待ちアピールしていった。


 そしてデザイナー側も、若輩、中堅、常連、高名、となっていった。



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