第三節:灰化現象を起こすもの
『アスカ嬢がここに来てから十九日目のことであった』
そんな、ある日のことであった。
中原の真ん中あたりに位置するグランシスディア・ゼロでは、ちょうど陽が暮れ始めていたのではある。
白い月が灰色に変化して見えるという、天文台からの一報が入ったのである。
最初に、見つけたのは天文台だった灰色に見えるので『灰化』と呼ばれたのはこれが最初であった。
ギルドの支部隊は、三番隊がちょうどギルドのゲート付近に展開し始めた頃合いで合ったM・Mのセンサーだけでは見えないので天文台に要請し色の再確認を行って貰う、それでも灰色という結果は変わらなかったのである。
さらには、ギルドの観測班からも灰色に見えると報じられたのであった。
ギルドは、電波望遠鏡も持っているのではあるが、そちらからは色は見えないが何か巨大な物体が白の月の辺りから出て来たと報じたのであった。
出て来てはいたが白の月そのものに変な影響を及ぼす様な変化は無く惑星そのものに影響は出ていないとの報を、各地に夜化する地方に出すとともにギルディアスでは各地の支部隊に厳重な警戒態勢を敷いたのである。
明らかに空間の
中間の空間に大きなゲートができているのではあり、そこから細かい細長いものが多数出て来ているといった電波望遠鏡からの観測も入り混じって一騒ぎ起きそうな
さらにそのゲートを通してホワイトムーンを見ると、灰色に見えるとの報を出していたのである。
つまり「
灰色の物体はゲートの様であった。
電波望遠鏡の部隊が確認することには薄い物体であり電波がその面には通らない。つまり、確認できなくなるとのことである。
尚且つ、中から細長くソコソコに大きい物体が出て来ていると、いう所までは確認がとれていたのであった。
巨大な電波吸収素材、出て来ているものが何なのかまでは判別できなかったが、いわゆる巨大ゲートの確率がかなり高かったのである。
三番隊は通常の展開ではなく広角陣と呼ばれる高射砲を撃てる様に展開を行った上、待機していた一番隊にも応援をお願いしゲート付近をガードしてもらう様にしたのである。
繰り上がり交代制として、二番隊にも召集が掛かったのであった。
支部隊で魔動機の数は多かったが、魔導機は四機のみでうち一機はパートナー無しで動けず(アスカ嬢の機体)、の状態であった。
三番隊に二機の魔導機が配備されており、一番隊には魔導機は居なかったためゲートに張り付いてのガードにならざるをえなかったのである。
二番隊は睡眠と食事休憩中であり寝たところを、たたき起こされたわけでは有るが何が起こるか分からないためこればかりは仕方が無かったのであった。
以前の
あと一機の魔導機は隊長機であり待機しっぱなしにはなっていたが、これもやむを得なかったのである。
シティー側のゲートは、半開き状態を確保し即時撤退することも踏まえ籠城作戦も視野に入っていたのである。
ただし転送ゲートは、夜間は特に見にくく、直ぐに発見できるとは、限らないため魔導式探知機を、導入し警戒に当たっていたのである。
一応固定式でかなり旧式ではあるが、魔導探知用固定式レーダーもあったため、ドームシティーの周囲に少ないが張り付いていた分も州知事命令で展開し使う事となったのである。
ブルーアジュールは予備機の十機を投入し合計四十機を即時展開できるように東西南北のイーストゲート・ウェストゲート・サウスゲート・ノースゲートに張り付かせていたのだ。
一ゲート当たり十機高射砲は、一部隊辺り五基である。
ギルドゲートは南側にのみ、あるので南側の守りはかなり固かったが。
いつ何が起こるか分からないので、スクランブル指令をいつでも飛ばせる様にしてあった。
因みに隊長機はというとギルドゲートの頂点方向(つまりギルドゲートの壁の上、高さ五十メートル幅十メートルしか無い所に立っていて)に居て高さは五十メートルの位置に展開していた。
得物の高射砲は一応展開状態ですぐ傍に置いてあったが、左手には太刀を握っていた、傍らの高射砲は弾薬も追加で括りつけており、最大四十五射できる様にはしてあったが心許なかった。
最初の異変に気付いたのは、前方展開中の広角陣で展開中の三番隊だった。
「普段シティーに近づかない、大人しいはずの草食系亜竜が突撃を敢行してくる」との報であった。
隊長機は片手射ちになるが上から三番隊に、照明弾を上げる様に指示し高射砲を片手持ちしていた。
照明弾が打ち上げられていく。
有象無象の数多くの草食亜竜が、種別問わず群れで襲ってきているのが見えた。
高射砲をマテリアル(実体弾)モードに切り替えて、その鼻先を狙う。
当てるわけでは無かったが当たりそうだったので、少し外し撃ちを実施する三発連続で横展開している三番隊の前に着弾させていく。
本来ならばこれで、怯んでくれるはずだったのだが構わず突撃してくる。
体に当たっても構わずに十数頭の群れでは有ったが。
それが一連目になった。
スコープで補正を入れ脚を狙う様にする。
がスコープで狙おうとした矢先に、亜竜の目が赤く輝いており尋常ではなく異常興奮状態か操られているように感じた。
これは拡大したクララ嬢の方でも同様に「変ですね」と呟きが聞こえる位であった。
「操られているように見えます」とクララ嬢、「魔力溜りを感知できるかと聞く」、三番隊は展開中の高射砲を持ちながら分厚い大型シールドで草食亜竜の動きを止めながら後退中であった。
それに一番隊が加勢に加わる。
一番隊はフランキング(横からのサイドアタック)をかけ、転倒させようと試みている様であった。
一応の効果はある様で二機で対ところしなければならないが、草食亜竜が足踏みし始めていた。
こちらの機数は六機+六機で十二機が六グループに分かれ行動阻害を行っている状態であった。
確かに効いてはいた。
転倒させられると起き上がるのに要する時間が三十秒近くかかる様だったのである。
まだ殺すところまではいっていない。
当たったやつも背中とかが焦げたくらいで。
脚までは飛んでいなかったのであった。
「硬いな」私が呟く、と「魔力溜りを発見、座標行きます。高度三百メートル南方向にまっすぐ九キロメートルです」とクララ嬢。
「意外と近いな囮か」と私がいう。
それと左手は逆手に刀を握って、高射砲に沿わす。
「これで微量の補正位には……」と私がいってマテリアルモードのまま「撃ち抜けっ!」といって撃ち出した。
二発目に閃光弾をほり込む。
「フラッシュ対応」と私はいって二発目も同座標に撃ち込んだ。
一発で落とせているか分からないためである。
「魔法機確認!! 所属までは判りません!!」とクララ嬢が叫ぶ。
「ということは一発目は防がれてるな……」と私がいった。
魔法機か嫌な相手だと思った魔法機に対して、いい思い出が無いというのにも拍車をかけていた。
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