第九節:目覚めと情報管制

 しばらくすると、こちらに『同調限度どうちょうげんど』がやってきたヒトによりこの『同調限度』は変わるが今の私ではここまでが限界げんかいの様だった流石につかれを感じ、よろけてしまう。


 よろけたところを、クララさんにささえてもらった。


「今のが精霊魔法ですか?」とクララさんがいったのである。


「みたいなものです。隊長の精神の精霊さんが弱っていたので力を貸したのです」と私がそれに答えたのである。


 少しつかれましたが、冷水れいすいびてきますといって多少フラフラしながらも、大きいバスケットを持って、簡易かんいシャワーだけかと思ったら風呂フロまでついてた……。


 流石さすがに冷水を張るのはかなり力を使ってしまうのと、水道水には精霊は居ないであろうと思い。


 朝シャンの、冷水れいすいバージョンと、してみた。


 少々つめたかったがキリリと、引きまった感じがする。


 朝食の選択をするべくクララさんが病院の中でデリバリーを発注はっちゅうした、「冷おろしうどん二つおろしショウガ付きで都市病院二〇〇一号室まで直に」と『ウルフ・ディッシュ』に問答無用もんどうむようたのんでいた。


 それを、聞きながら病院そなえ付けの機材きざいかみかわかし、服を寝間着から私服に着替えてMLLIを取り付ける。

 テーブルのほうに、一度寄って服の状態を確認し、

「もう少しかな?」とみて見たのである。


「あと半日くらいですね」とクララさんが『データパッド』を持ってきながらいったのである。


 クララさんが、『データパッド』を開いてニュースらんを確認する。


「あー」と、かなしげにがさけんだ。


「どうしたんですか?」と、私は聞いたのである。


「一面に、っちゃってるー」と悲しげにいったのである。


 私の『データパッド』も持って来てもらっていたので、


「ニュース各紙かくし一面」と音声入力で表示させる。


 新聞大手三社しんぶんおおてさんしゃ他中小八社共ほかちゅうしょうはちしゃともに一面で『ジークレフ侯爵怪我ケガで入院』と詳細こそ書かれてはいないものの最後の辺の状況だけは結構しっかりと書かれていた誰かを庇ってレーザー銃を三方位からフルオートで連射され被弾現在入院療養中、までは各紙同じではあったがそこから先は推測分すいそくぶんのオンパレードだった。



 かばわれたのは、公爵御令嬢こうしゃくごれいじょうかとか、目撃者もくげきしゃの情報として、もう一人その場にいたことが分かっているとか、結構なお見舞いがあったが各病院で連携れんけいを取っているらしくどこの病院かは不明と書かれてはいた。


「これは、情報管制かけないとダメですねー。ギルド上層部に頼みますか」


 テレビも極小音ごくしょうおんで付けるすると今朝のトップニュースの時間であったモロに映像が出てしまっていた。


 最後のシーンだけではあるがこれだけでもかなり貴重きちょう映像えいぞうではあったので『データパッド』に転送てんそうさせる、評論家ひょうろんかが話し出した。


「これは、すごいですね分身しながらレーザーを瞬間しゅんかんけているのでしょうね」と評論家はいったのである。

 

 他のナイツ評論家が反論はんろんした「いやいや、そんな馬鹿バカな、分身は回避行動かいひこうどうの一種ですよ普通はそれを当てに行くほうで使うなんて使用方法が間違っている」


 もう一人の別の女性評論家が話し出した。


まり、分身で全てのフルオートのレーザーを受けたってことですか、それはまり重傷じゅうしょうをとおりして、重体じゅうたいか今もICUに入ってるのではないですか?」といったのである。


「普通の、ヒトならそう考えますよねー」とクララさんがいったのである。


「ですよねー」と私たちは顔を見合わせたていったのであった。


 女性評論家はさらに話を続けていた「まり、それだけの重要人物じゅうようじんぶつをガードしたということで間違まちがいはないのではないでしょうか」、


「思わず“うっ”、と痛い所いたいところきますね」流石評論家。


「まぁお二方とも、超が付くVIPであることには間違いは無いんですが、昨日の話を聞く限りでは」とクララさんがいったのである。


「うーん」と隊長の声がしたのであった。


「隊長!?」と、クララ嬢と私が同時に振り向く、隊長の見開みひらかれていた。


「ここは?」と、隊長がいったのである。


 クララ嬢が、すぐそばの固定電話を取った「今、支部隊隊長が起きられました、先生方に連絡を!」と同階にあるナースセンターにコールしたのであった。


「都市病院です!!!」と即、私がいったのである。


「君は!!?」と隊長、精霊視が実行されているためではあるがまだ精神活動が活発ではない状態だったまり起きてはいるが朦朧状態もうろうじょうたいと変わらない状態であることが分かったのである。


「アスカ・アラ・ニスです!!!」と叫びながら私は隊長に飛びついたというか抱き着いた様な状態になっていた、そのまま力いっぱい前後にすってみる。


 こういうことでも、ヒトは覚醒かくせいすることがある強靭きょうじんな精神の持ち主ならば特にと、何かの座学ざがくで教わった覚えがあったためではあるが。


「アスカ、アスカ、アスカ!」と隊長が三回ほどかえして次の瞬間しゅんかん「あの子は無事ブジか!?」、「名前が思い出せない……」と隊長は頭をかかえながらいった、「そりゃそうですよ」と私は容赦ようしゃなくなく突っ込んだのである。


事後じごここに、来てからようやく名前が聞けたのですから隊長が知らなくても無理ムリはありません」と優しくいうとともに、「それとあの子は無事ブジでしたよ……」と追加したのである。


「そうか、無事かそれは良かった」と隊長がいったのである。


「でも、そのあとが大変だったんですよ」と私はいったのであった。


先生方せんせいがたこちらです」とクララさんが先生を連れてきていたのであった。


「何だもう覚醒かくせいしてるじゃないかやけに早いな……」というドクターがいたのであるが。


しばらはなれていますね」と意地悪いじわるそうにいう私がいたのである。


「???」と何が起こったのか分らないまま診察されていく隊長、そして輸血ももう必要ないなとドクター、きらめく赤色のMLLIただし幅は二ミリを右肩にほこらしげに着けており。


 看護士さんが「じゃあ点滴針抜てんてきばりぬきますね。これは十分間くらいしたらはがしてもいいですよ」といって絆創膏ばんそうこうの小さいものを貼っていく、「輸血側ゆけつがわも抜きますので少しちくりとしますよー」といって同じように対処たいしょされていった。


 あとは、経過観察けいかかんさつに三日入院してもらおうとドクターがいってこちらをり向き、私の着けているMLLIにがついた。


 きらめく赤幅二センチメートル・金色幅二センチメートル・きらめく緑幅二センチメートル・艶消つやけし灰色幅二センチメートル(私の場合はそれが左肩にかけて配置してあるのである)ある意味今日いみきょうの私に容赦ようしゃという言葉は無かったのである。



「ひえぇぇぇぇぇぇっ!!!! おっお助けェェェ!!」とドクターが私からあとずさる。



「ご、ご容赦ようしゃ、願いたく! どうか、どうか」とドクターがさらに続ける「平に、平に、ご容赦をー」とドクターがあとずさりながら続けたのである。


め所に病床びょうしょうは無いのでこちらで三日経過観察けいかかんさつさせてもらいます」と私がドクターにいったのである。


「ははーっ、おおせのままに」とドクターがいったのであった。


 流石さすがに、権威けんいには、弱いらしい……、と私は思ったのである。


 ギルド証も、ついでに見せる、~・デザイナーという名前が、四つ縦並びに並んでいた。


「データは、こっちにも回してほしいです。それと情報管制じょうほうかんせいを、いてください侯爵こうしゃく様の情報じょうほうは、発信はっしんしない様に」と私がクギしたのである。



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