第六節:魔業機を軽装機へ

 FPTフローティング・パワー・トロリーを、各自持っているので、その中で大抵の生活は終わる。


 食事だけは外で、というのが日常になっていくのである。


 まあ、その食事もデリバリーで済ませるしか無いものも居るが……。


 アスカ嬢と、私がいい例だ。



 私のFPTは伯父からM・Mと共に譲り受けたもので、旧くは合ったがそれは外観上だけの問題で中身は最新であった。


 クララ嬢が中身を最新に、更新していっているのであるが。


 アスカ嬢のほうも似たようなモノで普段はPtパワー・トレーラーだったが、FPtに成れるという機能を持ち中身も最新の、ものにしてあった。


 なので生活に困ることは、無かったわけである。


 パートナーがいない分、自身でお片付けや掃除洗濯をせねばならない。


 という所に、難点はあった。


 今回は発表儀礼に出る予定では有ったので、その辺りも改善されるであろうとアスカ嬢は思っているわけでは有った。


 出ても調子の合う子がいなければ、仕方が無いと思って自身で創る予定でもあったわけではあるが。


(原種NRの育成にはとても時間がかかるのでそれを始めるとギルドでは仕事のできない子になってしまうというのが、彼女の抱えていた重たい問題ではある)


 なので今回発表儀礼に、出ようと思ったわけではある。


 その前には魔業機を軽装機へ変換する組み上げであるとか新人さんへの歓迎会であるとかが、山のように降り積もっていたわけではある。


 仕事が無いわけでは無く、どれから片付けるべきか迷っていたのである。


 朝はPt内で済ませお昼と夜を、デリバリーで済ませるという偏食へんしょくを送っていたのである。


 体もなまるわけでは有るが、私は普段の朝トレーニングを欠かさず行って居たのでそこまでなまらなかったともいえる。


 三日経過し荷物が届くとソコソコ大掛かりな作業が始まったからではあった。


 まずアスカ嬢の機体をばらしてフレームを追加交換し、パーツを新たに組み込んでいく作業を私とクララ嬢で手伝っていたからでもあった。


 さらに一日が経過しメカニックは到着していて、挨拶あいさつも済んではいた。


 がこの手の作業は、デザイナーが複数いるとめる原因になることが分かっていたので。


 他のチームは他の機体の整備をしながら、こちらの作業を見守っていたわけではある。


 ことこれが、軽装機から標準機へ変更ということでも同じことになっていたであろう。


 他チームはメカニックだけでなくデザイナーや主計官も居たので、この作業がどれくらいかかってどれくらいの作業範囲エリアが必要になるかそれぞれが分かっていたせいでもある。


 都合上つごうじょう四番機予備機の前の作業エリアも、使えたので作業エリアはかなり広く取ることができたのである。


 二番機のダイヤも三番機のジーンも特に口は挟まなかったので、問題もなく換装も済んで。


 あとはパートナーとの調整だったが、アスカ嬢にパートナーがいないため一時的にクララ嬢がパートナー席に入って調整をしたのである。


 流石さすがEvNRだけあり、スムーズにことが運んで行った。


 さらに細かい調整は本来のパートナーさんとするのが良いでしょう、というクララ嬢の発言もあって。


 魔業機E級から、軽装機B級への換装が済んでいた。


 得物は変わらず大太刀ではあるので鞘は無かったが、背面に固定するパーツを付けた。


 そのため若干重心が背面寄りになったが、元々背面に戦闘機動用の大型バーニアを持つため。


 元々背面寄りになっていたので、感覚は大して変わらなかったらしい。


 そこに私から内蔵火器ないぞうかきを、プレゼントしたため±ゼロと成っていた。


 要するに最良のバランスで、ものが組みあがっていたのである。


 これには他のデザイナーも、したくしか無く。


 流石アスカ嬢とメカニックやデザイナーから賞賛しょうさんの拍手が、上がったくらいであった。


 歩いたり走ったりするのには、パートナーのサポート無しで行けるくらいの機体にはなっていた。


 まあ、一重にアスカ嬢の技量でもあるが。



第二章 資料集へ

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る