気付いた気持ち・・・

「い、いらしゃいませー!」

「ご注文はお決まりでしょうか?」

「はい!ありがとうございました!」


初々しく接客をする詩音は正直、可愛い!モーレツに激かわだった!


「いやーん!詩音ちゃん可愛い過ぎでしょう!?」

「めぐママの言う通りだよ!私の後釜に素晴らしい人材が入って来たもんだ!」


ぽー!と見とれている場合じゃない!

ちなみに私も家の手伝いでメイド服を着ています。


カランッ


「いらしゃいませー!」


「おっ、べっぴんさんが入ったのかい?」

店の常連さんが入ってきた。


「あら斉藤さん!こんにちは!」

「井上さん所のコーヒーを頂きにきたよ。後、軽食もお願い出来るかな?」

「かしこまりました。そうそう、こっちの美人さんが今日からバイトに入ってくれる、めぐみの同級生の詩音ちゃんよ」

「おお、めぐみちゃんの同級生か・・・?」


斉藤さんは60歳のお爺さんで、うちのお婆ちゃんと仲が良かった。その斉藤さんは、私と詩音を何度も見比べてため息を付いた。


ピキッ!?


なんとなく察しが付いた私は笑顔でそのケンカを買いますよ?とオーラを出した所・・


「めぐみちゃん!希望を持つんだよ?」


ポンッと手を肩に置かれて同情されました。

しくしく、ほっといてよ!


「めぐみ、ドンマイッ!」


お母さん!ほっといてっば!!!


「めぐちゃん・・・ホロリッ」


なんかいえやーーーーーーーー!!!!!!


こうしてめぐみイジリが始まり、かなりへこんだめぐみでした。




「今日はお疲れ様でした。詩音ちゃんは飲み込みが早いから助かるわ!また明日からお願いね!」

「はい!こちらこそお願いします。ただあの制服はどうにかなりませんか?」


「「「なりません!!!!」」」


「そうですか・・・」


詩音はガックリと肩を落としたのだった。


「もう遅いし、近くまで送っていくよ」

「ありがとう。めぐみ」


店を出て、自転車で詩音のアパートまで一緒に向かう。自転車なら5分の距離だ。かなり近い所に住んでいるんだよ。


「ちょっと寄り道しようか?」

「うん。良いよ!」


ちょっと小高い所にある小さな公園に着いた。

ちょうど夕日が差して街を金色に染めた。


「綺麗ね・・」


詩音はそう呟いた。でも私は夕日に染まった詩音の横顔を見て綺麗だと思った。そして身体が自然と動いた。


「めぐみ?」


私は自然に近付き、そして─



私の唇と詩音の唇が重なった。


「んっ・・・」


「詩音、私ね。気付いたんだ。私の詩音に対する好きって、こういう事をしたい好きだったんだ・・」


「めぐみ・・」


詩音は頬を赤らめ何も言わない。


「詩音、ごめんね。でも好き!」



風が吹き、桜の花びらが舞った。



第一部【完】



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舞い散る季節に恋をする naturalsoft @naturalsoft

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