バイト!

昼食中に盛り上がっていたが、メロンパンを食べ終わった詩音を見て、テンションが下がった。

詩音が袋から錠剤を取り出したからだ。


「詩音!それって・・?」


詩音は私に視線をやってから白い錠剤を飲んで飲み物で流し込んだ。


ゴクンッ!


「ふぅ、まぁ薬だけは定期的に飲まないといけなくてね。心配しなくて良いよ?もう健康体だからね」


いやいやいや、健康体の人は薬を飲まないから!?


「本当に大丈夫なの?」

「私を心配したかったら50メートル走で私を追い抜いてから言ってよね。もう大丈夫なんだから」


なんとなく詩音から拒絶されたようで、この話題から離れる事にした。


「これからバイトだから体調の心配しただけじゃん!オーナーとしてしごいて上げるから覚悟してよね!」

「私の雇い主ってめぐみだったけ?」


みんなが一斉に言った。


「「「違うだろう?」」」


「みんなしてゆーな!!!」


ははは、と笑いが広がった。



放課後になりました。


「あれ?詩音も自転車を勝ったんだ?」

「やっぱりあった方が便利だからね。本当ならロードバイクが欲しかったんだけど高くて断念したよ」

「ロードバイク?ああ、最近何かと人気あるよね!」

「そう、でも荷物が積めないから通学とバイトならママチャリで十分だしね」


詩音と私は並んで走りながら我が家へ向かった。


カランッ


「ただいまー!」

「いらしゃいませー!ご注文はどうなさいますか?今なら無給での店番などオススメですよ♪」


お母さんがとんでもない注文を進めて来ました。


「お母さん!それは注文じゃないよ!?」

「しかたないじゃない。人手不足なんだから!」


後ろから会話に入ってきにくそうに詩音が挨拶をした。


「こんにちは。今日からよろしくお願い致します!」

「あら!?詩音ちゃん!そうだわ!今日からだったわね!」


「忘れているなんて酷いよ!?」

「ちょっと度忘れしただけよ。さぁ、店の奥に更衣室あるから制服に着替えてね!めぐみ、うちの制服は初めてだと着るのが難しいから手伝ってあげてね!」


はーい!と返事をして店の奥に入っていった。


「じゃ、詩音。これに着替えてね~」

「わかったわ」


詩音は制服を脱いで下着姿になると、店の制服を手に取ると固まった。


「・・・・ねぇ、めぐみさん?この制服って?」


「普通のファミレスの制服よ♪」


絶対に違うだろう!!!!?


「でもこれって凛さんがめぐみのお母さんと違うじゃない!?」

「凛さんは妊婦さんだから今はゆったりした服にエプロンをして仕事しているの。お母さんはマネージャーのようなものだからスーツのような制服にエプロンをして接客しているわ」


ううぅ・・・本当にこれを着るの?

本気と書いてマジで!?


そう思ってもここまで来てしまっては着るしかないわけで・・・


「私も着て仕事しているんだから大丈夫よ!」


そういうめぐみの声を信じて【ロングスカートのメイド服】を着る詩音だった。






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