014//閑話2

閉鎖的な現代都市で悪魔認定されて力業で脱出してきた。そんなこんなで暇が出来ちゃいました。



大きな暇だから、中央以外のイェソドを回ってみようかね。まだ休むには早すぎるし、商都区で観光でもしようかな。


「こんなことになるとはね…」

此処は商都区の、シラスという街らしい。露店が色々出ててそれなりに賑やかだ。

「ターミナルの手続きが出来ただけでも良かったと思うしかないな」

「そうね…まったくあの二人…って。二人居ないじゃん?」

辺りを見回してみても姿が見えない。Kの後ろで暇そうにしているのはシールだけだ。

「お前が露天商と話し込んでる間に宿取りに行った。グールが早く休みたがってたしな。多分戻って来ないだろ」

「ありゃ。気付かんかった」

確かに具合悪そうだったし、それなら仕方ない。

…今更だが。特に必要でもないグールを、何故シールは連れてきたのだろう。

「長い事見てるが何か欲しい物でもあったか?」

「ん。このアクセいいなって」

紫の小さな石の付いたおとなしめのネックレス。普段アクセサリーはあまり着けていないが、少し憧れがある。

お値段は…ちょっと解らない。金銭感覚のバグったシールが我らのお財布なので、Kは物価がよく理解できてない。

「安物じゃないか」

「そうなの? 作りは悪くなさそうだけど」

「何にしても見てても仕方ないだろ。そろそろ宿へ向うぞ」

「はーい。かんこーメインだもんねー」

少し名残惜しそうにしてしまったらしい。

「露店商。これを貰おう」

「ぃえ゛っ…いいよ悪いよ!」

「もう買っちまったし」

店主から受け取った商品を差し出される。

「要らなかったか?」

「…いる」

「ならやるよ。ほら」

「やったー! ありがとー!!」

早速着けてみる。えへへ。

「これでおまえも首輪付きだな」

え… うわ。なんてこと言うんだ。

「冗談だ」

「あんま洒落になってなかった」


「さてと…」

aが宿を取った街、ウォートへ移動を済ませ、少しひとりで街を歩く。シールはこの街なら治安は悪くない筈だから大丈夫だろうと言っていた。

「なんだか凄く、来そうな気がする」

「なんだ。すっかりバレてるな」

ほら来た。

タクちゃんは少しつまらなそうだ。

「イェソドはどうだった」

「どう、と言われても…散々だったとしか」

「散々、か。何があった?」

「ギリギリターミナル参拝だけして逃げてきました」

「ふむ。あそこは少々排他的だからな」

少々で済ませられるレベルではないと思う。

「グールがいたからかどうか解んないけど、人を悪魔呼ばわりしやがって!!」

「…お疲れさま」

「ん、アリガト。なんか癒された」

タクちゃんはなんかふんわりしてるからか、話していると気持ちが安らぐ。不思議だ。

「それは光栄だな。では戻って体も休めるといい」

「そーだね、そうするよ。サンキュタクちゃん」


宿に戻る。

そうだ、これを自慢してこないと!

「見て見てー!買って貰ったー♪」

首から提げた紫の石を見せびらかす。

「…ネックレス? また、甘やかして…」

aがお母さんみたいなことを言う。シールは目を逸らして抗議を受け流した。

「コレたぶんアメジストだよね! 可愛いー♪」

「だとしても屑石だろ。値が違うし」

「そりゃお貴族様の持つ物とは比べようもないでしょうがね…。たぶん、言う程安くもなかったよ…?」

「そうか?」

「……」

「……」

やはり金銭感覚がバグっている。

「まぁ…まあ。ありがたく着けさせてもらうよ。ありがとね、シール」

「ああ」

「良かったなK」

「うん! aさんはグールに買ってもらいなよ。aさんならねぇ、真っ赤なルビーかな!」

「冗談! 俺はそんな金持たんで!」

「大丈夫、大丈夫。期待してないから」

金があったら買ってあげたんだろうか。この下僕、ちょっとaになついてしまってないか。ふたりで行動させた所為だろうか。

Kは少し、唇を尖らせた。

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