　港区で失踪したJKの事件をきっかけに、タクシー運転手のドラレコを巡って、謎が錯綜する。

　大人気ミステリアニメ『オッドタクシー』総集編でもあり、後日譚でもある。

　ミステリとしても上質の作品だ。

　アニメ本編のラストで「どないなんねん！」と思っていた一人なので、この映画は待ち望んでいた。

　本作は、探偵が各関係者にインタビューする形式を取って、話は進んでいく。

　その探偵役も、一見すると「誰？」と思ってしまう。

　オレも、考察サイトなどを巡回してようやく全貌をつかめたくらい。

　アニメ全話見ているだけではなく、You Tubeに上がっているラジオドラマも把握しておかないと、全部は理解できないかもしれない。

　初見にはハードルの高いアニメ映画かも。

　ただ、アニメ全話見ていた人からすると、

「ああ、この人はこう動いていたんだな」

　などの考察が膨らんで、よりこのアニメを楽しめる作りになっている。

　また、本作品は生きづらい人たちの群像劇でもある。

　アダルトチルドレンのタクシードライバー。

　モテたいために自分を盛って借金までこさえる清掃員と、貧乏なアイドル。

　先鋭的すぎてウケない芸人と、うまいこと業界の波に乗っていく器用な相方。

　バズることだけが生きがいの大学生。

　ヤクザの手先になっている看護師。

　目的のためなら手段を選ばない少女。

　そして、親の七光りではなくホンモノのアイドルだった、失踪JK。

　みんなそれぞれ地味に動いていて、なのに深みのあるドラマになっている。

　サスペンス要素も過激になりすぎず、ミステリとしても複雑すぎるわけでもない。

　万人におすすめできる話である。

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