『アルプススタンドのはしの方』 卯月コウさんのいいたかったことはこれか!

 負け犬たちの青春。


 甲子園に出場した弱小高校を、アルプススタンドのはしで応援している少年少女。

 相手は甲子園常連の強豪校。

 内心ではあきらめムードだった。

 声を張って勝つと信じているのは、茶道部の顧問をしている迷惑おじさんだけ。


 演劇部は、主役がインフルで大会に出られなかった。

 主役はそのことをずっと引きずっていて、友達は気を使われることに引け目を感じている。

 

 秀才の少女は、吹奏楽部のトランペット担当に、好きな人を取られた。

 その人は、野球部のエースである。

 おまけに秀才は、成績でも抜かれてしまう。


 そんな彼女たちに野球のルールを教える少年は、エースの存在を邪魔に思って野球部をやめていた。



 エモいなぁ。

 負け犬たちが、さして興味なかったはずの試合を通じて、立ち直っていく話。


 秀才が茶道部顧問から「もっと友だちを作りなさい」と言われて「一人でいることって、そんなにいけないですか?」って言い返す。 

 このセリフに、この映画のすべてが詰まっている気がした。


 ドラマ的にはこっから立ち直っていくだけど、多分このセリフがこの映画の本質・本音なんだよ。



 卯月コウさんの切り抜きを、思い出した。 


【エモグランプリ】原点にして頂点!卯月コウ伝説、その一端【卯月コウ/にじさんじ/切り抜き】


「高校野球に自分の中学時代の野球友達が活躍している。中学当時は自分の方がうまかったのに。自分は量産型のアニメ好き陰キャで、野球もやめた。今でも野球を続けていたら彼のように正しく青春を遅れただろうか?」

 という投書が、卯月さんの元に届く。


 卯月コウさんはこの投書を読んで、世間は高校野球を『陽キャ青春のテンプレ』と捉えていると仮定し、


「勝手に正しい青春像を思い描いておいて、勝手に一人で絶望している独りよがりさが、すばらしくエモい」


 と返す。


「誰よりも負けていて、負け犬たちが集まったこのグランプリの中でお前が一等賞」

 と投書者を絶賛した。



 卯月コウさんの言いたいことは、この映画に詰まっているような気がした。


 本映画もこういうルーザー、負け犬たちが集まって、傷をなめ合うのではなく、野球を通じで自分も盛り上げていく感じが、果てしなくエモい。



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