『ロープ』 伝説の長回し映画

 ヒッチコックによる、伝説の長回し映画。


 ニューヨークの摩天楼を見渡せるアパートの一室で、二人の若者が友人を殺した。

 動機はない。

 彼らは、ニーチェの「偉かったら人を殺しても構わへん」といった異常な「超人思想」に取り憑かれていた。


 理由なき思想的殺人を犯した二人組は、死体をチェストに隠し、さらに遺族を相手にホームパーティを開き、チェストの上に料理を並べようじゃないかと思いつく。

 異常すぎると相棒はいうが、犯人は強行した。


 招待した客の中には、被害者の家族の他に恋人も混じっていた。

 さらに、恋人の元カレまで呼び、元サヤに納めようとする。

 あまりのクズっぷりに、被害者の恋人も呆れ果てた。


 犯人のいたずら心は、ますますヒートアップする。

 被害者の父が欲しがった初版本を、なんと被害者を殺したロープに結んでもたせたのだ。

 

 ところが、犯罪心理学に詳しい恩師を招いたことで、事態がバレるんじゃないかと相棒が錯乱しだす。




 1924年に起きた、「レオポルドとローブ」事件を元に作られた、ヒッチコックの映画。


 映画全編を、ワンシーンで取るという斬新な手法を用いた。

 ロープのようにつなぎ目のない映画を撮りたかったらしい。


 探偵役である教授役のジェームズ・ステュアートは、『裏窓』、『めまい』など、ヒッチコック映画の常連だ。

 

「なんでバレへんねん?」と思えるほど、トリックはガバガバだ。

 死体をチェストに隠したというのに、

「ロープがチェストからはみ出とるやんけ! バレる!」

 と口論になる。


「堂々としていれば、ウソはばれない」を地で行く作品だ。

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